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結婚報告したら先輩社員が「子ども作るなら繁忙期避けて」と忠告、これってマタハラ?

2016年11月11日 10:22  弁護士ドットコム

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結婚を報告したら、人事部の女性社員に、子どもを作るなら繁忙期を避けるよう忠告されたーー。ある女性が、インターネット上の掲示板にそのような書き込みをした。


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投稿者は今年結婚をすることになり、部長に報告。すると、その話が人事部で長年勤務している女性社員の耳に入り「子供は考えてないって言うけど、やればできちゃうのが子供なの」「うちの会社、10月から2月までは繁忙期だから間違ってもそんなことのないように」と、子どもを作るなら時期を考えるよう、暗に忠告されたという。


投稿者は、女性社員の発言に対して「よく思い返せばこれ、夜の営みについての話ですよね」「気持ち悪くて仕方ありません」と嫌悪感を示している。女性社員のこのような発言には、どのような問題があるのか。谷口真理弁護士に聞いた。


●女性社員の発言は「マタハラ」か?

「まず結論から申し上げると、今回のケースは、職場での妊娠・出産などに関するハラスメント行為(いわゆるマタハラ)に、直ちにはあたらないと考えられます」


谷口弁護士はこのように述べる。


「マタハラ防止のための雇用主の義務について明記した改正男女雇用機会均等法が、詳細なマタハラ防止指針とともに2017年1月1日より適用されます。


この指針では、マタハラ行為を『妊娠・出産に関する制度などの利用への嫌がらせ型』と『妊娠・出産などの状態への嫌がらせ型』とに類型化しています。これらの類型では、主に妊娠・出産に関する制度などを利用する意思を周囲に示した場面や、実際に妊娠・出産などをした場面が想定されています」


今回のケースでは、投稿者は妊娠・出産をしていない。そのため、マタハラ防止指針の類型にあてはまらず、就業規則などで会社から具体的に禁止されているような場合は別として、「直ちに違法なマタハラにあたるとは言えない」と谷口弁護士は指摘する。


「しかし、妊娠、出産に関する否定的な言動が日常的に繰り返されれば、そうした環境が原因や背景となって、現実にマタハラを生じさせるおそれもありますから、問題はあるでしょう。


マタハラ防止指針も、妊娠・出産に関する否定的な言動がマタハラ発生の原因や背景となりうる可能性を重視し、雇用主に対し、その旨を就業規則などに記載し周知啓発することを義務付けています。


また現実にマタハラが生じている場合に限らず、発生のおそれがある場合や、マタハラに該当するかどうか微妙な場合でも、広く適切に対応できる相談窓口の設置も義務付けられました」


●セクハラになる可能性は?

今回のケースは直ちにマタハラに該当するとはいえないようだが、別のハラスメントにあたる可能性はあるのだろうか。


「記載されている先輩社員の発言が、今後繰り返されるなどすれば、違法なセクハラに発展する可能性があるでしょう」


なぜセクハラになりうるのか。


「厚生労働省のセクハラ防止指針によれば、職場でのセクハラは、同性に対するものも含まれます。今回のケースで、先輩社員は『やればできちゃうのが子供なの』といった、投稿者夫婦の性的な関係に関わる発言をしているようです。


この発言により、投稿者の就業環境が不快なものとなり、能力を発揮する上で重大な悪影響が生じるなどの事情があれば、違法なセクハラ行為にあたる可能性があります。しかしそうでなければ、就業規則などで会社から具体的に禁止されている場合は別として、直ちに違法なセクハラ行為にあたるとまではいえません。


もっとも、今後、投稿者の意に反して同様の発言が繰り返されたり、夫婦の性的な関係を尋ねられたりするなどして投稿者が苦痛を感じ就業意欲が低下すれば、セクハラに該当する可能性があります」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
谷口 真理(たにぐち・まり)弁護士
第二東京弁護士会所属。一橋大学卒業後、司法試験に合格。 一般民事案件を中心に企業法務案件にも携わり、東京都千代田区内の2ヶ所の法律事務所での勤務を経て、桜花法律事務所を開設。著書「新・労働事件法律相談ガイドブック」(第二東京弁護士会・共著)
事務所名:桜花法律事務所
事務所URL:http://www.oukalaw.jp