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友川カズキが語る、音楽とリスナーの関係「こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だ」

2016年11月12日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

友川カズキ

 2016年11月11日、2年10カ月ぶりとなるスタジオフルアルバム『光るクレヨン』を発売する友川カズキ氏。詩人・歌手・画家・競輪愛好家・エッセイスト・俳優・酒豪……といった多岐にわたる活動を、40年以上に渡り続けている日本を代表するアーティストである。10月20日には、長らく廃盤で入手困難だった2作品『桜の国の散る中を』『海静か、魂は病み』もキングレコードから再発された。


 私事ではあるが、筆者は中学生のころに観たテレビドラマ『3年B組金八先生』出演時の友川さんの演奏を観て今日に至ると言っても過言ではない。映画監督の故・大島渚氏は「友川カズキのうたが胸にしみいるとしたら、君は幸せだと思え。涙があふれたら、君は選ばれた人間だと思え。君にもまだ無償の愛に感応する心が残っていたのだ。無償の愛がまだ人の世に存在すること、それこそが友川が身をもってあがないあかしてくれたことなのだ」との言葉を残している。その友川カズキ氏に今回、音楽を始めたきっかけや作品のこと、ちあきなおみさんへの楽曲提供秘話、海外ツアーの話などをインタビューさせてもらった。(ISHIYA)


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■フォークやってる気持ち、サラサラ無いもん。


ーー友川さんは、どうして音楽を始めたんですか?


友川:21~2歳のころ東京の練馬の飯場にいたときに聴いた、岡林信康さんの「山谷ブルース」と「チューリップのアップリケ」が衝撃的で。それまでフォークソングっていうと、綺麗な歌しか知らないわけ。「この広い野原いっぱい」とか、そりぁもう全然興味なかったし。「今日の仕事はつらかった」ってリアルじゃない、こっちは土方だし、そのままじゃん。それが衝撃だったの。それでギターも弾けなかったから、友達からギター借りてきて、ギター1週間独習法とかの本あるじゃない、あれで練習したの。ドレミファソラシドとコード3つ覚えて。3つ覚えればもう完璧だもの。未だにその程度だよ。4つか5つしか知らないもの(笑)。あとはまわりが合わせてくれるから。まあ、一人でやるときも変わらないけどね。


ーー音楽を始めたのは、岡林さんがきっかけなんですね。


友川:そうそうそう。音楽は好きだったからね。ジャニス・ジョプリンとか好きで。外国の音楽だけ入る日本のラジオってのがあったのよ。FMかな? それでジャニスとか聞いてびっくりしちゃってさ。


ーーそういった60年代のロックを聴いていたんですか?


友川:ジャニスの姿をしっかり見たのは、東京に来てからだね。ウッドストックのジミヘンとか。あれ観て映像で狂ったわけ。世界には“最低の凄いやつ”がいるんだなって思ってさ。ジャニスには感動したよ。ジミヘンもびっくりしたしね。そっちは好きだったのよ。趣味でレコードを買ったりして。それからトム・ウェイツにいったり、ドアーズにいったり。ジム・モリソンなんて本当いいと思ったね。あとセックス・ピストルズとか。世界には凄い不良がいるんだなと。


ーーパンクも聞いていたんですね。


友川:そうだよ。結構聞いてたよ。フランク・ザッパとか、ああいう音楽とかね。ほかにもピンク・フロイドとかキング・クリムゾンとか、ああいうのも好きだったのよ。ザッパなんて、ステージで自分のうんこ食っちゃうって話だし。人間それ以下はいないよ(笑)。


ーーだからパンクに友川さん好きな人間が多いのかもしれません。


友川:だって私、フォークやってる気持ちサラサラ無いもん。誰とも付き合ってないし、ミュージシャンなんか。自分のバンドは別だよ。でも、バンドのメンバーの携帯番号も知らないよ。ほとんど誰とも付き合ってないから。今日だって競輪やって、聴いてる音楽もほとんどジャズだから。音楽ってほとんど聞かないの、普段。昨日もずっとジャズ聴きながら絵描いてた。競輪中継つけたままね(笑)。自分のCDとか全く聞かないですよ。聴く意味ないよ、自分で。聴きたきゃ自分で歌えばいいのよ。そういうことでしょ?(笑)。


ーーご自身の音楽を客観的に感じることはしないんですか。


友川:全然興味ないね。


ーーでは、どうして音楽をやっているんですか?


