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ストレイテナー、洗練された音楽と飾らない姿で魅了した夜 人見記念講堂ツアーファイナル公演レポ

2016年11月15日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ストレイテナー(撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER))

 東京・昭和女子大学人見記念講堂で11月10日、ストレイテナーのワンマンツアー『Step Into My World TOUR』ファイナル公演が行なわれた。


(参考:ストレイテナーワンマンツアー『Step Into My World TOUR』ファイナル公演のライブ写真はこちら


 このツアーは、ストレイテナーが今年5月に発売した9thアルバム『COLD DISC』を携えて、全国26公演を回っていたもの。前作に比べ、「日本のバンドとして邦楽を鳴らすという意識」を持って作られたという同作は、これまでの彼らの作品と比較しても邦楽色をより強めた内容であり、これまで以上にそれぞれのメンバーが歌の存在感を強めることを意識し、アレンジを加えたサウンドで構成されている。それにより、ホリエアツシ(Vo./Gt./Key.)が手掛けたストレートな言葉で綴られた歌詞が、聴く者の心に響く。楽曲に込めたメッセージをより多くの人々に届けようとするバンドの今の姿が反映された作品でもあった。


 珍しくコンサートホールでの開催となったこの日の公演は、日向秀和(Ba.)の太くグルーヴィーなベースが轟々と鳴り響き、ツアータイトルの由来となった歌詞が含まれるアルバム収録曲「Dark City」で幕を開けた。続けて、イントロが演奏されるやいなや、オーディエンスが手拍子と歓声で迎えた「PLAY THE STAR GUITAR」へ。「Ark」「The Novemberist」「AGAINST THE WALL」など、2000年代に発表した楽曲たちも次々と披露され、彼らが活動してきた13年間の新旧織り交ぜた楽曲で会場を魅了した。


 アルバムの中でも洋楽テイストを感じさせる「The Place Has No Name」は薄明かりのステージで披露された。ホリエが全英詞の歌詞を軽やかにかつ抑揚をつけながら歌いあげ、ナカヤマシンペイ(Dr.)の研ぎすまされたドラミングが響き渡る。大山純(Gt.)のギターのアンサンブルをはじめ、どの楽器のアレンジもシンプルなのは、ホリエの歌声を際立たせる役割を果たすためだろう。天井の高いホール全体に行き届くひとつひとつのサウンドに、オーディエンスは引き込まれていった。


 場内には終始リラックスしたムードが漂う。プレイヤーとして互いに信頼し合う彼らの演奏にはどこか余裕があり、途中には楽屋の一コマのようなざっくばらんなMCを楽しむセッションも設けられていた。会場がある三軒茶屋や女子大ならではのトークに花を咲かせ、会場が一体となり笑いの絶えないひとときを過ごした。


 ホリエの「踊りましょうか」という合図で始まった「Alternative Dancer」では、ナカヤマの背後から巨大なミラーボールが登場。その光に圧倒されながらも、横ノリで観客が体を揺らし始めると「Wonderfonia」「BLILLIANT DREAMER」と立て続けにアップテンポなナンバーをプレイ。終盤には、人気曲「TRAVELING GARGOYLE」「Melodic Storm」でオーディエンスに衝動を与え、アルバム収録曲「Force」「覚星」を演奏。シンプルな歌とメロディへのストレートな原点回帰に見えながらも、さらに高度で奥深く、洗練された音楽が鳴らされていた。


 ナカヤマは「正直、13年もやってるとツアーファイナルであること自体に特別な想いは湧いてこない。だけど、ライブのこの空気感の得難さみたいなのを毎回感じてて、それで今日グッときている」と話していたが、ファイナルでもふだんと変わらず飾らない姿を見せてくれた彼らのステージにこそ、13年のバンドの歩みを感じることができた。ストレイテナーが洗練された音楽と飾らない姿勢で作り上げる空間には、これからも多くの人々が引き込まれていくにちがいない。


(文=大和田茉椰)


『Step Into My World TOUR』
2016年11月10日(木)
会場:昭和女子大学人見記念講堂
■セットリスト
1. Dark City
2. PLAY THE STAR GUITAR
3. Super Magical Illusion
4. The Place Has No Name
5. Ark
6. VANDALISM
7. The Novemberist
8. Goodnight, Liar Bird
9. NO ~命の跡に咲いた花~
10. DAY TO DAY
11. Alternative Dancer
13. Wonderfonia
14. BLILLIANT DREAMER
15. 彩雲
16. AGAINST THE WALL
17. 原色
18. シーグラス
19. From Noon Till Dawn
20. TRAVELING GARGOYLE
21. Melodic Storm
22. Force
23. 覚星
[ENCORE]
24. Curtain Falls
25. MARCH