僕はオタクだ。怪獣映画や特撮、妖怪にアメトイ。プラモデルに消しゴム人形などなど、いわゆるオタク系のグッズをアホみたいに集めてしまう病気を長年患っている。
子供の頃は貧乏だったので、ほしいものがあっても買ってもらえなかったが、今や成人してしかも独り身。かつてほしかった物あれやこれやを、思いのまま手に入れている日々を送っている。
一方で、子供の頃に割と裕福な家庭で育ち、ほしいものをしっかり与えてもらっていた人は、大人になってオタクをこじらせることって、そうそうないように見受けられる。感受性豊かな子供時代に、一番興味のあるものについての情報をシャットアウトされると、その後成人してまでも執着をするということなのだろう。(文:松本ミゾレ)
親が抑圧すると「本来持つ面白さに加えて背徳感まで与えちゃう」
先日、ツイッターで多くの成人オタクをニヤニヤさせるツイートが拡散されていた。一連のツイートを引用してご紹介させていただきたい。
「先日、喫茶店で仕事をしていたら、『うちの娘はオタクにしたくないからアニメとか絶対見せないようにしてるの!』と言っているお母さんがいたので『ああ、それ高確率でオタクになるな』と思いました。だって、本来持つ面白さに加えて背徳感まで与えちゃってますから」
将来オタクになってほしくないなら禁止ではなく「別の魅力的な物を一緒に楽しく遊んであげる方が効果的」だとする。親が押さえつけられるのはせいぜい中学ぐらいまでだという。
例外もあるだろうけど、このツイートは正しいことを主張していると思う。親が意図的に子供の目に触れないようにするコンテンツほど、子にとって魅力的なものはない。このお母さんの対応は、逆に子供の好奇心を大いに刺激していることになる。
他のみんなが観ている、知っているものを自分だけ知らないというのは、今も昔も厄介なオタクに成長するための大きな要因だもの。
大人になってから歯止めが効かなくなり生活破たん状態になるオタクも
このツイートはトゥギャッターなんかでもまとめられ、賛成する意見もいくつもあった。そのうちのいくつかを、ざっと紹介していこう。
「そういやオタクじゃない人から『アニメ禁止されてた』って聞かないなぁ。オタクの人から『アニメ禁止されてた』って話は聞くけど」
「幼少時に漫画やアニメやゲームを買い与えられなくて、一人暮らしになったり、就職して自分で自由に使えるお金が増えたりすると一気に大人買いしてハマるってパターンもよく聞くよね」
「見せない」というのは、オタクにさせないための方法としては有効でないことは明らかだ。
現在、僕はガレージに多数のコレクションを貯蔵し、自室にはいくつかのショーケースが並んでいる。生活スペースが趣味のモノで圧迫されているわけだが、それでもまだマシな方だったりする。
知り合いのオタク、それも10年以上の付き合いのある連中を見てみると、趣味のためにアパートを借りたり、散財しまくったり、破綻寸前の生活を送っている者もいる。そしてそんな彼ら、いわゆるS級オタクが誕生した背景には、やっぱり子供の頃に親から自分の興味のあるジャンルに制限をかけられていた、ということがある。
好きなことをするのを邪魔されて、おとなしくしているのはせいぜい中学や高校時代まで。抑圧された若いオタク予備軍は、さっさと親元を離れ、一国一城の我が家で大いにオタクライフをエンジョイするようになる。
だから、我が子をアニメオタクにしたくないなら、アニメを観ることを咎めないことだ。アニメを観ることを許容し、その上で他の楽しいこと、有意義なことを自分が楽しんでいる姿を子供に見せ、子供の興味をアニメばかりに向けないことが大事だろう。
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