FIA世界耐久選手権(WEC)のLMP2クラス用車両『BR01』を製作したBRエンジニアリングは、ダラーラとタッグを組んで2018年からハイブリッド非搭載のLMP1-Lにステップアップを果たす。
BRエンジニアリングのオーナーであるボリス・ローテンバーグと、ダラーラのアンドレア・ポントレモリCEOは18年のLMP1-L参戦に向け、来年から参戦用車両『BR1』を共同で開発することで合意した。BR1を走らせるのはローテンバーグが代表を務めるロシアチーム、SMPレーシングだ。
この共同プロジェクトは先週木曜日にイタリアで始動。2017年はマシンデザインと製作、各種テストとFIAホモロゲーション取得にあてられる。また、マシン開発時のトラックオペレーションにはGP2やDTMに参戦するトップチーム、ARTグランプリが協力する。
15年シーズンにLMP2クラスにBR01を投入したBRエンジニアリングにとって、LMP1参戦プロジェクトは次なる一手と呼べるもの。BR01は今季のヨーロッパ・ル・マンシリーズ(ELMS)でランキング3位につけたほか、デイトナ24時間ではポールポジションを、ル・マン24時間耐久レースでは表彰台フィニッシュを果たしている。
また、来季からLMP2用シャシーコンストラクターが制限されること、アウディがLMP1-Hから撤退することも、同社のLMP1-L参入を後押ししたとみられている。
■「ロシアチームのためにロシア製プロトタイプを」
「チャレンジの目標を引き上げることにした」とローテンバーグ。
「来季に向けて、LMP2用シャシーを選抜された4メーカー(オレカ、オンローク/リジェ、ダラーラ、ライリー/マルチマチック)から買うこともできた。シリーズから身を引くという選択肢もあっただろう」
「しかし、我々は我々の道を行くことに決めた。必ずしも必要なことではないし、当然簡単な道のりでもない。しかし、今回の(LMP1-L挑戦という)選択は興味深いものだったし、将来に繋がるものだと確信している」
「我々の作り上げたBR01は、ル・マンの表彰台に登った初めてのロシア製車両だ。LMP1-H参戦プロジェクトの目的は、技術的分野も含めて、ロシア国内のモータースポーツを成熟させていくことにある」
「我々はロシア国内の才能あふれる子どもたちをサポートし、レースキャリアをカートからスタートさせ、GTカテゴリーにステップアップさせている。このロードマップにプロトタイプやシングルシーターを追加したい」
BRエンジニアリングは、イタリア・パルマにあるダラーラの拠点にオフィスを設置。両社のエンジニアたちは「顔を突き合わせながら」LMP1マシンのデザインを進めていくとのこと。
ローテンバーグは「ダラーラはモータースポーツに馴染みのある者であれば、一度は名前を耳にしたことのある存在だ」と語る。
「彼らとパートナーになり、BRエンジニアリングの新プロジェクトはイタリアで産声をあげた」
「ここにはロシアとヨーロッパの一流エンジニアが集まっており、彼らはロシアチームであるSMPレーシングのために、ロシア製プロトタイプを作り上げる」