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シンティアム・アップル・ロータス スーパーGT第3戦/第8戦もてぎ レースレポート

2016年11月14日 19:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

シンティアム・アップル・ロータス
2016/11/14
エルシーアイ株式会社
Press-Information
REF-LPR16/'16

スーパーGT 第3戦 もてぎ レースレポート
公式予選レポート
 11月12日(土)、スーパーGT第3戦扱いとなる250kmレースの予選/決勝がツインリンクもてぎで開催されました。朝方に降った雨で天候の行方が心配されましたが、予選開始時間に近づくにつれ晴れ模様に。

 昨日とはうって変わった爽やかな気候のもと、8:35から定刻通りに公式予選がスタートしました。

■公式予選
 ウォームアップ走行すらない、いきなりの予選。しかも今回はQ1/Q2のノックアウト方式ではなく、“一発勝負”でグリッドが決まります。

 そのためか、ピットレーンはいつもとは違う緊張感に包まれていました。公式発表での気温は11度、路面温度は15度。天候は完全に晴れていましたが、まだ路面は朝日が照り返すほどのウェットコンディション。

 コースへと飛び出したマシンの後方からは、水しぶきが上がるほどの状況でした。各チームのタイヤ選択に違いが見られるなか、№2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT LOTUS EVORA)は最初からレインタイヤをチョイス。

 ドライバーは、エースである加藤寛規選手が担当しました。路面の乾きを睨んでスリックタイヤを選んだチームが、数周するとこれを諦めピットに戻るなか、加藤選手は着実に周回を重ねます。

 4周目には1分59秒019に入れると、6周目には58秒台に突入。そして7周目のラストアタックで1分58秒034のベストタイムを刻み、12番手を獲得しました。

 ちなみに順位こそ12番手でしたが、この難しい状況で5位からEVORAの12位までが1秒以内という、大接戦の予選でした。

 ポールポジションはライバルタイヤを履いた№11メルセデスAMG GT3が1分56秒352という驚異的なタイムで獲得し、3位までを同じタイヤを履いたマシンが独占しました。

 もしくはポールポジションは№11メルセデスAMG GT3が1分56秒352という驚異的なタイムで獲得しました。

ドライバー:加藤寛規選手
「ここは予選で前に出ないと厳しいコースですから、レインタイヤのチョイスもかなり(ドライよりのものにと)攻めたのですが……。タイヤは早い段階で暖まったのですが、絶対的なグリップが足りなかったのが残念ですね。レースは、とにかく前に行くしかないです。がんばります!」

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「スリックではぎりぎり、レインだと厳しいかな……という非常にコンディションでした。

 路面温度も最後の方では16度まで上がりましたし、ライバルたちも濡れた路面を通ったりしていました。だからこちらも『タイヤが壊れてしまうかな…………』と心配したくらいだったのですが。うまく発動してくれなかったのは残念ですね。

 でも、極端に悪い結果ではないんですよ。マザーシャシーとしてはトップの25号車(TOYOTA 86 MC)と比べても、0.6秒差ですし。明け方の雨がなく、ドライタイヤで走れていたらさらに上が狙えたとも思います。」

決勝レースレポート
1 DAY形式のレースが2連戦となる今大会。第3戦は、通常のレース進行よりも1時間ほど早い、13:10から決勝レースがスタートしました。

 シンティアム・アップル・ロータス(SGT LOTUS EVORA)のスタートドライバーは加藤寛規選手。気温18度、路面温度24度、路面は完全にドライというコンディションのもとで、スリックタイヤを履いてコースインしました。

 12番手からレースをスタートした加藤選手は、抜群のスタートを決めてオープニングラップで早くも10位に。

 その後もタイヤが暖まりきらない混沌とした状況を利用しながら、9位にまでポジションをアップしました。レースは3周目に、5コーナー直後のアンダーブリッヂで2台のGT300マシンが接触。

 これによって№55 BMW M6 GT3が大きく損傷を負い、コース上にパーツや油脂類が散乱したことからセーフティカーが導入されました。

 8周目にレースは再開。タイヤが冷えた状態からでもEVORAは真っ先に49秒台に入る快走を見せ、FIA-GT3勢たちと遜色ない走りを見せます。しかし加藤選手が予選終了後に語った通り、ツインリンクもてぎはマザーシャシーにとって抜き所のないコース。