友川:次々つくるのはお金のためだよ。生活のためにつくってる。職業だよ。なぁ~んだと思ってたの? 趣味で歌ってると思ってたの?(笑)。


ーーいや、趣味とは思ってないですけど。


友川 趣味であんな歌歌えないよ。疲れるんだから(笑)。ボブ・ディランが何か賞もらったでしょ。だから私は今回色々わかったのよ。私はディランに対して「プールつきの豪邸住んでて、何で歌なんか歌ってんだろ? 変なオヤジだな」と思ってたの。俺だったらとっくに歌やめるよ。「プールつきの豪邸住んだら要らないじゃん、歌なんか。他人の歌ってるくだらない曲流しとけばいいじゃん。人前出てやることないじゃん」って本当思ってたの。そしたらスタッフの誰かが「世界中に子どもがいて、その養育費のために歌ってるというウワサもあるそうですよ」って言うんだよね。そうしたらボブ・ディランが急に偉い人、立派な人に見えてきてね。一時はヤク中でずっと何年間も歌ってなかったわけじゃん。人間ってそうなるよなって思ったの。金持てば。貧乏人にはなれないよ、ヤク中も。金持ちがヤク中になるのは、なんか普通な感じする。何かに酔いたいのよ。金持ちだってね、貧乏人と同じ「さみしさ」みたいなのがあると思うんだよ。貧乏人には無いさみしさだけど。だから私ステージでもよく言うギャグのひとつは「死ぬまでに一回でいいから、金持ちの寂しさを知りたい」って(笑)。貧乏人のさみしさは満喫したから(笑)。


ーーライブには、大人のお客さんの方が多いじゃないですか。


友川:いや、最近若い人多いよ。それが、ラジオのおかげなのよ。『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)っていう番組で俺の曲をかけたり、ゲストに呼んでくれて。それからなの、若い人が来るようになったのは。


ーー岡林さんやハードロックから受けた影響は大きいですか?


友川:影響っていうかスタイルね。自分で詩を書いて歌うっていう、簡単な話よ。でもそれまでのフォークってみんな人がつくった歌を歌っていたから。外国の歌を歌ったり、カレッジフォークだったり。私は音楽をやる前から、ずっと自分で詩を書いてたから「この詩を歌えばいいんだ」みたいな手法よ。そこにびっくりしたの。ボブ・ディランについてもいろいろ調べたから影響は受けてるんだけども、そうじゃなくて日本人で、自分で詩を書いて曲をつけて歌う。その走りだよ、岡林は。そのあといっぱい出てきたけどね。他のフォークはたいして売れなかったじゃん。でも岡林は売れた。「山谷ブルース」とか。だから俺の耳にも入ったのよ。こっちは飯場にいたしさ、あんなにリアルタイムな曲はないよね。首締められた方がマシだよ(笑)、本当に。


■ちあきさんは凄い。生で歌を聴くとびっくりしちゃうよ。


ーーちあきなおみさんが歌った「夜へ急ぐ人」は、友川さんがつくられた楽曲です。そのいきさつについても聞かせてください。


友川:昔『11PM』っていうテレビの深夜番組があって、あれに俺何回も出てるのよ。酒飲みながらの番組だからベロンベロンで「生きてるって言ってみろ」を歌ったの。そしたら、ちあきさんがたまたまその番組を見てたらしくて。それで「ああ、この人に曲をつくって欲しい」って思ってくれたみたいで、放送が終わって東京に帰ってきたらすぐ電話が来て。事務所に行ったら郷えい治さんがいて、ちあきさんに曲をつくって欲しいと。それで決まったのよ。


