前回、お伝えしたように、AsLMS開幕戦は存分に楽しむことができたが、土曜日にはAsLMSとGTアジアが2017年から手を組むという重大発表が行われた。
2017年からブランパンGTシリーズがアジアで開催されても、秋から冬にかけて行われ、各クラスのチャンピオンにル・マン24時間の出場権が与えられるAsLMSはとくに影響を受けない。
しかし、GTアジアにとっては日程がバッティングするブランパンGTシリーズのアジア来襲は死活問題。で、GTアジアはどうなるのか? と関係者が見守っていた最中、GTアジアとAsLMSが手を組むということが発表されたのだ。……え?
デイビッド・ソネンシャー(GTアジアのCEO)、シリル・テシェ・ワロン(AsMLSのCEO)、日本のスーパーGTでもお馴染のパトリック・ディアス(ミシュラン・モータースポーツ・アジア・パシフィック・ダイレクター)などが顔を揃えた記者会見の要旨は以下のとおり。
「両シリーズの開催日程は重複させない」、「車検やBoP(性能調整)で協力」、「2016~2017年AsLMS勝者は2017年GTアジアへの参加費用無償化」、「2017年GTアジア勝者は2017~2018年AsLMSへの参加費用無償化」、「AsLMSチャンピオンに与えられる2018年ル・マン24時間出場権について、GTクラスは両シリーズでの総合獲得ポイントで決定」、「各クラス参加者への賞金の設定」。
上記のうち、これまでAsLMSへの参加のみが条件だったGTクラスのル・マン24時間出場権獲得には、2017年よりGTアジアへの参加も必須となり、AsLMSのGTクラス参加者にはハードルが高くなった。
ちなみにAsLMSとGTアジアの統合で与えられるル・マン24時間出場権は今後、ミシュラン・アジアGTチャレンジという名称になる。AsLMSとGTアジアはタイヤがミシュランのワンメイク。一方でブランパンGTシリーズアジアはピレリのワンメイクとなり、タイヤサプライヤーによるアジアでの勢力争いが繰り広げられる。
いままでAsLMSやGTアジアに参加していたチームやドライバーは、こういった変化とブランパンGTアジア参戦を天秤にかける。
アジアのGTシリーズ参戦経験豊富な澤圭太は、「僕はGTアジアにもAsLMSにも参戦していますが、いずれも異なるチームからです。この発表を受けて今後どうすべきか? ブランパンGTアジアの可能性を含めて、多くのチームやドライバーが横にらみしているのが現状でしょう」と困惑気味。
「当初、AsLMSを”ナメて”いたけれど、経験を積むには良いシリーズです。でも、ブランパンGTシリーズのアジア版も魅力的ですね」とはVSRのコッツォリーノ。ドライバーはもちろん、チームも悩ましい選択を強いられそうだ。