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LEXUS TEAM SARD スーパーGT第3戦/第8戦もてぎ レースレポート

2016年11月16日 20:11  AUTOSPORT web

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DENSO KOBELCO SARD RC F
2016 SUPER GT 第3/8戦「MOTEGI GT GRAND FINAL」(11/11-13)
ツインリンクもてぎ(1周4.801km)
入場者数:土曜23,500名、日曜36,000名 合計59,500名

 11月13日(日)最終決戦となるSUPER GT第8戦「MOTEGI GT GRAND FINAL」の決勝が行われ、12日(土)第3戦代替戦でポールポジションから2位フィニッシュでシリーズタイトルへ王手をかける逆転ランキングトップに浮上。更に第8戦(最終戦)のポールポジションを獲得し、銀鱗躍動を見せているDENSO KOBELCO SARD RC Fは、スタートを担当した平手が第3戦同様に素晴らしいスタートダッシュを決め独走。

 20周目にピットインしてヘイキと交代。各車両ピットインを済ませて順位が落ち着くとトップをそのままキープ。ランキング2位の6号車と最後まで激しいバトルを繰り広げた上にトップを守り切って首位でチェッカー。

 3日間のグランドファイナルで常に攻めの姿勢を見せ、1994年に前身の全日本GT選手権参戦以来22年にして快挙となる悲願の初シリーズチャンピオン獲得を今季初優勝で飾るとともに、3年間共に戦ったLEXUS RC Fの有終の美を飾った。

 ドライバーポイントでは第3戦代替戦で16点、第8戦で21点を獲得(計82点)、チームポイントでは第3戦代替戦で18点、第8戦で23点を獲得(計103点)と大量得点を積み上げて今季を締めくくりシリーズ全戦ポイント獲得を達成。最後まで激戦が続いた「SUPER GT SERIES 2016」においてドライバーとチームタイトルのWシリーズチャンピオンとなった。

公式練習走行
 いよいよ2016年シリーズも最終局面を迎えた。ここまでランキング4位(3位同点)につけるDENSO KOBELCO SARD RC F。

 シーズンを締めくくる最終決戦の舞台は、栃木県の山間部・茂木町にあるツインリンクもてぎ。コースはストップ&ゴー区間とテクニカルな区間が組み合わされ、ブレーキにもタイヤにも厳しく、抜き所も限られている難コース。

 季節的にも路気温とも冷え込み易くピックアップ症状にも悩まされる。レースフォーマットは通常と違い、第3戦の代替戦が12日(土)に予選・決勝、第8戦(最終戦)が13日(日)に予選・決勝と各々1日で行われる。

 公式予選は各日15分間1セッションのみ行われドライバーはどちらか1セッションのみアタックしてグリッドが決まる。決勝は約1時間半の250km。ピットストップは1回。

 ウェイトハンディは12日(土)が現所有ポイントと同じkgを搭載し、13日(日)はすべてリセットされ0kgで各車イコールの真っ向勝負となる。今季速さを見せてレースも着実にポイントを重ねてきたDENSO KOBELCO SARD RC F。シーズン前のもてぎテストから好調な仕上がりを見せてシーズン戦い抜いてきており、コースレコードを上回るタイムもマークしている。

 持てる力を最大限に発揮しチームは一丸となって銀鱗躍動に悲願のタイトルを狙っていった。

 11日(金)午前中の公式練習走行は、あいにくの雨模様で肌寒く気温9度/路面温度9度のウェットコンディション。

 9時からセッションが開始されたが雨の量が酷く、35分ほどたって雨が弱くなってコース上の雨量が減った頃を見計らって、まずはヘイキがコースイン。

 すぐにコースオフ車両があったため赤旗中断に。再開後クルマのフィーリングを確認している途中で再び赤旗中断となり午前中のセッションは4周してクルマの確認にとどまった。

 午後のセッションは40分延長され13時から14時40分まで1時間40分に再設定された。雨が止んだもののウェットコンディションのまま。

 気温10度/路面温度12度と曇り空で冷え込んだままセッションが始まった。平手がまずはミディアム系とハード系のウェットタイヤを2セット確認。ハード系のタイヤで1分46秒874の4番手とまずまずのタイムをマーク。

 少しずつ路面も乾いてきた中でヘイキも両方のタイヤを確認し、1分45秒709の4番手。そしてドライタイヤを装着したが途中に雨が再び降り出してしまい4周でウェットタイヤに戻すことに。その後ユーズドのウェットタイヤの確認を引き続き行った。

 クルマのフィーリングはまったく問題ない様子で、明日の予選のためにはドライ路面になるのが期待されたが最後までウェット路面のままに。結果、公式練習走行は午前と午後を合わせてトータル40周を走行して1分45秒709の4番手となった。


