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W不倫で出産した女性、「夫ではなく、不倫相手に認知してもらいたい」

2016年11月10日 09:02  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

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W不倫で妊娠、出産した女性が、「子どもを不倫相手に認知してもらおうと思っています」と、弁護士ドットコムの法律相談に寄せた。女性はすでに出産しており、子どもの戸籍上の父親は、別居している「夫」となっています。


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女性によれば「以前から夫婦仲は悪く、出産後から別居中」。離婚に向けた話し合いをしようとしています。しかし、不倫相手の男性とは、「かろうじで携帯電話での通話とメールができていますが、認知拒否の姿勢です。転職し、単身赴任しているようですが、詳細は教えてくれません」。女性が知っているのは、以前の会社と自宅、卒業した大学名のみ。


女性は「苦悩する日々が続きましたが、子どもと前向きに生きて行くために、すべてのことをきちっとさせたいのです」といいます。不倫相手に、認知を求めることはできるのでしょうか? 増田勝洋弁護士に聞きました。


● 「嫡出否認」か「親子関係不存在確認」


どのような事情があれ、婚姻中に生まれた子どもは法律上、「現在の夫の子」と推定されます。これを「嫡出推定」といいます。子どもの戸籍の父親欄は「夫」と記載され、この状態では、不倫相手が認知することはできません。


そこでまず、夫と子どもの「父子関係」を否定する手続きをとる必要があります。その手続きは2通りありますが、1つは、出生後1年以内に夫から「嫡出否認」の調停または裁判をしてもらう方法。もう1つは、妻や子から「親子関係不存在確認」の調停または訴訟を提起する方法です。親子関係不存在確認は、嫡出否認(出生後1年以内)とは異なり、いつでも提訴できます。


嫡出否認が確定すると、お子さんの戸籍が訂正されて、父親欄が空欄となります。その後、実父(不倫相手)から認知してもらうことになります。実父が任意に認知しなければ、「認知請求」の調停を申立てる必要があります。調停で合意しなければ、家庭裁判所に提訴することになります。


●「弁護士会照会」による問い合わせ


認知請求の調停を申立てるためには、手続の呼出状等が相手に届く必要があります。不倫相手の住所あるいは居所を特定しないといけません。


不倫相手とは携帯電話での通話とメールができる程度だということですから、認知請求事件を弁護士に依頼し、その弁護士を通じ携帯電話会社に弁護士会照会をかけて契約者の住所・氏名を問い合わせてみたらいかがでしょうか。


弁護士会照会とは、弁護士法第23条の2で定められた制度です。弁護士が受任した事件について、資料の収集や事実の調査のために、行政機関のほか、固定電話や携帯電話の通信会社などに対し、弁護士会を通じて照会することができます。




【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会、司法修習委員会委員 著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/