荒れた展開で強さを見せるヨコハマタイヤとフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R。第4戦SUGOに続いてのタイヤ無交換作戦を完遂させ、シーズン2勝目を挙げた近藤真彦監督だが、まだまだ勝利への欲求は収まってはいないようだ。
事前にヨコハマタイヤが250kmのレース距離を無交換でいけるとのウワサは飛び交っていたが、その警戒された中での勝利はSUGO戦とはまた違った価値のある勝利となった。近藤監督によればSUGO戦の後、次の狙いとしてタイとこのもてぎに照準を合わせてきたいという。
「もともとSUGOとタイ、そしてこのもてぎがヨコハマタイヤのアドバンテージが活かせると思っていて、気持ち的にはシーズンで3回チャンスがあると思っていた。SUGO仙台が終わってからウチが次ぎに狙うのはタイと、もてぎの2回のレース。どちらかはチャンスがあると思っていた。それでタイの優勝を落としてしまったので、ここ(もてぎ)に賭けて来ました」
今回のもてぎでは、走行前からヨコハマタイヤの無交換戦略が予想され、警戒もされていた。
「いろいろなチーム監督から『(無交換)やるんでしょ?』と聞かれて(苦笑)。ウチのミーティングでも自然と無交換の話になっていて、ヨコハマのスタッフも『無交換の作戦の話しかしていませんよね?』『無交換が前提ですか?』となって『そうじゃない』という話はしていました(笑)」
実際には、無交換は最初のスティントで決断した。
「無交換戦略は50パーセント以上の確率で『アリだな』とは考えていました。ただ、それは本当にタイヤの状態と天候と、1スティント目の(佐々木)大樹の後半のコメントによってはタイヤ交換をしなければという考えもあった。でもレース中の大樹のタイヤについてのコメントが良かったし、30周目くらいにヨコハマタイヤの担当と話をしてこれはやるしかないと」
今回のもてぎでは土曜と日曜の2レースがある中で、特に最初の土曜日を勝負どころと捉えるギャンブラー的な近藤監督の勝負観も見えた。
「ウエイトが重い方で勝ちの確立が高いレースをしたかった。それに、チャンピオンの可能性を残して日曜のレースに臨みたかった。レースは優勝、チャンピオンの可能性がないとつまらないからね。チャンピオンの可能性は低いけれども、ゼロじゃない」
少ない可能性でもあきらめない。レース屋としての近藤監督の美学が見える。
「明日は、柳田(真孝)の予選が決まれば、今日と同じような展開になると思います。あとは、周りのチームがタイヤ無交換をやってこないことを願います(笑)」
日曜の天候は今日の土曜とほぼ同じコンディションが予想されている。今日の結果から、日曜のレースもフォーラムエンジニアリング GT-Rがタイヤ無交換を選択することは濃厚。他のチームはすでにこのもてぎのタイヤを選び終わっており、無交換を狙いたくても狙えない。ならば、予選のグリッドである程度上位を得られれば、たしかに近藤監督が話すようにフォーラムエンジニアリング GT-Rの連勝も見えてくる。
今季のGT500のヨコハマタイヤはタイでのWedsSport ADVAN RC Fのポール・トゥ・ウインを含めて、7戦中3勝。明日のレースで勝利を挙げれば年間8戦中4勝を、ヨコハマ勢が挙げることになる。チャンピオン争い以外にも、日曜のレースは見どころが多い。