 得意のコーナーで前を塞がれると、その後に必ず出現するストレートでその差を開かれてしまうという、厳しい膠着状態が続きました。

 そうした状況でも加藤選手は1分52秒台のコンスタントラップを淡々と刻み続け、前が開ければ51秒台に入れる走りで、レースが折り返す25周目には、EVORAを5番手にまで押し上げました。また上位陣の全てがルーティンのピットインを迎えた29周には、2番手にまで上り詰めました。

そして34周目、遂にEVORAはピットイン。高橋一穂選手にドライバー交代しました。このときチームは、いまやスーパーGTの名物となった「タイヤ無交換作戦」を実行。

 これは250kmというショートレースで、給油だけを行い少しでもピット作業時間を削る作戦で、もちろんチームはこの距離を想定したライフを持つタイヤを選択しています。しかし残念なことにドライバー交代でやや時間をロスしてしまい、EVORAは9位でコースに復帰することに。

 すると今度はこれを挽回するかのように、高橋選手が計測1周目から1分53秒889という素晴らしいタイムを刻みました。そしてここからの追い上げが期待されたのですが……。

 その後はFIA-GT勢たちのペースにリズムを合わせきれず、またGT500との交錯では大きくタイムをロスするなどして、ずるずると順位を落としてしまいます。またレース終盤には、ダウンヒルストレートからの通称「90度コーナー」で、GT300車両にリアを接触されスピン!

 マシンは幸い走り続けることができましたが、これで?気に順位を落とし、最終的には19位でゴールしました。

リザルト的には非常に厳しいレースとなりましたが、チームは今日のデータを活かし、最終戦に臨みます。2016年の最後を締めくくるレースを最後までがんばりますので、なにとぞ応援のほど、宜しくお願い致します!

ドライバー:加藤寛規選手
「今日のレースは天候が全て!予選をスリックタイヤで走れていれば……(もっと前からスタートでき、ペースが速いマシンたちと走れるので、EVORAの速さを発揮できただろう)

 今日はペースを作るのが?変な場所でずっとレースをしなくてはいけませんでした。高橋選手も?変だったと思いますよ。今日のデータを見て、あとタイヤのチョイスをもう?度考えて、明日に臨みたいと思います!」

ドライバー:高橋一穂選手
「ピックアップ(タイヤがタイヤかすを拾ってグリップを発揮できない状況)もありましたけれど、今日はペースを作ることができませんでした……。これからデータや走行映像をチェックして、しっかり修整するつもりです。」

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「もともとタイヤの摩耗は心配していなかったのですが、タイヤ交換を先にしたチームのタイムが、加藤選手のロングスティント中のタイムと変わらないことから、タイヤ無交換作戦は予定通り実行しました。

 高橋選手は出だしが良かっただけに、その後ペースが伸びなかったのは残念ですね。また今日は朝の時点で天候があまり良くなかったので、本命タイヤを選んでなかったんです。

 明日は天候も良いようですし、これを使うことを念頭にこれからセッティングを考えます。今年最後のレースを全?で闘いますので、宜しくお願いします!」


2016/11/14
エルシーアイ株式会社
Press-Information
REF-LPR17/'16

スーパーGT第8戦もてぎレースレポート
公式予選レポート
 11月13日(日)、スーパーGTの最終戦となる第8戦 MOTEGI GRAND FINALがツインリンクもてぎで開催されました。シンティアム・アップル・ロータス(SGT LOTUS EVORA)を走らせるCars Tokai Dream 28は、この今季最後となる250kmレースに、加藤寛規/高橋一穂のペアで臨みました。

■公式予選
土曜日に行われた第3戦と同じく、この第8戦も予選/決勝レースが同日に行われる1 DAY形式。公式予選は8:40から、15分間のスパンで執り行われました。

 今回のアタックドライバーは、ジェントルマンドライバーである高橋一穂選手。最終戦は、「第3戦の予選に出走しなかったもう1名のドライバー」が担当するというレギュレーションになっているからです。

 気温11度、路面温度14度。絶好のコンディションのもとでEVORAはスリックタイヤを履いてコースインしました。タイヤができあがり始めたのは4周目。タイムは1分52秒279と、高橋選手は土曜日に加藤選手が刻んだレースラップに迫るタイムをいきなり刻みました。

 予選時刻が早い時間帯であることから吸気温度が低くなり、エンジンパワーも上がります。また前日のレースで路面に乗ったラバーが、より高いグリップを発揮させる効果が早くも現れていました。

