トップへ

TOYOTA GAZOO Racing NASCARフェニックス レースレポート

2016年11月15日 17:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

苦しみながらも2位フィニッシュを果たし、激戦の“チェイス”争いで最終戦進出を果たしたカイル・ブッシュ(#18)
2016年11月15日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部

NASCARスプリント・カップ・シリーズ第35戦フェニックス
カイル・ブッシュとカール・エドワーズが“チェイス”最終戦進出
トラックでは9度目のマニュファクチャラーズタイトル確定

 NASCARはフェニックスで3シリーズ全てで最終戦のひとつ前のレースが行われ、最終戦でタイトルを争う“チェイス”の4人が決定。スプリント・カップ・シリーズではトヨタ勢は前戦勝利のカール・エドワーズに加え、カイル・ブッシュが進出。

 エクスフィニティ・シリーズではダニエル・サレスとエリック・ジョーンズ。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズではクリストファー・ベル、マット・クラフトン、ティモシー・ピーターズの3名が進出を決め、次週タイトルを争うこととなった。

 また、全シリーズでトヨタがタイトルを争っているマニュファクチャラー部門では、一足先にトラック・シリーズで4年連続、通算9度目となるタイトル獲得を決めた。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第35戦 Can-Am 500
開催日:11月13日
カイル・ブッシュが2位フィニッシュ
カイル・ブッシュとカール・エドワーズが“チェイス”最終戦進出
 11月13日(日)、米国南西部アリゾナ州エイボンデールのフェニックス・インターナショナル・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第35戦「Can-Am 500」が開催された。

 年間36戦で争われる長いNASCARのシーズンもいよいよ残り2戦。シーズン終盤の10戦で上位選抜ドライバーによりタイトルを争う“チェイス”も最後の佳境となった。今大会を終えた時点で、“チェイス”ドライバーは8名から4名に絞られ、最終戦となる次戦ホームステッドでタイトルを争う権利を得る。

 トヨタ勢ではカール・エドワーズが前戦テキサスで起死回生の勝利を挙げ、最終戦への切符を確保。今ラウンド初戦をジミー・ジョンソン(シボレー)が制しているため、残り2つの椅子を賭け、カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、マット・ケンゼスを含む6人のドライバーによる激しい争いが繰り広げられることとなった。

 13日(日)午後0時45分に、砂漠の中の1マイルオーバルを312周(312マイル:約500km)して競われる決勝レースがスタートした。

 前半戦は5番手スタートのハムリンと、10番手スタートのケンゼスがトップ10圏内で上位を伺った。しかし、ハムリン、ケンゼス、カイル・ブッシュの3名と、わずか2ポイント差で“チェイス”残りの2つの椅子を争っているジョーイ・ロガーノ(フォード)がこの2台よりも上位を走行。

 また、ポイントでは大きく遅れているものの、ここフェニックスではここ5年の9戦中6勝と圧倒的に得意としているケヴィン・ハーヴィック(シボレー)も優勝での最終戦進出を狙い上位につけるなど、序盤から熾烈な戦いが繰り広げられた。

 一方、昨年トヨタ勢では唯一最後の4人に進出し、シリーズチャンピオンを獲得したカイル・ブッシュは前半ハンドリングの不調に悩み、トップ10圏外での走行が続いた。

 後半に入ると、カイル・ブッシュもピットイン毎に行っていった調整が効を奏し上位へ浮上。更にバトルは激化。

 245周目、ついにケンゼスがロガーノをかわし、2位へ浮上。続くコーションでほとんどの車両がピットインしたのに対し、ハムリンだけがコース上に残り、首位へ。タイヤ2本交換でトップでピットアウトしたケンゼスは2位につけると、再スタートでハムリンをかわして首位に立った。

 その後はケンゼスが後続を引き離して首位を独走。注目は、その後方でハムリンをかわしたカイル・ブッシュとロガーノによる最後の椅子を巡ってのバトルとなった。
 しかし、残り4周というところでスピン車両によりイエローコーションが発生。レースは延長され、最後の2周“オーバータイム”で競われることに。ここで、燃料の厳しかったハムリンはピットへ。10位に後退したが、タイヤを交換し、最後の逆転に賭けた。

 ケンゼスは首位、その後2列目にカイル・ブッシュとロガーノが並んで注目の再スタートが切られた。

 最前列アウト側を選択したケンゼスが好スタートを切り、第1ターンのインへ切り込んでいったが、ここで最前列イン側の車両が、後方のカイル・ブッシュをブロックしようとしてバランスを崩し、アウトにいたケンゼスに接触。ケンゼスはスピンを喫し、コース外周の壁にクラッシュ。これでケンゼスは“チェイス”争いから姿を消すこととなってしまった。