ーーあの曲は、ちあきさんのために書き下ろしたものなんですね。


友川:もちろん。それで、ステージだけは一回観させて欲しいと。ちあきさんのことは知ってるけど、生のステージを観たいって言ってライブに行ってね。そこでちあきさんがジャニス・ジョプリンを歌ってて、歌がメチャクチャ上手いのよ。号泣しながら歌ってるのを観て「こりゃ、もうすぐにつくれる」と思って「夜へ急ぐ人」をつくったの。


ーーちあきさんは「夜へ急ぐ人」を紅白でも歌いましたよね。俺はそのちあきさんの紅白をリアルタイムで観てないんですけど、子どもの頃に観てた人で、「親が紅白を観ててテレビを消すのを初めて見た」と言っていた人がいました。


友川:それいい話だね。


ーーあとで観たらとんでもないじゃないですか。


友川:とんでもないし、司会者が台本にないこと喋っちゃって。


ーー「気持ち悪い歌ですねぇ」ってやつですよね(笑)。最高の褒め言葉です。


友川:最高ですよ。私は本当に感動しましたよ。大晦日に紅白で「気持ち悪い」って司会者は言っちゃいけないよね(笑)。


ーーそれぐらい衝撃的だったんでしょうね。


友川:あの狂気ね。LPも出したんだよ。片面が河島英五で、俺が片面。7曲か8曲つくってるから。それでシングルも2枚出してる。でも、全然売れなかった。


ーーちあきなおみさんの存在は、やっぱり凄かったですか?


友川:凄い。生で歌を聴くとびっくりしちゃうよ。


ーー今でもちあきなおみさんの作品が欲しいっていう人が、俺より下の世代でもいます。


友川:静かな人でね、おとなしくて優しい。私はいつも郷えい治さんと話してたんだけど、ちあきさんは横にいて酒をつくってくれたりとかそういう感じ。


ーー「夜へ急ぐ人」は、志村けんさんの「志村けんのオレがナニしたのヨ?」(フジテレビ系)のコントでも使われてましたよね。


友川:そうそう。それをナインティナインの岡村隆さんがネットで観て、それで俺にたどり着いたわけよ。逆に「この歌をつくったのはどういう人だ?」ってことで俺の歌をかけてたという。


■音楽は頭を使わない。出たとこ勝負で、それがよくてね。


ーー今回のアルバム『光るクレヨン』は33作目とのことですが、作品を出すに至った経緯は?


友川:いやいや、紛らわしいことはないよ。歌がたまったからだよ。


ーーこの作品では、西東三鬼さん、石原吉郎さん、間村俊一さん、波田野紘一郎さんといった色んな方の原句や原詩を使っていて、それを友川さんがアレンジしている。しかし、その方たちのオリジナルについて俺なんかは知らないんですよ。そこで、アレンジしているのはどの部分なのかなと。例えば「三鬼の喉笛」で山崎春美さん(ガセネタ/TACO)が語る最後の部分については、いかがでしょう。


友川:ああ、あれは俺の詩よ。


ーーやっぱりそうなんですね。<気温50度の公園で 少年がリフティングをしているその横を/バテた鳩が5羽も6羽もあるいている/サビた過去の巻き尺のように カクカクとしておぼつかない>というところなんかは、中原中也っぽく感じて、凄く友川さんぽいなぁと。


友川:いやいやいや。あれは公園で書いた詩だね。


ーータイトル曲の「光るクレヨン」も公園で書いた詩ですよね。このタイトルはどういう意味なんですか?


友川:別になにもないよ。おめぇが考えてくれよ(笑)。葉っぱの色が緑なのをクレヨンと表現しただけで、それは光る葉っぱでもいいわけ。そういう感じよ。たいした意味はない、感覚なのよ。


ーーそれは、初期の頃とはまた違う表現方法なのでしょうか。


友川:違うね。前はもっと具体的だったね。


ーーその初期の頃の作品『桜の国の散る中を』と『海静か、魂は病み』が再発されましたが、友川さんの詩は「みんなで明るく楽しく」というわけではないじゃないですか。


友川:「みんなで」っていう根性が自分の中にないもん。たった1人でいいわけよ。「あなた」でいい。全員に歌ってる気持ちが一切ないから、1対1の感じなのよ。


ーーライブもそういう感じですか?


