マシンの走りだけでなく音も楽しむイベント、『サウンド・オブ・エンジン』。その聞きどころを中野信治に直撃した。 19日(土)、鈴鹿サーキットで幕を開けた『RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2016』。レジェンド級のレーシングカーたちが、当時と変わらぬ爆音を秋の鈴鹿で轟かせる贅沢なシーズンオフのイベントだ。そんなサウンド・オブ・エンジンの見どころと、“聞きどころ”を元F1ドライバーで、現在もル・マン24時間などで活躍する中野信治に聞いた。
今回のイベントではマシンに乗り込む予定はなく、場内実況やトークショーに登場している中野は「5年~15年前のエンジンサウンドも素晴らしいけど、フェラーリ312Tのような1970年代のエンジンサウンドも楽しんで欲しいですね」と語る。
「ものすごく甲高い音だったりはしないけど、40年の時を経ても当時のエンジン音を体験できるということを感じてほしい。そういった意味で個人的なオススメはフェラーリ312Tやロータス(ロータス72C・フォード)です」
「自分たちが(リアルタイムで)見ていなかったようなクルマの音を聞いて、当時のF1に想いを馳せるようなイメージで、このイベントを見てもらいたい」
「もちろん、楽しみ方は人それぞれで、03年や06年のフェラーリF1(フェラーリF2003-GA、フェラーリ248T)も素晴らしいサウンドを奏でてくれますから、このふたつの時代を楽しんで欲しいですね」と中野がコメントするように、各年代のF1マシンのエキゾーストサウンドは、それぞれのマシンが個性を有している。
19日も2000年代のF1マシンが放つ官能的とも呼べる高回転サウンドや1980年代のターボエンジンが奏でる力強いサウンドが、ファンだけでなく関係者までも魅了していた。この音色はぜひ、ご自身の耳と体で味わってほしい。
また、今回のサウンド・オブ・エンジンでは、F1と並び立つ目玉のひとつにグループCカーのデモランが行われており、そちらも美しくパワフルなエンジンサウンドを披露している。
ニッサンR92CPやシルクカット・ジャガーなどのモンスターマシンが、星野一義ら往年の名ドライバーの手によって鈴鹿サーキットを駆け抜けているが、なかでも必見(否、必聴)と言えるのはマツダ787Bのエキゾーストノートだろう。
残念ながら、本日は諸事情により走行が見送られたものの、明日20日(日)は“ミスタールマン”こと、寺田陽次郎の手により走行する予定。現代のル・マンを戦うLMP1マシンとは違う、独特なロータリーサウンドは往年のファンのみならず、当時の活躍をリアルタイムに知らない方でも楽しめること間違いなし。こちらもぜひ、現地で体験していただきたい。