12日に行われた、2016/2017シーズンのフォーミュラE第2戦マラケシュePrix。決勝レースは、ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)が2連勝を飾った。
フォーミュラE初開催となったモロッコの大都市、マラケシュ。多くの観客が見守るなかスタートした決勝レースはポールシッターのフェリックス・ロゼンクビストがオープニングラップを制し、2番手にサム・バード、3番手にネルソン・ピケJr.と、トップ3は順位変動の無いクリーンなスタートが切られた。
ロゼンクビストは逃げ切りの体制を作るべくハイペースで走行し、2周終了時点で、2番手のバードに対し早くも2秒以上のリードを築く。後方ではピケJr.とジャン・エリック・ベルニュが激しい接近戦を展開。ベルニュはグループ予選でトップタイムを記録しており、勢いのあるベルニュに対し、ピケJr.は防戦一方といった状況だ。
そのベルニュが、9周目の1コーナーでピケJr.のインサイドに飛び込みオーバーテイク。3番手に浮上した。その後方では、消化器の質量不足によりグリッド降格のペナルティを受けていたセバスチャン・ブエミがダニエル・アプトをオーバーテイクし5番手にジャンプアップ。ブエミは勢いそのままにピケJr.をもパスし4番手に浮上した。ブエミは追撃の手を緩めずにファステストラップを連発し、ベルニュに急接近していく。
後方の争いを尻目にトップを快走するロゼンクビストは、13周終了時点で2番手バードに対し5秒近い差を築き、ミラーからライバルの姿を消し去るが、バッテリー消費量がやや多く、マシン交換のタイミングが心配された。その後方では、ベルニュがペースの上がらないバードを1コーナーでパスし2番手に浮上した。
16周目、トップを行くロゼンクビストと、ベルニュ、ピケJr.が上位陣では先陣を切りピットに向かいマシンを交換したが、ピケJr.はピットでトラブルが発生し、2分近くピットに留まることになってしまい勝負権を失う。ブエミとバードはバッテリーに1周分の余裕があり、翌周にピットに向いマシンを交換したが順位変動はなく、後半戦のバトルが再開された。
ロゼンクビストとベルニュの差は周回を重ねるごとに縮まり、約2秒差まで接近。その後方のブエミはトップ2台よりもさらに速いペースで走行し、じわじわとギャップを縮める。
ベルニュは追撃の手を緩めずロゼンクビストにプレッシャーを与えるが、22周目にドライブスルーペナルティの裁定が下る。ベルニュはピットレーンのスピード違反を犯しており、審議対象となっていたのだ。このペナルティにより、ベルニュは優勝争いから完全に脱落してしまった。
ベルニュのペナルティにより2番手に浮上したブエミは、これを好機と見た様子で、猛プッシュを開始。対象的にロゼンクビストはペースが落ち始め、ふたりの差は一気に縮まりテール・トゥ・ノーズに。ロゼンクビストも初優勝を逃すまいと防戦するが、27周目のターン1でブエミがロゼンクビストの隙を突きトップを奪う。
トップに浮上したブエミは後続との差を一気に広げトップの座を確立する。一方、勢いを失ったロゼンクビストはバードにもオーバーテイクを許し3番手にドロップしてしまった。その争いを尻目に、トップのブエミは危なげなくチェッカーまでマシンを運び逆転勝利を飾った。
トップチェッカーを受けたブエミは「ロゼンクビストとは異なる作戦をチョイスし得た勝利だ。最初のスティントでエネルギーをセーブして、ピットインを1周遅らせたことで、後半のスティントをハイペースで走ることができたんだ」とコメント。グリッド降格の不運を乗り越え、開幕2連勝を達成した。