19日(土)に開幕した『RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2016』。伝説のレーシングマシンを、往年の名ドライバー/ライダーたちが操り美しいエキゾーストサウンドを響かせている。
場内ではデモランだけでなく、レース界のレジェンドたちがトークショーを展開しファンを楽しませている。“永遠のライバル”星野一義と中嶋悟のふたりは、現役当時のグループCカーとF1マシン、ふたりのライバル関係について語った。
トークショーの直前にニッサン R92CPをドライブした星野は「本当にパワーがあるんだ。もう今はアクセル踏めないよ。(フルブーストで走る予選時は)1000馬力以上あるんだから。半端じゃないよね」と語り、5速ギヤに入れても加速Gが収まることがなかったというグループCカーのモンスターぶりをファンに紹介した。
トムスのCカーを駆りル・マン24時間に参戦した経験のある中嶋悟も「あの時代のマシンは直線が怖いんですよ。シケインのない当時のサルト・サーキットのユノディエールでは、マシンの激しい振動で身体がコクピットのなかで打ち付けられてしまって。あの6キロある直線は辛かったね」と打ち明けた。
星野もシケインのない時代のユノディエールに触れ「直線では水温計や油温計をずっと見ていて、ちょっとでも異常があったらすぐにアクセルを戻す用意をしておいていた。オレだって長生きしたいからさ。それくらい速いんだ。直線が終わるとホッとしてたぐらい」と語った。
「路面がうねっているような直線で380km/h以上のスピードが出るんだよ……だけどカネもらってるからアクセル踏まなくちゃいけない(笑)」と“星野節”を披露。
当時のF1についても触れた星野は「グループCカーよりも遥かに強い横GがかかるF1を、中嶋はよく乗れたなと思うよ。ル・マン24時間はマラソンだけど、F1は短距離走のような走りを延々と2時間もやるんだから。全然世界が違うよね。尊敬してるよ」明かす。
全日本F2時代のライバル関係について尋ねられた中嶋は「星野さんの存在を追いかけて、自分も成長できたし、79年にテッチャン(生沢徹)のチームに移って、81年にホンダエンジンを使えるようになってからは、(星野さんと)対等に戦えるぞ!と思ったね」と述べた。
星野は「中嶋選手が出てきたとき、すぐに速くて厄介なヤツが来たと直感したよ(笑)だからこっちも必死に努力したよね。でも中嶋選手に負けないように必死になったから、自分が歳を重ねて、(鈴木)亜久里や(片山)右京が出てきたときも戦えたんだと思う」と中嶋とのライバル関係が自身に良い影響を及ぼしたと明かした。
ふたりは最後に、毎年恒例となっている“永遠のライバル対決”について触れ、来年のモータスポーツファン感謝デーでの再戦を誓った。