11月17日から走行がスタートする第63回マカオグランプリ。2015年からGT3のレースは『FIA GTワールドカップ』として、世界各国のGT3カーが集う“世界一決定戦”として開催されているが、今年はスーパー耐久に参戦するHubAuto Racingが参戦。吉本大樹がドライブする。
昨年からGTワールドカップとして開催されているマカオのGT3レース。今季もヨーロッパからメルセデスAMGドライビング・アカデミー、アウディ/WRT、ポルシェAG・チーム・マンタイなど、自動車メーカーの威信を背負ったワークス格のチームが数多く参戦する。
そんなレースに、日本から挑戦するのがHubAuto Racingだ。台湾のモーリス・チェンがオーナー兼ドライバーとして参加するチームだが、メンテナンスは強豪RSファインが担当。今回はスーパー耐久でモーリス、坂本祐也とコンビを組む吉本大樹がステアリングを握る。
今週末はS耐オートポリス戦の開催ウイークではあるが、HubAutoはマカオをチョイスした。もともと、熊本地震の影響で開催が危ぶまれていた際に、「スーパーフォーミュラが開催できなくなったらスーパー耐久もやらないと聞いていたんです。そこでSFが開催できないアナウンスがあったのでこちらにエントリーした」とチーム運営も担う吉本は言う。
「マカオは誰でも参加できるわけではないのですが、たまたま主催者と掛け合ったりしてくれる繋がりがあったり、フェラーリ側からもプッシュがあったみたいで、エントリーできることになったんですが、その時点でスーパー耐久をやることになって」
「マカオはひとりしか乗れないのでモーリスも乗れないし坂本選手も乗れない。だからS耐に出るアイデアもあったんですが、モーリスもマカオに出たいと決断してくれて、坂本選手も快く送り出してくれました。その分も背負って走らなければいけないと思います」
吉本にとって、マカオは2002~03年にF3で走って以来の挑戦。ただ、「ここは常に走りたいコースだったんです」という。
「僕はいつも何かチャレンジしていたいんですよね」と吉本。
「戦略的な難しさもある耐久レースを慣れ親しんだ仲間たちとやるのも面白いし、挑戦し甲斐もあるので好きですが、スプリントはスタートしたらドライバーがなんとかしないといけない。そういうレースが好きなんです」
そんな吉本&HubAutoのマカオ挑戦だが、RSファインのメンバーたちはスーパーGT第3戦/第8戦もてぎを終えてマカオに駆けつけ、メンテナンスにあたっている。ただ、S耐岡山後にパッキングし送ったたフェラーリ488 GT3だが、耐久で使えるパーツがこちらでは使えないものなどもあり、現在夜遅くまでマシンをマカオできちんと走れる仕様に変更する作業を続けている。吉本も自ら作業を手伝っていた。
チームの頑張りに応えるためにも、求められるのは世界の舞台での好結果。ただ、前述のとおり強力なワークス格が立ちふさがるはずだ。現実的に言えば、彼ら3~4チームの一角に食い込むことができれば御の字だろう。
「過去のマカオでのGTレースの話とかも聞いていますが、やはりワークスは若干仕様が違うところもあったりしますし、最高速も違ったりする。まともに勝負しにいくと難しい部分もあります」と吉本も認識している様子。ただ、それでもなんとかワークス格を食ってやろうというのが、ファイター・吉本大樹という男だ。
「でも、2台参戦しているフェラーリの利点もあると思うので、そこをなんとか探し出したいですね。予選はまずクリアで走ること、それにフロントロウに並んでもスタートで抜かれることもありますし、山側では抜けないですしね。想定はできないですが、少しずつ上げていって、予選レースで前に行ければ決勝で面白いことになると思います」
「あとはつまらない事故に遭わないことですね。実は12月に次の挑戦もあるので、ここで壊してしまうとそこに出られなくなってしまいますから。昔、F3のときには102%、103%で走っていましたけど、101%くらいで留めておこうと思います(笑)」