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今宮純によるF1ブラジルGPドライバー採点&短評:他人とは違うラインを試したフェルスタッペンに5つ星

2016年11月16日 19:21  AUTOSPORT web

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マックス・フェルスタッペンとニコ・ロズベルグ(ブラジルGP)
F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、22人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。

☆ エステバン・オコン
 中途起用された第15戦ベルギーGPから完走率100%。初めてのフル・ウェットレースに69周目まで10位キープ、アロンソとボッタスに抜かれたものの健闘の12位。10日に来季フォース・インディア契約が発表されたオコン、コンスタントな戦績を残しているのが抜擢された理由。

☆ フェリペ・マッサ
 涙もろくなっていた。母国ラストラン前から現地TVインタビューで感傷的に。ブラジルGPワースト予選、46周クラッシュ、平常心を保つのが難しかったのはよく分かる。マッサに限らず、多くのドライバーがうまくいかない“ラストラン”を経験している。

☆☆ ダニール・クビアト
 この週末は乗れていた。8周目までサインツより先行、非力なトロロッソで上位をうかがう序盤の展開。だがパーマーに追突されフロアにダメージを負いペースダウン、チーム・ダブル入賞チャンスを失った。

☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ
 6年前のポールシッターはここが得意だ。エス・ド・セナの切り返しとセクター2ヘアピン維持速度が高い。雨中4位力走も22周目にパンクのせいで後退、再び鋭い追い上げを見せ7位までリカバー。

☆☆ セルジオ・ペレス
 29戦完走、9戦連続入賞だ。残り3周、ダウンフォースに優るフェルスタッペンには3位を譲らざるを得なかった。今季雨がらみのモナコGP3位、イギリスGP6位、“全天候型”のペレス。ウイリアムズを27点リード、ほぼフォースインディア4位が確定。

☆☆☆ カルロス・サインツJr.
 濡れれば濡れるほど“俊敏”な走りに。その理由の一つは、昨年型フェラーリPUのパワー&トルク・デリバリーがマイルドだからだろう。スリップ挙動が少なく、ハンドリングが不安定におちいらない(ストレートラインは晴雨条件とも伸びず、セクター1通過速度は18位、2は19位だが)。この特性を活かす丁寧なドライビングで6位、終始ウェット・タイヤで走り続けた判断も◎。

☆☆☆ ニコ・ロズベルグ
 もし貴方が今の彼の立場だったらどちらを選びますか。勝てば決まるから白煙立ち込めるコース上で思いっきりいく。あるいはリスクをおかさず2位をしっかり獲りにいく――。もう1レースある全21戦チャンピオンシップ、リードする者は選択できても必勝ハミルトンはできない。判断の結果は2位。19点リードが12点に減っても受け入れた彼。外から観る側は“ガチンコレース?”を期待するけれども、本人の心境になってみたならば……。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
 PPスタートから有視界走行できる権利を得られ、水煙に惑わされることなく、自分のペースとリズムに集中できたのが勝因。この三日間、言葉とは裏腹に相当ナーバスになっていた彼、強がってみせる性格がちらついた。こうなったら「年間最多勝」と「最多PP」を狙い、ポイントで及ばずとも「最速ドライバー」の誉れを求めて戦うのみ。

☆☆☆☆ フェリペ・ナッセ
 マシン限界ぎりぎりでコントロール、自己ベストラップは15位に過ぎない。それでも終盤まで6位をキープ、巧みなラインを選び、背後から迫る相手に隙を見せなかった。値千金の9位、2点によってザウバー最下位脱出、母国でつらぬいたベストレース。

☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
 55周目に12コーナーでスピン。レース中、ああいう攻撃的なスピンをするのはとても珍しい。最後尾17位から抜きまくり10位へ。ウェット・タイヤ発熱をうながそうと前輪をわざとこじり、後輪とのバランスをとる走り。アロンソが見せた「ウェットレースの極意」。

☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン
 SCスタートで始まったときから3コーナーではアウト・ラインを試し、他でも全く違うラインを選び、水煙を高く上げていた。狙っていたマックス、じゅうぶん「抜ける」と決断したのだろう。フル・ウェットレースの肝はコーナリング・ラインにある。もう一つ、1コーナー手前90m地点でのスピードが最速295.6KMH、ハミルトンは10位280.0KMH、ちなみにマッサは18位258.8KMH。高速道路で言えば、走行車線と追い越し車線以上の違いだ。深いブレーキングもマックスの「力技」にほかならない。