第63回マカオグランプリのFIA F3ワールドカップは11月18日、予選2回目を終え、19日の予選レースに向けたグリッドが決した。日本勢でただひとりプラクティス1から上位に食い込んでいる山下健太(スリーボンド・ウィズ・Tスポーツ)は、予選5番手から19日を迎える。
今季3回目となるマカオGP挑戦となる山下。近年マカオは複数回参戦しなければ上位に食い込めない傾向があり、昨年まで2連覇しているフェリックス・ロゼンクビスト(セオドール・レーシング・バイ・プレマ)も今年が6回目の参戦。山下も「経験はここでは本当に大事」という。2016年、悲願の全日本F3王者を獲得した山下にとって今回のマカオは、F3での集大成とも言えるレースだ。
このマカオで山下は、シーズンで在籍していたトムスではなく、スリーボンド・ウィズ・Tスポーツからの参戦。もともとチームはマカオを得意としていることもあり、そこに山下の経験が活きて今回の速さに繋がっていると言える。
そんな山下に、予選前「ポールポジションを狙いにいく?」と聞いてみると、「もちろん狙いにいきますよ」と答えてくれた。
ただ、もともとクールな山下は、今回は特に冷静に展開を見据えている。「前にいるとレースではストレートで抜かれてしまいますから。ポールを狙いにいって3番手くらいがいいと思います」
迎えた予選2回目。コンディションが大きく上がるなかで、山下は積極的にタイムを出しにいった。ただ、終盤赤旗が相次ぎ、チェッカー間際にタイムアップしたジョージ・ラッセル(ハイテック)がポールを獲得。山下は5番手となった。
予選後、山下は「本当はもう少し上のポジションを狙っていたので、少し残念なところはあります。3番手くらいは見えていたので」と語った。ただ、3列目は予選レースでも十分に上位を狙えるポジションだ。
「まずは安全に順位を上げて、3番手くらいにつけることができれば、20日の決勝レースで勝負することができると思います」
19日は雨の予報も出ている。実際、マカオでは予選終了後雨が降り出し、20時を過ぎてかなり強くなった。実は山下は、「もともとウエットは得意だったんですが、F3に上がってから少し苦手」とシーズン中に語っていた。ただ、今回はマシンもタイヤも違う。それがどう転じるかだろう。
初日の走り出しから上位につける山下は、現地でも非常に注目度が高く、チームからの評価も良い。全日本F3チャンピオンの存在感を、ぜひレースでも見せつけてほしいものだ。