■第3戦代替戦:公式予選:ヘイキが難しい路面で圧巻のポールポジション獲得

 12日(土)天候は打って変わって快晴となったが、路面はウェットコンディションのままで気温11度/路面温度12度。

 9時から第3戦代替戦の公式予選15分間が開始されアタッカーのヘイキがコースイン。ウェットタイヤのままか途中でドライに変えるのか刻々と変わるコンディションの中で難しい判断が必要とされドライバーの滑りやすい路面での技量も要求がされる、短い時間ながら総合力が試される予選に。

 ハード系ウェットを装着して最後までフルアタックで走り続ける戦略のヘイキは、5周目に3番手タイムをマーク。路面が乾き各車ともラップタイムを上げていきドライタイヤに交換するチームも出始めた中、引き続きブリヂストンのハード系ウェットタイヤを信頼して猛アタックを続けたヘイキ。

 難しい路面コンディションの中、7周目に1分45秒885のトップタイムを叩き出して見事にGTで初ポールポジションを獲得し、最終決戦で幸先良くチームに勢いをつけた。

■第3戦代替戦:決勝

第1スティント:平手がファステストラップを記録しトップキープ

 12日(土)13時10分の決勝スタート前には路面は完全にドライとなっており気温18度/路面温度24度と温かい陽気になった。ポールポジションからDENSO KOBELCO SARD RC Fを駆る平手が、朝にマーキングされたが雨の予選のため使用しなかったソフト系タイヤを装着して見事にスタートダッシュを決めた。

 大きな差を広げつつあったが3周目にセーフティカーが導入される波乱。瞬く間にギャップが削られてしまう不運に。それでも再スタートが切られると再びギャップを拡げていく平手。

 今回は自身の家族も応援に駆けつけており並々ならぬ闘志を持って最終決戦に臨んでいる平手。ファステストラップを叩き出しながら2位に約2秒の差を付け他車の動向を見ながら21周目にトップでピットインとなった。

第2スティント:ヘイキが猛追するも惜しくも2位フィニッシュ

 ミディアム系タイヤに交換し34.9秒の素早いピットワークでミス無くヘイキを送り出す。全車ピット作業を終えて順位が落ち着くとタイヤ無交換作戦を敢行した24号車と1周前にピットインした36号車の後塵を拝する状況。

 猛チャージで追い続けるヘイキは差を詰めて39周目には36号車を3コーナーでオーバーテイク。40周目にはトップ24号車と6秒差と獅子奮迅の勢いでギャップを削るヘイキは50周目には1秒差に詰め寄る。

 テールトゥノーズでの手に汗握るトップバトルに場内は興奮の坩堝と化した。幾度となく並びかけプレッシャーを与えるがコンマ0.289秒差まで詰め寄ったところで惜しくも2位でチェッカー。

 ドライバーポイントでは16点を獲得(計61点)、チームポイントでは18点を獲得(計80点)としていずれもランキングトップに浮上し、DENSO KOBELCO SARD RC Fは初タイトル獲得に王手をかけた。


■第8戦:公式予選:平手が鬼神のアタックでポールポジション獲得

 13日(日)前日に続いて快晴となり気温13度/路面温度17度と昨日よりも上がったドライコンディションの中、9時05分から第8戦公式予選15分間が開始されファイナルアタッカーの平手が残り9分でコースイン。

 ソフト系タイヤを装着し念入りにタイヤに熱を加えていく平手。昨日の決勝スタートタイヤと同じスペックで十分にタイヤのキャラクターを分かっており、タイムがベストに出るタイミングをクレバーに調整しながらウォームアップ。

 3周目に1分37秒115のタイムでトップに躍り出る。だがライバル勢もタイムアップを果たしアタックが続く。

 次の周も全開でまさに鬼神のフルアタックで走り続けた平手は更にタイムアップして1分36秒491のコースレコードでトップタイムを奪還。見事に自分自身で記録した初ポールポジション獲得でタイトル獲得に向けて大きく前進させた。

■第8戦:決勝

第1スティント:平手が2戦連続決勝ファステストタイムでトップ堅守

 13日(日)13時30分の決勝スタート時は気温22度/路面温度27度と昨日よりも温かい陽気になった。2戦連続のポールポジションからDENSO KOBELCO SARD RC Fを駆る平手が、そのままホールショットを決める。

 上位はLEXUS勢が占めていて正にLEXUS大艦隊を形成。その中でも2位に2秒差をつけて300クラスをうまく利用しながら差を広げつつ、2戦連続のファステストタイムを刻んで独走態勢を築く平手の走りにはポイントリーダーとしての風格が漂った。