友川:ライブも全く同じ。だからってガラガラだったら疲れちゃうけど。やっぱり満杯の中で1人1人、1対1がいいね。退屈って感じしない? ステージって。キザに言うとタイマン張ってる感じというか。


ーー今回のアルバムの中で、遠藤ミチロウさんの「思惑の奴隷」という曲をカバーしているじゃないですか。いい歌ですよね。


友川:あれはね、ミチロウさんの歌をみんなでカバーしたCDが1枚出たのよ。そのときに歌ったの。いい歌だね。言葉がいい、「思惑の奴隷」なんてさ。「カァ~ッ! なってみたい!」みたいなね。


ーー「悪いふうにしか考えられないか」という言葉もとてもいいですよね。


友川:いい言葉だ。ミチロウさんは私の「ワルツ」という曲を歌ってるんだけど、ミチロウさんの「ワルツ」もぶっきらぼうでね。彼、上手く歌おうとしないじゃん。あれでいいの。上手く歌おうとか、感情を出そうなんて一切思ってない。あれがいい。「悪いふうにしか考えられないか」いい言葉だねぇ。


ーー曲づくりの方法は、詩が先ですか?


友川:そうそう。詩というかメモね。メモしてる言葉にギターを弾いて曲をつけて。簡単なのよ。私の唯一の利点はね、ヒット曲はないけどスランプも全くないの。悩みってのが無いからね。競輪では悩む。どこを買うかとかね。結構頭使うんだよ、競輪は。音楽は頭を使わない。出たとこ勝負で、それがよくてね。詩は耳障りを直すけどね。例えば「一人ぼっちは絵描きになる」っていう歌は最初、「一人ぼっちは画家になる」だったのよ。でも“画家”だと“バカ”にも聞こえるし、はっきりしないでしょ、音にしたとき「何て言ってるんだろう?」って。絵描きなら簡単にわかる。曲にしたときに、そういう直しはあるね。


ーー今回のアルバム『光るクレヨン』に入っている、遠藤ミチロウさんの「思惑の奴隷」も原曲を知らなかったんですけど、個人的にそういうことが友川さんにはよくあって、「サーカス」を聞いて「何だこれカッコいいな」と思って中原中也を知ったりとか。


友川:俺もほとんどそういうパターンだよ。ボブ・ディランだけは、影響を受けた詩人を知ってる。アレン・ギンズバーグってね、凄い詩人がいるの。だからボブ・ディランの詞にはあんまり影響受けなかったのよ。歌は結構聴いたけど。「ハリケーン」とか「ライク・ア・ローリングストーン」とか名曲じゃないですか。でも、歌詞はあんまり読んでないな。「答えは風の中にある」なんて、本当嫌いな言葉だよ。風の中にあるってことは、どこにも答えはないってことだから。でも、まぁまぁいいの。世界中に子どもがいて、養育費のために歌ってるってホントだったら、いい話だねぇ~。


ーーディランはノーベル賞を拒否すると思ってたんですけどね。


友川:いや、どうでもいいよあんなの。でも、やっぱり9600万は貰った方がいいよ。秋田のある新聞社の人から電話があって「今、ボブ・ディランがノーベル賞とったんですけど、友川さん感想は?」って言われて「ない」って答えたくらい(笑)、なんにもない。どうでもいいのよそんなのは別に。貰ってもいいし貰わなくてもいいし。村上春樹も全然興味ないし。ただ、泉谷しげるがスポーツ新聞の取材に「違和感がたまらなかった」って言ってて、その言葉は「ああ~そうだなぁ」って思ったね。


■自分の意思表示として動く人間は、みんな表現者。


ーーこの前海外ツアーをされていましたが、外国でMCはやったんですか?


友川:いや、無理。言葉がわかんないから。来年11月にアメリカ行くんだけど、アメリカはどうしようかと思って。


ーーどこに行くんですか?


