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山下健太、“集大成”のマカオGPで4位も「表彰台に届かず悔しい」

2016年11月20日 23:01  AUTOSPORT web

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4位でフィニッシュした後、メディアのインタビューに答える山下健太
11月20日に決勝レースが行われた第63回マカオグランプリ。走行初日から好調で、優勝も見据えた戦いをみせた山下健太(スリーボンド・ウィズ・Tスポーツ)だが、惜しくも届かず4位フィニッシュでレースを終えた。

 今季、悲願の全日本F3チャンピオンを決めた山下は、慣れ親しんだトムスではなく、新たなチャレンジとしてスリーボンド・ウィズ・Tスポーツから参戦。イギリスのチームだけにやり取りも英語で、事前にイギリスのシルバーストンにもテストに向かい、このマカオに挑んだ。

「F3の集大成」として挑んだマカオで、山下は走り出しから絶好調。今季スリーボンドエンジンはヨーロピアンF3では不調だったが、このマカオではフォルクスワーゲンエンジンやメルセデスエンジンと遜色なく、山下は一躍優勝候補のひとりとして認識されるようになった。

 19日の予選レースでは、惜しくも表彰台に届かず4位。ただ、スタートから抜きどころであるリスボア・ベンドの進入までの攻防を考えると、フロントロウはスリップストリームを使われ逆に不利となる。予選レース後、山下は「優勝を狙います」と宣言してくれていた。

 迎えた20日の決勝。スタート後のリスボアでは、予想どおりトップは混戦となる。ポールポジションスタートのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(カーリン)、そしてセルジオ・セッテ・カマラ(カーリン)、カラム・アイロット(ファン・アメルスフールト)の3台がスリーワイドで突入するが、山下は無闇に飛び込むことをせず、冷静にアウトにはらんだアイロットをパス。これで3番手に浮上した。

 前日の予選レースでも最終コーナーの飛び出しが非常に良く、予選ポールシッターだったジョージ・ラッセル(ハイテックGP)をパスしてみせた山下は、この決勝でもポジションアップを狙っていた。しかし、セットアップが狙いどおりにいかず、「いちばん重要な最終コーナーのスピードが、オーバーステアで上げられなかったのが痛いです。そこで最高速を上げられなかった」と逆に防戦する展開になってしまった。

 3周目、山下はこの日は格段にスピードが上がっていたフェリックス・ロゼンクビスト(セオドール・レーシング・バイ・プレマ)にパスされ、さらにアイロットにも抜かれてしまう。ただ、冷静さが魅力の山下。セーフティカーが入る展開のなかで「2回目のセーフティカーのあとはまわりのペースが下がったようで、リスタートで抜くことができた」とアイロットをパス。4番手を取り戻し、最後まで表彰台圏内を狙った山下だったが、3位のセッテ・カマラには届かず。4位でレースを終えた。

「表彰台にいくことができず悔しいです」と山下はレース後語った。

「今回、日本人ではないスタッフと英語でやり取りしていたので、そこはいい経験ができましたし、トップ争いとはいかないまでもそれなりに上位で走れたので、今後の収穫にはなると思います」

 ただ、やはり「F3の集大成」として挑んでいただけに、表彰台という結果を残せなかったのは大いに悔しいようだ。

「もう1年出たいですね(苦笑)。悔しいです。これじゃ集大成にならないです」と山下は言う。近年のマカオGPは経験値がものを言うだけに山下が出場しても違和感はないが、それほどの思いがあったということだろう。

 来季、山下は土屋武士に代わってスーパーGT300クラスでVivaC 86 MCをドライブすることが“内定”している。ただ、今回のマカオでの活躍で、世界に“ヤマシタ”の名を刻んだ。来季以降のキャリアにもきっといい影響を及ぼすはずだ。