 勝てば文句なくシリーズチャンピオンを手にする状況であり、我武者羅に勝利に向けて突き進む平手に対して毎ラップホームストレートを駆け抜けると同時に大きな拍手と声援が送られた。

 ペースを落とすこと無くライバル勢を凌駕する圧倒的な速さで周回を重ねていき、20周目にトップでピットへ滑り込んだ。

第2スティント:ヘイキがGT初優勝でRC Fの有終の美を飾るチャンピオン獲得

 今度も集中したピットワークで37.3秒の素早さでミディアム系タイヤを装着してヘイキを送り出す。代わったヘイキもアウトラップから他を寄せつけない走りで攻め続け、DENSO KOBELCO SARD RC Fは全車がピット作業を終えた35周にトップに復帰。

 今度はタイヤ無交換作戦を敢行した24号車、1号車、46号車にも隙を与えなかった。だがレース終盤にタイヤカスが付着してペースが鈍ったところで3番手グリッドスタートでランキング2位とタイトルを争う6号車に詰め寄られてしまう。

 場内を大きく沸かす最後まで緊迫した激しいドッグファイトを繰り広げた末、冷静なヘイキは見事にトップを守り切って首位でチェッカー。

 3日間のグランドファイナルで常に攻めの姿勢を見せ、1994年に前身の全日本GT選手権参戦以来22年にして快挙となる悲願の初シリーズチャンピオン獲得を今季初優勝で飾るとともに、3年間共に戦ったLEXUS RC Fの有終の美を飾った。

 ドライバーポイントでは第8戦で21点を獲得(計82点)、チームポイントでは第8戦で23点を獲得(計103点)と大量得点を積み上げて今季を締めくくり、シリーズ全戦ポイント獲得を達成。

 最後まで激戦が続いた「SUPER GT SERIES 2016」においてドライバーとチームタイトルのWシリーズチャンピオンとなった。


ヘイキ・コバライネン
「この週末はすべてがうまくいった。私もコウヘイもポールポジションを獲れてそこからレースをスタートすることができたのは非常に大きいね。その結果、レースを2位と優勝で終えることができて、ほぼこの週末に稼げるポイントを得たことでチャンピオンになることができた。今季は全戦ポイントを獲得して表彰台に4回も登った。

 これを達成できたのもクルマをしっかりと仕上げてくれたエンジニアや毎日コツコツとメンテナンスしてくれたメカニックの努力のおかげ。

 また走れる環境造りをしてくれたチームメンバーのサポートとすべてのチーム関係者の支援や協力があってこそ。そしていつも声援を送ってくれた熱いファン。みんなを誇りに思っているよ。このSUPER GTは本当にコンペティティブな素晴らしいレース。来季ニューマシンでディフェンディングできることを楽しみにしている」


平手晃平
「自身3年振りのタイトル獲得になりました。GT500に上がった時に所属したサードに戻ってから2年。当時とは違うメンバーが大半を占める中で、一から苦労をしながら作り上げて皆んなで掴んだ頂点です。トヨタ/TRD様が素晴らしいエンジンとマシンを用意してくれブリヂストン様が圧倒的な強さのタイヤを供給いただき、またライバルでもあり共に戦ってくれたLEXUS陣営の各チーム。

 そしてGT2年目のヘイキは最高のパートナーです。スポンサーを始めとする支援者の皆様、関係各位の皆様などチームに関わってくれた全員に感謝したいです。

 もちろんどんな時でも毎戦、僕らLEXUS TEAM SARDを応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。来季はニューマシンのLEXUS LC500でまた新たな挑戦です。引き続きご声援のほどよろしくお願い申し上げます」


株式会社サード 代表取締役社長 佐藤勝之
「サードは前身の全日本GT選手権参戦から苦節22年にして念願のシリーズチャンピオンを獲得することができました。これも一重にこれまで私どもの活動を支えてくれたスポンサー各位、トヨタ自動車様、トヨタテクノクラフト様を始め関係各位の皆様のおかげと感謝申し上げます。

 また同じくこれまで私どものチームに所属してくれたドライバーやメンバーが積み上げてきた歴史の集大成であったと感謝申し上げます。本当に長い道のりでしたが、今季年間を通じてチームが1つとなって毎日毎日苦労して積み上げ、全力を振り絞ってこの最終戦を素晴らしい形で締めくくってくれたことを大変嬉しく思います。

 特に2人のドライバーは見事に華麗で美しく素晴らしい走りで私自身、感激いたしました。そして、いつも変わらぬ熱い声援を頂戴したファンの皆様に心から感謝いたします。これに奢ること無く来季に向けてより一層の努力を重ねていき、チャンピオンチームに相応しい、より良い環境造りに努めて参りたいと存じますので引き続きのご支援ご協力のほどお願い申し上げます」