昨年パドックが一部改装され、チームのホスピタリティハウスが新しくなったインテルラゴス。ただし、その段階ではまだ完成しておらず、今年どのように改装されるかが注目されていた。
1年後のインテルラゴスは、ピットガレージの上にあったメディアセンターがなくなっていた。新設されたメディアセンターは駐車場からパドックへ向かう階段の中腹にある倉庫のような場所に移設されていた。
しかも、移設された場所の案内がないため、取材開始日となる木曜日に訪れたメディアの多くがパドックで迷子になる始末。さらに、かつてのメティアセンターに比べてパドックまでの距離が遠くなっただけでなく、メディアセンターからコースが見えないため、ジャーナリストたちは「改善ならぬ、改悪だ」と不満いっぱいの様子。
さらにこのメディアセンターには2つの問題があった。ひとつは記者会見室が徒歩で5分ほど離れた場所に設置されたこと。もうひとつは、メディアセンター内に設置されているロッカーの鍵がすべて共通となっているため、ひとつの鍵ですべて開けることが可能なことだ。
サンパウロは治安が悪いため、カメラやコンピュータなどの機材を週末はメディアセンター内のロッカーに保管して、ホテルとの往復は手ぶらという者が少なくないが、これではメディアセンターのロッカーにも安心して預けることはできない。もちろん、メディアセンターにはセキュリティスタッフが巡回しているため、外部から簡単に侵入することはできないが、同業者が悪事を働かせないとも限らない。そのため、ロッカーはご覧の通り、だれも使用しなくなった。
ちなみにパドックエリアの改築は現在も継続中で、メディアセンターが移設されたのも、ピットビルが改築されるためだとか。今年はとりあえずコントロールタワーが移設され、来年以降ガレージ上のエリアが改築されていくという。
ただし、地元メディアによれば、「10月にサンパウロで市長選挙があり、レースに消極的な政党から立候補していたジョアン・ドリア・ジュニオールが新市長が当選したため、予算が削減されるだろう」と改築はおろか来年以降のグランプリ開催そのものにも懐疑的な見方を示していた。
来年のカレンダーで、ブラジルGPは暫定扱いとなっており、もし今シーズン限りでF1から引退するマッサに続いて、ナッサもシートを失うようなことが起きると、ブラジルGP消滅の可能性が一気に現実的になってくる。
今回、治安が悪いブラジルGPに珍しくバーニー・エクレストンの姿があったのも、来年以降の開催に関するなんらかの話し合いが持たられたためだと思われる。
ブラジルGPが初めて開催されたのは1973年。それ以来、ずっと開催され続けてきたブラジルGPは、いまではフライアウェイラウンドの中でもっとも長い歴史を持つ伝統のグランプリとなった。果たして、来年私たちは改築されたパドックを訪れることができのだろうか。その答えは、いまは誰にもわからない。