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遺産相続あるある 約6割が「通帳・印鑑の場所も知らない」

2016年11月11日 16:12  Techinsight Japan

Techinsight Japan

想定外のトラブルが起こりがちな遺産相続
「遺産相続をめぐるトラブル」はテレビドラマや映画のなかだけの話だと思っていないだろうか。ある調査では、相続トラブルを経験した3割の人が「相続問題は自分には起こらないと思っていた」と告白している。遺産をめぐる家族や親戚での骨肉の争いをイメージしがちな相続トラブルだが、実際に直面して初めて気づく様々な問題も起こっており、もはや他人事と決めつけられないようである。

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このたび遺産相続実態調査委員会が、全国の40歳から69歳までの遺産相続経験のある男女500名にインターネット調査を実施した。その際に「相続トラブルでの後悔」について聞いたところ、一番多かったのが「相続について生前にもっと話しておくべきだった(52.6%)」であった。実際に家族間の争いよりも先に問題になるのが、そもそもお金、土地、借金がいくらあるのか分からないことだという。また「遺産相続発生時に印鑑や通帳の場所を把握していたか」という質問には「把握していた(39.8%)」「一部把握していた(27%)」「まったく把握していなかった(33.2%)」という回答が得られた。つまり、約6割が故人の印鑑や通帳の場所さえ知らなかったことになる。これらの調査から、生前の相続に関するコミュニケーション不足がうかがえる。


こうした相続トラブルを防ぐためのひとつの手段として「遺言状」がある。また、遺言状を残すことにより、相続トラブルを未然に防ぐだけでなく、大切な家族へメッセージを伝えることもできるという。『2万通の遺言書と向き合った! 現役実務担当者が教える円満相続への道』の著者で、りそな銀行の折原和仁さんは、「公正証書遺言でも、付言で、遺言者の真意を伝えたり、家族との思い出や感謝の言葉を自由に述べることができます。我々、プロでも思わずもらい泣きしてしまうメッセージに出会うことも少なくありません」と自身が扱った遺言状に託された“想い”に触れてから、「実際、こうした想いを家族に残すことで、相続人同士が、お父さんの言う通りにしようと一致団結して、トラブルを未然に防ぐ役割を果たすこともあります。逆に生前に遺言を準備される方から、遺言を考えることによって、いまの家族とのコミュニケーションが円滑になったという話もお聞きしますね」とその効果について言及した。


前述の調査で「遺言書で今いちばん、想いを伝えたい相手」を聞いたところトップは「配偶者(50.6%)」であり、「伝えたい言葉」の第1位は、感謝の言葉「ありがとう」だった。寿命はいつ訪れるか分かり得ないもの。相続トラブルを防ぐために、そして大切な人に想いを伝えるために、相続にしっかり向き合う機会を持つことが重要なようだ。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)