FIAは、メキシコGPでセバスチャン・ベッテルに科されたペナルティについて、裁定を維持する判断を下した。この件に関して、フェラーリが再審査を求めていたことへの回答だ。
メキシコでは、マックス・フェルスタッペンがペナルティを受けたことにより、ベッテルが一時的に3位に繰り上がった。しかし、終盤のダニエル・リカルドに対する防戦の中で、ブレーキングエリアでラインを変えたと判定され、ベッテルは3位の座を剥奪された。
彼に与えられた10秒のタイムペナルティは、10月のアメリカGP直前にFIAが明確化した「ポジションを守るための過度にアグレッシブなドライビング」によるものだった。
だが、フェラーリは今週末のブラジルGPを前に、FIA国際スポーツ法典の規定に基づく再審査を請求していた。彼らは請求の理由として、この件について「いくつかの新たな証拠」が明らかになっており、また、この裁定はF1における今後のドライビングのあり方に重要な影響を及ぼすとしていた。
これを受けて、メキシコGPのスチュワードが電話で会議に参加する形で再招集され、フェラーリからはヘッド・オブ・レース・アクティビティズのジョック・クレア、レッドブルからはチーム代表のクリスチャン・ホーナーとチームマネージャーのジョナサン・ウィートレイが召喚された。
フェラーリの主張は、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングには、リカルドとのインシデントが起きる前に、フェルスタッペンに対してコースオフによって得たアドバンテージを放棄するよう指示する権限があった、というものだった。また、FIAの声明によると、彼らは「提出したGPSデータが新たな証拠になる」としていた。
これに対してFIAは、規則によりホワイティングには、ドライバーにポジションを入れ替えるよう指示する「絶対的な権限」が与えられているが、「規則は、そうする義務があることを含意していない」と主張した。
FIAの声明には、次のように記されている。「レースディレクターが彼の権限を行使しなかったという事実は、下された裁定とは無関係である」
「(提出された)GPSデータに関して、これはレース中にすべてのチームが閲覧できたデータであると認められる。したがって、スチュワードもレース中にこれを閲覧し、参照することができた」
フェラーリも、このGPSデータは、スチュワードがベッテルがブレーキング中にラインを変えた根拠としたテレメトリーデータや、その他の証拠と矛盾しないことを認めている。
FIAの声明によると、「国際スポーツ法典第14.2項は、新しい証拠が存在するか否かの判断について、スチュワードに単独裁量権を与えている」
「書面または口頭で提出されたすべての証拠を受領し、慎重に検討した結果、スチュワードは新しい証拠はないと判定する」(注:元の裁定の時点では示されていなかった新証拠がないと、再審査は受け付けられない)
これに対し、フェラーリは国際スポーツ法典に定められた権利を行使して、控訴の意思を表明したが、最終的にはその手続きを取らないことを選択する可能性もある。