2016 AUTOBACS SUPER GT Report
MOTEGI GT GRAND FINAL
第3戦/第8戦 ツインリンクもてぎ
ZENT CERUMO RC F
#38 立川祐路/石浦宏明
◆11月12日(土) Round 3 QUALIFY / RACE
第3戦公式予選 14位(1分48秒450)
第3戦決勝 6位
<公式予選>天候:晴れ コース状況:ウエット
<決勝>天候:晴れ コース状況:ドライ
終日雨に見舞われ、ウエットコンディションとなった11月11日(金)の公式練習走行から一夜明け、11月12日(土)のSUPER GT第3戦予選・決勝日を迎えた。熊本地震復興支援大会として開催されるこの日の第3戦は、午前9時からGT500クラスの予選が、午後1時10分から53周の決勝レースが開催される。
公式練習走行がウエットだったため、ドライのセッティングができず“ぶっつけ本番”となった予選だが、天気予報どおり朝のツインリンクもてぎは晴天に恵まれたものの、前夜からの雨が残り、路面は濡れていた。直前のGT300クラスでの予選が終わってからも、路面は乾かなかった。
LEXUS TEAM ZENT CERUMOは前日に申請したとおり、立川祐路にステアリングを託しアタックを展開していく。15分間しか走行時間はないため、まずはウエットタイヤで一度アタックを展開。ただ、コンディションの変化にともない、チームは別の種類のウエットタイヤを装着することを決断する。
チェッカーまでにアタックを完了するべく急いでタイヤ交換を行い、ふたたびZENT CERUMO RC Fをコースに送り出したが、いざアタックラップに入ろうとするとき、まさかの事態となってしまった。なんと、立川がコントロールラインを通過する4秒前にチェッカーフラッグが提示されてしまったのだ。
これで、タイム向上を目指したアタックができないまま立川は予選を終えることになってしまう。「もう1周いけたとしてもポールポジションは無理だったとは思いますけど……。セクター4は良いタイムが出ていたんですが」と村田卓児エンジニアは悔しがったが、この結果ZENT CERUMO RC Fの第3戦の予選順位は14番手。逆転チャンピオンに向け、暗雲が立ちこめてしまう。
とは言え、順位を嘆いていてもはじまらない。13日(日)の第8戦に望みをつなぐためにも、決勝レースでの追い上げが必要だった。村田エンジニアはZENT CERUMO RC Fを早めにピットインさせ、順位を挽回する作戦を立てた。
午後1時10分からの決勝レースは、すっかり路面は乾き、この週末はじめてのドライコンディションに。路面にタイヤは合うのか……!? LEXUS TEAM ZENT CERUMOも、ライバル勢も分からないなかでレースはスタートしていった。ZENT CERUMO RC Fのスタートドライバーを務めたのは、予選順位を取り返すべく自ら志願した立川だ。
その意気込みを示すかのように、立川はオープニングラップでいきなり12番手にポジションを上げると、前を走る#15 NSX CONCEPT-GTにプレッシャーをかけていく。レースは2周目に発生したGT300車両のクラッシュによりセーフティカー導入となるが、再開後#15 NSX CONCEPT-GTをかわすと、10周目には#8 NSX CONCEPT-GTをかわし10番手、11周目には#64 NSX CONCEPT-GTのスピンにより9番手、さらに12周目には#46 GT-Rをオーバーテイク。8番手まで一気にポジションを上げてみせた。
そんな立川の前方では、4台による4番手争いが展開されていた。テール・トゥ・ノーズで激しいバトルを展開し場内を盛り上げていたが、このままいくと立川がこの集団に追いついてしまう。当初の予定どおり、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは立川を呼び戻すことに決め、19周を終えてZENT CERUMO RC Fはピットイン。素早い作業で石浦宏明に交代した。
現代のSUPER GTでは、冷えたタイヤでのアウトラップが勝敗を分けることが多いが、レース直前の15分間のスタート前チェックで「アウトラップの練習をしておいた」という石浦は、その練習が功を奏し、4番手争いをしていたライバルたちがピット作業を終えると、大きくポジションを上げることに成功。ZENT CERUMO RC Fは6番手に浮上した。
石浦は前を走る#6 RC Fを追うが、ピット時間を短縮するために給油時間を短くしたため、燃費をセーブせざるを得ず、なかなかオーバーテイクには至らない。40周目には#6 RC Fが#19 RC Fをパス。タイヤ無交換作戦を採っていた#19 RC Fだけに、石浦にも逆転のチャンスがあったが、最後まであきらめずに前を追ったものの、そのままチェッカー。ZENT CERUMO RC Fは6位でフィニッシュした。
この第3戦を終えた結果、立川/石浦組は5ポイントを獲得し50ポイントでランキング4位に。トップの#39 RC Fのコンビとは11点差だ。「予選順位の状況からすれば、なんとかリカバリーはできたと思う」と村田エンジニアが語るとおり、チーム一丸の結果でチャンピオン争いの可能性を残した。明日13日(日)はいよいよ運命の最終戦。ZENT CERUMO RC Fに求められているのは、勝利のみだ。
ドライバー/立川祐路
「予選ではだんだん路面が乾いていき、最後のタイミングがいちばんコンディションが良くなる状況でしたが、その最後にアタックできなかった。タイヤ交換のタイミングなどうまくいかなかったですね。その結果後方グリッドになってしまったので、レースではそれを少しでも挽回する展開になってしまいました。結果的にはできる限りの挽回はできたと思っています。チャンピオン争いも望みを繋げたので、明日は石浦選手にポールポジションを獲ってもらえればと思います。シンプルに我々が狙うのは勝利だけとなったので、それを狙っていきたいです」
ドライバー/石浦宏明
「予選は実力を出せないまま、チーム全体として悔しい結果になってしまいました。でも今日のうちに這い上がらないと、第8戦でのチャンスがなくなってしまうので、チーム一丸となって戦いました。立川選手も序盤からがんばってくれて、前が競っている間にチャンスを作るしかないとピットインしました。スタート前にアウトラップの練習もしていたので、それでオーバーテイクできたのが良かったですね。もう少し順位は上げたかったのですが、黄旗区間があったり、ピットストップを短くするために燃料を気にしながら走らなければならない部分もあったので、前は追いきれませんでした。でも、今日は予選の分をしっかり挽回することができたと思います。明日に繋がるレースでしたね。明日の予選は自分が担当なので、なんとかポールポジションを獲って、1ポイントでも詰めて勝ちを狙っていきます。そうすればチャンスは生まれてくると思うので、思い切っていきたいです」
高木虎之介監督
「予選を考えればレースは順調にいきましたね。6位という順位でしたが、早めのピットインも正解でしたし、前の集団を抜くことができました。上出来なレースだったのではないでしょうか。明日は石浦選手にポールポジションを獲ってもらって、少しでもポイント差を埋めることができればと思います。また明日なんとかがんばりたいです」