ポルシェは11月17日、WEC世界耐久選手権や北米IMSAスポーツカー・チャンピオンシップ等に使用される新LM-GTE規定の新型911 RSRを公開した。エンジンはリヤアクスル前方に搭載されリヤミッドシップ化されたほか、さまざまな意欲的な技術が投入されている。
新しいLM-GTE規定は、GT3車両とは明確に区分化され、フロントのリップの拡大やリヤに大幅のディフューザーが備えられるなど、空力面などが大幅に向上している。最も早く公開されたのがフォードGTで、さらにフェラーリ488 GTE、アストンマーチン・バンテージGTEなど17年規定に対応したモデルが登場した。
しかし、これまでGTE車両の主役の一台だったポルシェは、これまで17年規定に対応したモデルをリリースしておらず、2016年の1年間をかけて開発が進められていた。
17日に公開された新型ポルシェ911 RSRは、新GTE規定に準拠。自然吸気4リッター水平対向エンジンは、これまでの911とは異なり、大型化するディフューザーにあわせてリヤアクスル前方に搭載される。また、サスペンションや空力、エンジン、ミッションがゼロから設計された。
「911特有のデザインを維持しながら、GTのトップモデルとして史上最高の進化を遂げている」と語るのは、ポルシェ・モータースポーツの責任者フランク・シュテファン・バリサー。
「911 RSRのために我々は意図的に、特に軽量な最新の自然吸気エンジンに焦点を合わせた。これが車両の開発においてエンジニアに大きな自由を与えた。新しいLM-GTE規定は、ターボエンジンと自然吸気エンジンのトルク特性が一致するなど、原則として多彩なドライブコンセプトが完全に平等となるレギュレーションだ」
さらに、この新型911 RSRにはスポーツカー耐久レースを戦うにあたって特化した機能が盛り込まれている。メンテナンス性が向上し、クリックリリースファスナーによってボディのエレメント全体を短時間で交換することができるほか、サスペンションセットアップの変更をより迅速に行うことができるという。
また、驚くべきは『コリジョン・アボイド・システム』と呼ばれるレーダーサポートによる衝突警告システムが装備されたことだろう。市販車でも衝突回避システムはさまざまなかたちで採用されているが、この911 RSRの場合、夜間等で高速接近するLMP1等の上位カテゴリー車両を早期に検知して、接触を回避するシステムだという。
ポルシェはこの新型911 RSRを、2017年のWEC世界耐久選手権とIMSAスポーツカー・チャンピオンシップに2台ずつを投入する予定だ。