ランス・ストロールは、マックス・フェルスタッペンの印象的なF1キャリアの幕開けが、若手ドライバーたちに道を開いたと感じている。
フェルスタッペンは、ルーキーとして参戦した2014年シーズンのF3ヨーロピアン選手権を3位で終え、翌年には若すぎるという批判に食って掛かり、史上最年少の17歳でトロロッソから輝かしいF1デビューを飾った。
そして彼は今年のスペインGPの直前に、ダニール・クビアトと交代という形でレッドブル昇格を果たした。そしてそのレースでF1史上最年少ウイナーになったのだ。
18歳のストロールは今年のF3ヨーロピアン選手権で圧倒的な戦績でタイトルを獲得し、2017年にはウイリアムズからF1デビューを飾る。そんな彼はフェルスタッペンの活躍から自信をもらったようだ。
「彼はとても若いドライバーたちがF1に参戦するための道を切り開いたんだ」とストロールは語った。
「F3からF1へのステップアップは可能だと示してみせたんだよ」
しかし、来季バルテリ・ボッタスとペアを組むストロールは、自らとフェルスタッペンが比較されることに興味はないと語った。
「誰しもそれぞれが置かれた境遇というものがある。僕は自分自身と他人とを比較されたくないんだ。彼はマックスで、僕はランスだからね」
「マックスがF1にステップアップしたとき、彼のチームメイトはルーキーだった。チームメイトが何年もF1で経験を積んだドライバーなんだから比較できないよ」
「僕らは一日中誰かと誰かを比較して話をすることはできる。でも僕は僕自身のことに集中するつもりだ」
「僕がいるのは優れたチームだ。しかも若いドライバーとの働き方を心得ているチームさ」
「優れたベンチマークがいることは分かっているし、彼から多くのことを学ぶことができる。だから自分のことをするつもりだよ」
■フェルスタッペンとストロールはすでにレースで戦っていた。当時の状況を英AUTOSPORT記者、ベン・アンダーソンが語る
ランス・ストロールは自身とマックス・フェルスタッペンとを比較することに興味はないと言っているが、この2人はF1に到達する以前に既に同じシングルシーターでレースをしている。
セブリングで開催されたフェラーリ・ウインター・シリーズの開幕ラウンドは、2人にとって初めてのシングルシーターでのレースだった。
これは、若いドライバーたちに冬季テストに代わる競争の機会を与えるために、暖かい南東アメリカで開催されたものだった。
ストロールは、フェラーリの元スポーティングディレクターであるルカ・バルディセッリが始めたFDA(フェラーリ・ドライバー・アカデミー)に加入していたためそのレースに参加、その後に彼はウイリアムズと開発ドライバー契約を結んでいる。
フォーミュラ・ルノーに進むかF3に進むか熟考を重ねていたフェルスタッペンは、より多くの走行距離を稼ぐため(そして自身の走りをフェラーリに見せるため)にこのレースに参加した。
驚くことではないが、フェルスタッペンはこのときも抜きん出た存在だった。彼は既にフォーミュラ・ルノーとF3マシンでかなりのテストを行っており、F4のマシンは操縦するのにさして問題にならなかったのだ。
彼はテスト、予選、そして雨の第一レースで最速で、ヨーロッパチャンピオンだったラファエル・マルセロなどの経験のあるF3ドライバーを凌ぐペースを見せた。
フェルスタッペンはレースでルーキーにありがちなミスを何度か犯したものの、全てのセッションで本物の速さを見せた。
当時15歳だったストロールは1年若く、フェルスタッペンと同じレベルとはいかなかったものの、レースを通して着実に改善を続け、最終的には経験のあるライバルたちを追い抜いて4位に食い込んだ。
それから2人は異なる道を歩み始め、その後フェルスタッペンはレッドブルで史上最年少のF1ウイナーとなった。
来年、彼らは選ばれし者しか参戦できない最高峰の舞台で再び同じグリッドにつくことになる。
我々は既にフェルスタッペンがどれだけ優れたドライバーか知っている。今度はストロールがどれだけ成長したかを世界に示す番だ。