フェラーリF1のキミ・ライコネンは、雨のブラジルGP決勝でのピレリタイヤを酷評、過去10年でF1のウエットタイヤの性能はむしろ悪くなっているとの考えを示した。他にも何人かのドライバーがピレリはウエットタイヤを改善すべきであると述べている。
インテルラゴスのレースは危険なウエットコンディションの中で行われた。71周の決勝の20周目に入ったところで、ライコネンはホームストレートの水たまりに足を取られ、ウォールにクラッシュした。
ライコネンは、このアクシデントを避けるために自分ができることは「皆無」だったと主張、さらに現在のピレリのウエットタイヤは2000年代半ば、彼がマクラーレンで使っていたミシュランの水準には及ばないと示唆した。
「今の(ウエット)タイヤには強さがない。簡単にアクアプレーニングが起きるんだ」とライコネンは言う。
「もちろんサーキットやいろんな状況によるけれど、10年や12年前のタイヤと比べると、当時のタイヤはこれぐらいの水の量には何の問題もなく対処できていた。アクアプレーニングも起きなかった」
「アクアプレーニングが大きな問題なんだ。少しでも水たまりがあれば、グリップがゼロになる。そんな感じだ」
ザウバーのマーカス・エリクソンは、ライコネンの8周前にクラッシュしてレースを終えた。アクアプレーニングが起きてバリアに突っ込み、ピット入り口でマシンを止める羽目になったのだ。
エリクソンの場合はF1タイヤとしてはピレリしか経験していないが、以前のサプライヤーのウエットタイヤの方が優れていたというライコネンの意見に同意した。
「どういうわけかここ2、3年は、コース上に水たまりがあると、走るのがとても難しい。10年前は同じようなコンディションでも皆、問題なく走っていたのに」とエリクソンは言う。
「ウエットタイヤには改善の余地がかなりある。コーナーではいいんだ。でもストレートに水たまりがある場合が問題だ。そういうところを走り抜けられないというのはおかしい」
「確かに雨は降っていたけど、激しくはなかった。(ああいう状況で)赤旗やセーフティカーが必要になるのは問題だ。以前は赤旗やセーフティカーなしでレースを続けることができた。でも今は、水たまりでアクアプレーニングが起きるから、それができないんだ」
「つまり彼ら(ピレリ)は大きな課題に直面しているということだ。ドライバーがマシンのコントロールを失って、なすすべがなくなる。そういう状況にならずに水たまりを通過できるようにしなければならない」
「幸運にもマックス(・フェルスタッペン)のように(同じ場所でスピンしながら)ウォールにクラッシュせずに済む場合もある」
「一方、不運にも僕やキミ、ロマン(・グロージャン)、(フェリペ・)マッサのようになることもある。僕らはほぼ同じ場所でクラッシュした。ほとんどコーナーではない場所でね。だからがっかりしている」
スタート前、ピットからグリッドに向かうラップの途中でクラッシュしたハースのグロージャンは、今のフルウエットタイヤは「最悪」だと述べた。
「ウエットコンディションでももっといい性能を発揮するタイヤが必要だ。ストレートでマシンのコントロールを失うというのはかなり悪い事態だ」とグロージャン。
「エクストリームウエットがお粗末なタイヤだということが分かるよね。グリップがなくて、ものすごく大きなリスクを背負わなければならないんだ」