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横山裕が欲望と妄想に飲み込まれる、手塚治虫『上を下へのジレッタ』舞台化

2016年11月10日 10:11  CINRA.NET

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『妄想歌謡劇「上を下へのジレッタ」』ビジュアル
舞台『妄想歌謡劇「上を下へのジレッタ」』が2017年5月に東京・渋谷のBunkamura シアターコクーン、6月に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。

同公演の原作は手塚治虫によって1968年から『漫画サンデー』に連載された漫画『上を下へのジレッタ』。1960年代東京のマスコミ業界を舞台に、様々な人間の欲望を風刺し、現実と虚構を交えて描いた作品だ。野心に満ちた自称天才ディレクター・門前市郎と、彼が入り込む妄想世界「ジレッタ」が描かれる。

自身の欲望に飲み込まれて破滅していく主人公の門前役を演じるのは横山裕(関ジャニ∞)。脚本と演出を、原作の主人公のキャラクターが自身の作品世界に大きな影響をもたらしたという倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)が手掛ける。同公演は「妄想歌謡劇」を掲げ、歌とダンスを取り入れた内容になるとのこと。チケット情報などは後日発表される。

■横山裕(関ジャニ∞)のコメント
原作漫画を読んで、連載された1968年という時代にこんなブッ飛んだ世界観が描かれていたことにまず驚き、これをどうやって舞台化するんだろう!?と興味が沸きました。主人公がダークヒーローだというのも面白さの一つだと思います。このアクの強いキャラクターの成り上がり、堕ちていく姿があまりにも生々しくて...。門前市郎という人はすごく人間らしくて、自信家なんでしょうね。自分と照らし合わせた時に、僕はここまで我が強くないし、もっと気を遣って生きてるからなあ...と気後れしましたけど(笑)。でもだからこそ憧れるし、やってみたいな!と強く思いましたね。
倉持さんの舞台『家族の基礎』を拝見して、その面白さに、とても緻密な計算のもとにモノ作りをされる方なんだろうなと感じました。その時「すでに『上を下へのジレッタ』の舞台の世界観は見えている」とおっしゃっていたので、もうこの人について行こう!と。倉持さんの世界と手塚治虫さんの世界が交わって、どんな化学反応が起きるのか楽しみですし、僕にとっても挑戦の舞台です。まだ明確に何とは言えませんが、そこに向かって今も頑張っているので、新しい横山裕を見せられるんじゃないかなと。僕自身、期待を持って楽しく作品に身を委ねようと思っています。

■倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)のコメント
今回の原作である『上を下へのジレッタ』に出会ったのは、もう三十年以上前、僕がまだ小学生の頃でした。作中の『ジレッタ』と呼ばれる荒唐無稽で少しエロティックな妄想世界にドキドキしたのを覚えています。その興奮と、『ジレッタ』を利用して成り上がろうと動き回る主人公・門前の魅力は、いつまでも頭から離れず、今の僕のドラマツルギーは確実にその影響を受けています。混沌から生まれる面白さへの興味、エンタメの主人公は常に能動的であれという信条などは、すべてこの『ジレッタ』からの影響だと思うのです。
巨大メディアのテレビがかつての勢いをなくし、ネットが世界を席巻する今、現実よりも妄想に耽ろうとする人間たちを描いたこの『ジレッタ』は、むしろ発表当時よりも批評性を増し、観客の目に生々しく映ることでしょう。
主人公の門前を演じる横山裕さんには、目的達成のためには手段を選ばず猛進する野心家の顔と、プライドの高さゆえに傷つきやすい顔の両面を、楽しんで演じ分けてもらえたらと期待します。