世界ラリー選手権(WRC)を4連覇した王者セバスチャン・オジエは、来週頭にも新たなチームとテストを行うようだ。
突如発表されたフォルクスワーゲンのシリーズ撤退によって、来季のシートを失ったオジエ、ヤリ-マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンの3名。なかでも王者オジエの行方についてさまざまな噂が飛び交っている。
そんななか、オジエが今週末のWRC第13戦オーストラリア後にシドニーで行われるシーズンエンドパーティを欠席し、ヨーロッパで新たなチームとともにテストを行うと報じられた。オジエ獲得に向けては、Mスポーツとシトロエンが本格的な交渉に乗り出しているとみられており、上記テストもこのどちらかのチームと行う可能性が高い。
現在もフォルクスワーゲンの支配下にあるオジエは、契約に盛り込まれている他チームのマシンをテストしてはならないという規定を撤廃するべく、チームと交渉しているという。
「お互い合意に至ることを望んでいるよ」とオジエ。
「いわゆる“紳士的な対応”として、僕自身の将来のために活動できるようにして欲しいと願っている」
「可能な限り(シドニーから)ヨーロッパへ早く戻って、新しいプロジェクトに参画したいんだ。(17年開幕戦の)モンテカルロまで猶予はほとんどないからね」
「複数のチームと交渉を進めていることを隠すつもりはない。今は交渉に集中したいと思っているし、彼らがどういったプランを持っているのか見極めたい」
「最終的に契約書にサインする前に、彼らのマシンをテストしたいと思っているんだ。来季、どのマシンをドライブするべきか、実際に感触を掴むことが重要なんだ」
また、オジエは現在の状況が新シーズンを迎える上で、理想的とは言えないことを認めた。
「撤退が決まった時点で知らせて欲しかったというのが本音だ」とオジエ。
「正直に言って、モンテカルロに向けては動き出すタイミングが遅すぎる。理想的とは言えないね。決断はすぐにでも下すつもりだ。いくつかのチームが僕に興味を持ってくれているが、現状には満足していない。それでも、いくつかの選択肢があるのがせめてもの救いだよ」
■ミケルセン「感動的な最終戦になる」
オジエと同じく、突如来季のシートを失ったミケルセンは、チーム代表のスベン・スミーツから撤退を聞かされて大きな衝撃を受けたと明かし、シリーズ最終戦を迎えることが「本当に悲しい」と語っている。
「(10月末の)ラリーGBの時に撤退の噂は耳にした。ただ、あの時はあくまで噂だったよ」とミケルセン。
「今は最終戦をベストリザルトで走りきることだけ望んでいる。最後にメカニックたちを見たら感情を抑えられないかもしれないね。普段のラリーとはまったく違う感動的な1戦になるだろう」
「日曜の朝、マシンへ乗り込む時は感動してしまうかもしれない。最高のチームだったし、幾度も勝利を重ねてきた。彼らと仕事をするのが最後になるなんて、本当に悲しいよ」
また、ミケルセンは撤退のニュースによって、シリーズ最終戦に向けた準備が妨げられていると述べている。
「普段なら、オンボードなどたくさんのビデオを見て予習をするんだ。しかし、今回はビデオを見ている時に、ふと『一体何が起きているんだ? 僕は来年、どのチームで戦っているんだろう』といったことが頭をよぎってしまうんだ」
「予習に集中できたとは言い難いけど、戦う準備は整っているよ」