2018年卒予定の学生は、現在業界研究を行っている時期だろう。来春には応募企業へエントリーシート(以下、ES)を提出することになるが、大学のキャリアセンターで書き方を教えてもらうのも一つの手段だ。
質問サイトの「教えて!goo」には、キャリアセンターで添削されたESを企業に送ったものの、不採用になった学生からの相談が掲載されている。
「提出先の企業の採用基準がわからず、何を伝えるかではなくどう伝えるかの添削しかできないからでしょうか? 就活塾を利用しようと思っているのですが添削はキャリアセンターと同じようにするのでしょうか?」
「潜在的能力を見る大企業」と「即戦力度を見る中小企業」
この質問は、2014年3月に寄せられたものだが、11月12日にはてなブックマークで「一理ある」などのコメントが寄せられ、再び読まれるようになった。
ベストアンサーに選ばれたのは、小規模のベンチャー企業で採用活動に関わったことのある人物からの回答だ。書類審査で落とすESの内容として、
「就職希望をする業界・会社・職種に関する記述量が少なく、相対的に過去の経験(大学での研究成果・サークル活動等)の記述量が多い」
という点を挙げる。また審査したケースと前置きしつつ、新卒採用において、中小企業は即戦力になるかを、大企業は即戦力にならなくても潜在能力の高さを見る、と説明する。企業規模によって学生のESで重視するポイントが違うといい、
「その学生の潜在的能力を見るために大企業では、学生生活の経験(大学での研究成果・サークル活動等)の記述を、ある程度重視できますが、相対的に中小企業では、業界や希望職種へのこだわりを重視せざるを得ない事情があります」
と分析している。
だが、合同企業説明会ではなぜか大企業ほど「即戦力」を求め、中小の無名企業ほど「”やる気”という漠然とした言葉で学生を誘う傾向」があるという。その上で、会社説明会の内容は「建前」であることが多く、選考企業「実情」を知るには、OB訪問を行うことが必要だとアドバイスする。結論として、「就活塾に行く必要は無し」と付け加えた。
業界に通じている人でなければ、添削はどうしても紋切り型になる
この回答に対し、はてなブックマークでも、「新人を育成するノウハウを持つ大企業に対してノウハウもなければ予算もない中小企業が即戦力しか見てないのは決定的明らかであるので、既定の添削履歴書に見向きもしないのはある意味正しい判断だろう」など、評価する書き込みがあった。
ほかの回答でも採用担当者からは「キャリアセンターの指導で作られたESはまたかという感じです」「似たようなものがたくさん来る」という声が出ていた。
前述の通り「即戦力」を求める中小企業にESを送るのであれば、その企業や業界の特性を理解した上で、強い意気込みを印象付けるような内容にする必要がある。
「キャリアセンターに全ての業界の採用経験者がいるわけではないですからどうしても紋切り型の添削になります」
という指摘もあった。これからESを書く学生は、キャリアセンターで添削された内容をうのみにせず、企業研究をしっかりやりつつ自分ならでのESを意識するのがよさそうだ。
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