FIAフォーミュラE選手権・第3シーズン第2戦の舞台は初のアフリカ開催モロッコ/マラケシュ!
開幕戦で初めてフォーミュラEの解説を担当した元F1ドライバー井出有治が、今季のフォーミュラE、そして第2戦のモロッコ/マラケシュについて語る。
FIAフォーミュラE選手権
モロッコ/マラケシュ大会
2016年11月12日(日)
「予選」
午後8:55~ CSテレ朝チャンネル2
「決勝」
深夜0:50~ CSテレ朝チャンネル2
「決勝ハイライト」
11月15日(水)午後11:00~BS朝日
12月16日(金)深夜3:20~テレビ朝日
F1と同じFIA(国際自動車連盟)が管轄する、電気自動車によるフォーミュラカーレース『FIAフォーミュラE選手権』は第3シーズンが開幕。大会初開催となる香港のコースは、アクシデントやセーフティーカーのタイミングで、順位がせわしなく入れ替わる展開となった。
そんななか、昨年の優勝者であるセバスチャン・ブエミ(ルノーe.ダムス)が、今大会でも実力を見せつけ優勝。昨年惜しくも優勝を逃したルーカス・ディ・グラッシ(ABTシェフラーアウディスポーツ)は予選でのクラッシュが影響し19グリッドからのスタートだったが、結果は2位とこちらも実力を見せつけた。
今大会、元F1ドライバーの井出有治が初めてのフォーミュラE解説を担当する。開幕戦を終えての感想と次戦への展望を語った。
■井出有治に訊くフォーミュラE
Q.初めてのフォーミュラE解説の感想は?
「もうちょっと間があったりとか、退屈なレースなのかと思っていたが実際今日見て、楽しませていただきました。ほかのレースと違ってフォーミュラE独特の面白さが所々あるのが分かって、楽しみ方も分かりましたね」
Q.どういったところにフォーミュラEの面白さを感じますか?
「レース中のファンブーストの使い方であったり、チーム側の作戦面での組み立てなど、様々な要素が多く、展開に面白みがありますよね」
Q.香港大会は各陣営の作戦が正しく反映されていたのでしょうか?
「作戦が一番効果的だったのがディ・グラッシだと思います。セーフティーカーもあのタイミングであったからこそ、読めない部分もあったと思いますが、あれはあれで面白いですよね」
Q.昨年総合優勝を最終戦まで争ったブエミとディ・グラッシ(香港大会の1位、2位)に関しては井出さんの目にどのように映りましたか?
「ブエミは安定してフリー走行、予選、決勝とあのポジションから着実に順位を上げ、レースの組み立てもきちんとやって優勝しました。対するディ・グラッシは、予選もアクシデントがあって後ろからのスタートで、レース中もいろいろあったけども、チームの作戦で上がってきたじゃないですか。結局、対照的な二人が気がついたらワン・ツーという結果は、とても面白いですよね」
Q.パナソニックジャガー、テチーターと新たなチームが参入し、5人のドライバーも新たに参戦しました。すぐにフォーミュラEに慣れるのは難しいと感じますか?
「他のカテゴリーとは違う、独特なレースなので、あれだけの大きな名前のチームとはいえ、すぐに勝てるカテゴリーではないですね。ただ、シーズンを経ていくなかで、確実に上位に上がってくるチームだと思うので、どう改善していくのか?という部分を見るのも楽しみのひとつだと思います」
Q.開幕戦の香港から、次戦モロッコまで1カ月のインターバルがありますが?
「テスト走行だけでなく、レース中のデータがとても貴重なので、次のモロッコに向けてデータの解析、そこから開発、準備といプロセスがきちんとできるチームがシーズンを引っ張っていくと思うので、このインターバルの過ごし方にもチームの差が出てくるでしょう」
Q.モロッコは香港に次いで初開催となります。コース図を見た印象を教えてください
「開幕戦の香港では、限られたスペースの中でレイアウトしたサーキットでしたが、モロッコの場合は、F1が開催されるサーキットの設計を担当しているヘルマン・ティルケがデザインしたサーキットなので、市街地サーキットとはまた違うイメージになっています。高速から低速へのつながりなど、ティルケ独特の部分もありますが、ドライバーとしては、今までレースをやってきた通常のサーキットの感覚に近いイメージで走り出せると思います」
Q.このサーキットでのオーバーテイクポイントは?
「オーバーテイクができそうなのは、長いストレートのあとのターン7でしょうね。ターン4からターン5の立ち上がりでペースが上がらないときは、加速が鈍るでしょう。次のターン6は、加速しながら抜けていくコーナーなので、うまくスリップストリームに入ってターン7のブレーキングでインに飛び込むという形になると思います。
Q.開幕戦とは違う展開になるでしょうか?
「香港よりも平均速度は高いレイアウトです。特に、ターン1とターン3はコーナーが回り込んでますよね。こういうレイアウトのコーナーは香港ではありませんでした。チームやドライバーによって、得意なコースレイアウトがあると思うので、また香港とは違う勢力図ができる可能性はあると思います。
Q.初代チャンピオンのネルソン・ピケJrと彼の所属チームは、今シーズンふたたび浮上できるでしょうか?
「開幕戦のピケJr.はアンラッキーな面もありましたが、予選とレースで上位に来る地力がチームにはあるので、今後3、4レースで着実にポイントを重ねていけば、シリーズポイント争いを引っ張っていくドライバーのひとりに挙がると思います。去年は2強でしたが、今年はピケをJr.も加わり三つ巴の争いが展開されることも十分考えられますよ」
Q.第3シーズンはどんなシーズンになると予想しますか?
「3年目とはいえ、まだまだチームとドライバーともに経験を積み、大会を重ねるごとに進化しているので、勢力図はこれからまた変化していくと思います。チームやドライバーだけでなく、技術面も、レースの盛り上がり方に関してもこれから変わっていくと思うので、注目すべきポイントが多く、楽しみですね!」