セバスチャン・ベッテルは自身の最大の焦点はドライビングにあると認めつつも、ドライバーとして経験を積んできた今の自分には、それ以外の部分でもチームを助けることができるとの見解を示した。フェラーリF1のチーム代表マウリツィオ・アリバベーネは、ベッテルにはドライビングに集中してほしいと発言している。
先月アリバベーネは、ベッテルは来季以降もチームに残るには自分自身の力で契約を勝ち取る必要があると語り、純粋に彼自身の役割に集中するよう促した。
「セバスチャンはマシンだけにフォーカスしなければならない」とアリバベーネ。
「彼は仕事に全力を注ぐ人間であり、そのため時にあらゆることに関心を持ってしまう」
「だから彼を方向転換させて、本来の仕事に集中するよう促さなければならない」
チーム内でのポジションに関し、以前所属していたレッドブルと今のフェラーリとの違いについて尋ねられたベッテルは「全く違う」と答えた。
「レッドブルに入った時、僕は21歳だった。そのころから比べると今は少し経験を積んだから、状況は全く違う」
「人は成長していくらか経験を重ねたら、以前よりも大局的に物事を見ることができるようになる」
「それによって心や物事の視点も変わる。そんな風に物事が見えるなら、何らかの手助けができる」
「もちろん僕はクルマを運転するためにここにいる。だけど(チームの)手助けをするためでもあるんだ」
今年フェラーリは期待外れのシーズンを送っており、チャンピオンシップをリードするメルセデスに対して手ごわいライバルとしてチャレンジすることができず、そればかりかコンストラクターズ選手権ランキングでレッドブルにまで抜かれてしまった。
それがアリバベーネ批判につながり、F1を商業面で取り仕切るバーニー・エクレストンは、チームの日々の運営に関してアリバベーネには今よりもよい体制でのサポートが必要であると示唆した。しかしベッテルはボスであるアリバベーネを弁護している。
「僕が思うに、彼はたくさんの責任を負って、懸命に努力し、多くの作業をこなしている。そこは高く評価すべきだ」とベッテルは述べた。
「一方で、チームには大勢のスタッフがいて、彼はひとりきりで働いているわけじゃない」
「皆ができる限り手助けしようとしているんだ」
「1300人をまとめるのは簡単なことではないが、それをしている人たち、特にマウリツィオはとてもいい仕事をしている」
「状況は好転し始めている。今後に向けて明るい兆しが見えているんだ」
「何か大きなプランを用意したときには、僕は以前レッドブルでそういうプロセスに関わってきたから分かるんだけど、時間がかかるものだ。(レッドブルがF1に初参戦して)本格的に取り組み出したのは2005年。レースで優勝したのは2009年。それだけの時間がかかった」
「メルセデスだって時間がかかった。レベルをさらに引き上げてトップに戻ろうとしているときにはいつだって時間がかかる。人々が連携して取り組み、物事がよい方向に進むまでには時間がかかるものなんだ」
「ひとたびそれができるようになれば、うまくいって物事が進み出す。そのとき、結果も出始めるんだ」