 高橋選手はその後も1分50秒992、1分49秒729と着実にタイムを縮めて行きます。しかし当然ながら、ライバルたちの条件も同じ。トップは1分46秒760(No.31 TOYOTA PRIUS GT)と例年のラップタイムを大きく上回り、じつに14番手までが1秒以内、12番手までが全てコースレコードという、熾烈な予選になりました。

 高橋選手も7周目に1分49秒063を記録し、ラストアタックで48秒台を目指しましたが、セクター1/2のタイムが全ラップを下回ったことから、タイヤを温存するためにもアタックを中断。順位は25番手となりました。

ドライバー:高橋一穂選手
「最初タイヤが冷えていたときは少し大変でしたが、暖まりも早くて走りやすかったです。結果は良くなかったけれど、加藤選手から出されていた課題を修整して、EVORAのドライビングに対する手応えをつかむことができました。今年最後のレースなので、決勝レースもがんばります」

ドライバー:加藤寛規選手
「予選結果は残念ですが、今シーズン最後のレースなので、もう一度決勝レースまでに組み立てを見直して、最後まで諦めずに臨みたいと思います。

 また今回は、来年に向けてのシミュレーションも含めて、まず高橋選手スタートで行ってみるつもりです。あとはボクのスティントでタイヤを交換するかどうかなど、様々なデータを実践でテストできればと思います」

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「こんなに低い気温で予選を走ることは通常ないので、今回もコースレコードが連発されるのは予想していましたが、周りがとても速かったですね。高橋選手自身も、当然これまでよりも速いタイムを出せてはいたのですが。

 タイヤは昨日のウォームアップ走行でテストしたものを使いました。高橋選手のコメントからも、マシンのバランスは悪くないようです。

 決勝レースでこれを使うのは初めてなので、ライフがどれくらいあるかなど、有意義なデータを採ることができればと思います。」

決勝レポート
 2016年の最後を飾る250km/53Lapの決勝レースが、13:30から定刻通りスタートしました。午前中の公式予選で25番グリッドからのスタートとなった№2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は、今季初めて高橋一穂選手がスタートドライバーを担当。

 来期に向けての実戦におけるシミュレーションを兼ね、後方からの追い上げを目指しました。ローリングスタートからのオープニングラップでは、ストレート加速に勝るライバルたちに抜かれ順位を下げるEVORA。

 しかしタイヤが暖まるにつれ、コーナーでその差を徐々に詰めて行きます。そして4周目。高速セクションとなるS字カーブをクリアし、V字コーナーをクリアしてEVORAは前方を走るマシンを捕らえました。

 しかしヘアピンカーブの進入で、非常に残念なアクシデントが起こりました。本来であれば前方を走るマシンと同じラインでアウト側から進入するべきところを、EVORAはイン側へ向けてブレーキング。これが前方を走るマシンのターンインに重なり、前走者のリアタイヤ付近に接触してしまったのです。

 これにより、No.60 LEXUS RC F GT3はリタイアに。EVORAはマシンをピットまで戻しましたが、左フロントサスペンションの破損状況がひどく、同様にリタイアとなってしまいました。

ドライバー:高橋一穂選手
「ぶつかるかトラブルかの一年でしたが……自分が言えることは、本当に接触するのはよくない。今回も、相手のドライバーにも大変申し訳ないです。

 またマシンも本当に運転しやすく仕上げてもらっていただけに、チームの期待にも応えたかった。これを噛みしめて、じっくり考えたいと思います」

ドライバー:加藤寛規選手
「去年から今年にかけて、マシンとタイヤのマッチングや、マシンのアップデートについてはうまく行きつつあったのですが、ドライバーのミスであったりマシンにトラブルが出てしまったりして、これをうまく形にできませんでした。

 本当に、悔しいシーズンでした。そうは言っても内容は少しずつですが良くなってますので、だめだった部分を少しずつ詰めて行って来シーズンに臨めればと思います」

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「トラブルもそうですが、マシンが壊れてこれを修復して……その繰り返しで終わってしまった。アップデートをテストで検証したり、セッティングを煮詰めるなど、本来やるべきことができない、苦しいシーズンでした。

 そんな状態でもクルマの速さはありましたから、これをうまく使って?度でも結果が出せれば、状況は好転できたかもしれない。まずは初心に返って、きちんとレースを終えるところから出直しです。今年?年、ありがとうございました!」