 このクラッシュで出されたコーションにより“オーバータイム”の再スタートはやり直し。この最後の2周は激しい2位争いが展開されたが、カイル・ブッシュは2位を死守してチェッカー。

 ロガーノがこのレースを制したため、“チェイス”4人目にはカイル・ブッシュが入ることとなり、トヨタ勢はエドワーズとカイル・ブッシュの2人が最終戦でタイトルを争うこととなった。

 今大会終了時点でこの4人のポイントのみ5000点に一律加算され、最終戦、エドワーズとカイル・ブッシュ、ロガーノ、ジョンソンの4名のうち最も上位でフィニッシュしたドライバーがシリーズチャンピオンとなる。

 いよいよタイトルが決定されるシーズン最終戦、第36戦は11月20日(日)、米国南東部フロリダ州ホームステッドのホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「最後のひとつ前の再スタートでは、私が88号車(アレックス・ボウマン:シボレー)のインに入って、彼が22号車(ジョーイ・ロガーノ:フォード)をブロックする形になり、私と20号車(マット・ケンゼス)が1-2で“チェイス”に残るという展開を狙っていたのだが、期待通りにはならなかった。

 私自身は今日ずっと苦戦を強いられたが、諦めずに上位を目指し続けたおかげで、最終的には素晴らしい結果で終わることが出来た。ここ数週、私本来の強さは見せられていないが、着実なレースを戦ってきた。来週は真の強さを発揮出来ればと思っている」

<チェイス・フォー・ザ・NASCARスプリント・カップ>
“チェイス”と略して称されることが多い。NASCARスプリント・カップ・シリーズの全36戦のうち、終盤の10戦でタイトルを競うプレーオフシステム。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバー(全レース出場、ランキング30位以内が条件)と、未勝利でランキング上位の計16名が“チェイス”に進出。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの3ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落しポイントはリセット。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。



NASCAR XFINITY SERIES
第32戦 Ticket Galaxy 200
開催日:11月12日
カイル・ブッシュが圧勝で今季10勝目!
ダニエル・サレスとエリック・ジョーンズが“チェイス”最終戦へ
 11月12日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第32戦「Ticket Galaxy 200」がフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。

 エクスフィニティ・シリーズも今季から“チェイス”システムを導入。トヨタ勢では、シリーズフル参戦2年目の24歳メキシコ人、ダニエル・サレスと、昨年キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでルーキーながらシリーズチャンピオンを獲得し、今季からエクスフィニティ・シリーズにステップアップしている20歳のエリック・ジョーンズの2名が現時点でも“チェイス”に残って上位を争っている。

 サレスは“チェイス”に入ってからの5戦を、1勝を含む全戦トップ5フィニッシュと安定した成績でランキングトップをキープ。

 一方、“チェイス”前のレギュラーシーズンで最多の4勝を挙げていたエリック・ジョーンズは“チェイス”に入ってから不運なレースが続いたが、前戦4位に入り、最終戦進出圏内であるランキング3位で今大会を迎えた。

 12日(土)決勝の前に行われた予選では、ここフェニックスのエクスフィニティ戦で過去10年の19戦(年間2戦)中9勝と圧倒的な強さを誇るカイル・ブッシュが今季9度目となるポールポジションを獲得。

 エリック・ジョーンズが2番手で“トヨタ・カムリ”が最前列を独占。サレスも3列目6番手と好位置につけた。

 予選の後、カップ・シリーズの練習走行を経た午後5時46分、夕闇に包まれ、コースをカクテルライトが照らす中、1マイルオーバルを200周(200マイル:役320km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。

 スタート直後こそ最前列2番手アウト側のエリック・ジョーンズが先行したものの、3周目にカイル・ブッシュが首位を奪還。サレスも3位に浮上し、序盤は“トヨタ・カムリ”の1-2-3体制に。

 しかし、エリック・ジョーンズは中盤のピット作業で自分のピットエリアを通り過ぎてしまい、大きくタイムロス。17位へと後退。

 レースはカイル・ブッシュが首位を独走する展開となったが、サレスは着実にトップ5をキープ。大きく順位を落としたエリック・ジョーンズは、終盤50周近くにわたるロングランとなったことで周回遅れの処理に苦しんだが、何とかトップ10圏内へと復帰した。

 カイル・ブッシュは全200周中190周で首位走行、2位に6秒以上の大差という圧倒的な強さを見せ、今季17戦目のスポット参戦で10勝目を挙げた。これでカイル・ブッシュは自身の持つシリーズ通算勝利記録を86へと伸ばすこととなった。

 サレスは“チェイス”勢2番手の5位でフィニッシュし、最終戦でタイトルを戦う権利を獲得。エリック・ジョーンズも10位でフィニッシュし、最後の4人に生き残った。トヨタ勢は最終戦でこの2名がタイトルを目指して戦うこととなる。