友川:ロスと、ニューヨークと、その近辺五カ所。外国も最後だなぁ~。この前行ったウクライナとドイツは、安い飛行機だと乗り継がなきゃいけなくて。ウクライナとドイツの2カ所をやるために8回飛行機に乗るの。スタッフが一生懸命やってくれるから、結構真面目なふりしてついて歩くじゃん、酔っぱらいながらも。でも帰ってきて疲れちゃって二週間寝込んだ。それで「外国、ちょっと無理だなぁ」って思って。アメリカは今まで断ってたのよ。あと、コロンビアの話も来ていて。決定してないけど「コロンビアも行きてぇなぁ~」とは思ってる。行ったことない国だから。イギリスとかベルリンも話が来たけど、それはもう行ってるから断った。行ったことないところに行きたいじゃん。


ーー友川さんのライブの魅力のひとつでもあるMCをやらないっていうのはどういう感覚だったんですか?


友川:不思議な感覚だね。今年行ったウクライナじゃ、400人ぐらい入ったよ。びっくりしちゃってね。主催者が『花々の過失』って映画(友川カズキ氏のドキュメンタリー作品)の監督の知り合いなの。若い人が多かったんだけど、みんなネットで動画を見てきてるんだね。騒いだりしたら俺も怒ろうと思ってたんだけど、シーンとしててね。アンコール4、5回やったね。あれは驚いた。


ーー演奏、楽曲のみで伝えたんですね。


友川:言葉が一切話せないからね。前に行った台湾と北京だけ通訳がいたけど。1回イギリスで、知り合いに大学の先生がいて1曲ずつ客席に解説をしてもらったのよ。そうするとね、今度はこっちがシラけるのよ。間が空くから1回1回熱冷まされるでしょ。それで「もういらない」って。ネット時代だからYouTubeとかで聴いてる人があちこちからくるのよ、レコード持ったりして。ドイツでやったときもフランスから来た人いたもんね。長距離バスで。


ーー友川さんは絵も描かれていますよね。なぜ絵を描き始めたんですか?


友川:絵は毎日描いてる。昔っからの趣味なのよ。東京出てきてすぐから描いてる。絵は本当好きなの。今回絵の小冊子も出したよ。絵は観るのも好きで、美術館にはしょっちゅう行ってるんだよ。


ーー絵を描いたり鑑賞したりすることは、楽曲制作へ影響していますか?


友川:もちろん。絵はむしろ音楽的だよ。パウル・クレーなんて音楽家だもん。


ーー音楽と絵の共通点は大きいのですね。


友川:大きい大きい。詩より大きいよ。普段ギターなんかほとんど弾かないし。ホコリかぶってるよ。ゴミ箱の中から拾ってきたギターで歌つくってるから。それだけ興味無いってことなの。ミュージシャンの人たちは楽器を大事にしてるけど、一切ないから。


ーービックリしましたけどね。ライブハウスで終わったあとに、次のライブハウスにギターを送るっていうのは(笑)。


友川:あれ、俺のギターでもないし、持って歩くのも好きじゃないんだよ。かさばるしさ。未だにチューニングもできないから(笑)。チューニングはマネージャーがやってるから、機械でね(笑)。ふつうチューニングできなくて33枚もCD出せないよ。本当に奇跡だよね(笑)。


ーー最後に、今回のインタビューを読んで初めて知る人たちに伝えたいこと、言いたいことはありますか?


友川:う~ん、あんまりないね。知ろうとしてる人は知るのよ。知ろうとしてない人は生涯知らない。それでいいのよ。


ーー聞いて欲しいとか、知って欲しいとかじゃないんですか?


友川:うん、まあね。そんな切実には無いね。何かを知ろうとしていけば、それは何か知るのよ。興味とか好奇心があれば、たどり着く。だって、私のコンサートに来る人間は、みんな自分に興味がある人間だよ。俺にじゃないよ、自分自身に興味のある人間。それが正しいんだよ。だから私はね、よく言うの。こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だって。絵を観るのも表現なの。自分の意思表示として動く人間は、みんな表現者なんだよ。私はたまたま歌ってるだけで、たまたま客席にいたり、たまたま歌聴きにきたりって、その行動ってのは誰かに何か言われたわけじゃない。意思表示だよ。だから興味・好奇心のある人間は、本当繋がるよ。