20日に6時間の決勝レースが行われたFIA世界耐久選手権(WEC)第9戦バーレーンは、ポールシッターのルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組8号車アウディR18が優勝。アウディラストランに花を添える形となった。
ポールからスタートした8号車はフルコースイエローやピットタイミングの関係で首位の座を入れ替えながらも、終始順調なペースで走行。最終的に2番手に16秒ものギャップをつけて優勝を飾った。
またマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組7号車アウディが2位に入ったため、アウディはマニュファクチャラーランキング2位で2016年シーズンを締めくくっている。
今回の勝利はアウディは1999年にル・マン24時間耐久レースに参戦して以降、通算107勝目。2012年にWEC参戦から数えると、41戦中17勝という成績を収めたほか、23戦でファステストラップを獲得。そして2回のドライバーズタイトル、マニュファクチャラータイトルを手にして、シリーズでの活動を終了する。
アウディ・スポーツ代表のヴォルフガング・ウルリッヒは、「非の打ち所のないパフォーマンスを発揮できるマシンを作り上げた、すべてのスタッフに感謝する。最高の締めくくりだった」と語る。
「また、大会期間中、感動的な送り出し方をしてくれたポルシェ、トヨタというライバルたち、そしてWECに関わるすべての方々に感謝したい。私たちにとって忘れがたい週末となったよ」
優勝という最高の形でシーズンを締めくくった7号車のドライバー陣も、喜びを語った。
「“金メダル”でシーズンフィナーレを飾ることができて、感無量だ」とディ・グラッシ。
「僕たちトリオはこれでシーズン2勝目。最高のチームであることを証明できた」
「これでアウディが作るLMP1マシンに乗れなくなり、彼らとともに耐久レースのアドレナリン溢れるバトルに加われないことを残念に思う。家族のように感じているアウディのスタッフたちがWECから去ることになって、本当に悲しいよ」
デュバルも「この勝利には特別な意味がある。アウディのLMPマシンで勝利した最後のドライバーになったんだからね」と気持ちを明かす。
「今日はコンペティティブな1日だった。僕のスティント中、ダウンフォースがなくなったと感じる場面があったけど、ピット中にメカニックがボディにビニール袋が絡まっているのを見つけてくれた。それを取り除いたら、パフォーマンスが回復したよ」
「この週末は気持ちを抑えるのが大変だったね。今は2013年にタイトルを獲得した時よりも感動している。今日の勝利を嬉しく思うし、誇りに感じている」
ジャービスは「僕たちがWECを去ることで、シリーズはポルシェとトヨタという最高のチームに委ねられる」と述べている。
「この戦いから身を引くことになって本当に悲しいけど、アウディ抜きでもシリーズは今後も大きな盛り上がりをみせるはずだよ」
WECでの活動を終了したアウディは今後、電動フォーミュラの世界選手権、フォーミュラEへの関与を強化。2017-18シーズンにはワークス体制での参戦を開始する予定だ。