 シリーズ最終戦となる次戦第33戦は11月19日(土)、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「クルーチーフやスタッフの素晴らしい仕事のおかげで今夜の我々の“トヨタ・カムリ”は本当に速かった。勝てて嬉しい。チームメイトのダニエル・サレスとエリック・ジョーンズが良いレースを戦い、最終戦でのタイトル争いに残れたのも良かった。来週彼らの戦いを見るのが楽しみだ」

<エクスフイニティ・シリーズの“チェイス”>
 今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。エクスフィニティ・シリーズでは、全33戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバーと、未勝利でランキング上位の12名が“チェイス”に進出。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。



NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第22戦 Lucas Oil 150
開催日:11月11日
ダニエル・サレスがシリーズ初勝利
トヨタはマニュファクチャラーズタイトル確定
 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第22戦「Lucas Oil 150」が11月11日(金)にフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。

 全23戦で行われるトラック・シリーズも残り2戦。今季から導入された“チェイス”システムにより、最終戦ホームステッドでタイトルを争う4名を目指し、熾烈な戦いが続いている。

 現在“チェイス”に残っている6名のうち、トヨタドライバーは4名。但し、前2戦をシボレーのジョニー・ソーターが制したため、残る3つの椅子を巡っての争いとなる。

 トヨタ勢は、カイル・ブッシュ・モータースポーツからの出場で、ルーキーながら今季シリーズ最多の6勝を挙げている18歳のウィリアム・バイロン、チームメイトで同じくルーキーの21歳、クリストファー・ベル、そして2度のシリーズチャンピオン経験者であるベテラン、マット・クラフトン、同じくベテランのティモシー・ピーターズの4名が“チェイス”を争っている。

 11日(金)夜もとっぷりと暮れた午後8時3分に1マイルオーバルを150周(150マイル:約240km)して競われる決勝レースがスタート。

 今季2度目のポールポジションを獲得したバイロンが首位をキープ。今大会スポット参戦し、2番手グリッドを獲得したダニエル・サレスが序盤これを追い、首位を争ったが、周回を重ねていくとバイロンの独走態勢となった。

 その後方ではベル、ピーターズ、クラフトンらもトップ10圏内を走行し、“チェイス”生き残りを賭けた激しいバトルが各所で繰り広げられた。

 残り40周での再スタートが切られた後もバイロンの快走は続き、2位のサレスに5秒以上もの大差をつけての独走に。しかし、残り11周というところで突然バイロンの車両は煙を吐き、痛恨のエンジンブロー。

 ここまでの138周中112周で首位を走る強さを見せたバイロンだったが、無念の戦線離脱。最多の6勝を挙げたルーキーイヤーでのタイトル獲得の夢もここで潰えることとなってしまった。

 このアクシデントによりイエローコーションが出され、レースは残り4周で再スタート。このレースの大半で、バイロンに次ぐ2位を走行していたサレスが替わって首位に立つと、ポジションを守ってトップチェッカー。トラック・シリーズでは自身初の勝利を飾った。

 クラフトンが3位、ピーターズが5位、ベルが7位でフィニッシュし、トヨタ勢は“チェイス”の4名中3名を占めて、最終戦ホームステッドでのタイトル争いに臨むこととなった。

 また、これで今季ここまでの22戦中13勝目を挙げたトヨタは、最終戦を残して、マニュファクチャラーズのタイトルを確定した。2004年にトラック・シリーズに参戦を開始したトヨタは、ここまでのシリーズ311戦で157勝、118回のポールポジションを獲得。4年連続9度目となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得することとなった。

 シリーズ最終戦となる次戦第23戦は11月18日(金)にホームステッド・マイアミ・スピードウェイ で開催される。

ドライバー ダニエル・サレス:
「初勝利というのは常に非常に難しいもので、努力を続けるしかない。我々のチームには非常に速い“トヨタ・タンドラ”があり、チームメイトのウィリアム・バイロンが多くの勝利を重ねて来た。

 しかし、今日の彼は不運だった。私にとっては、ほんの僅かな幸運で得られた勝利だと思う。これまでチームとともに多くの2位フィニッシュを経験してきて、チームは本当に努力してくれた。

 トヨタのマニュファクチャラーズタイトル確定に貢献できて嬉しい。このチーム、そしてトヨタチームの一員として戦えることを誇りに思う」

<キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの“チェイス”>
 今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、全23戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。開幕からの16戦全ての決勝に出場し、ランキング30位以内に入った上で、シリーズ戦勝利を挙げたドライバーと、ランキング上位のドライバーから8人が選抜。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位2名が脱落しポイントをリセットして次ラウンドに進む。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。