トップへ

TOYOTA GAZOO Raacing NASCARテキサス レースレポート

2016年11月08日 16:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

今季3勝目をあげたカール・エドワーズ(#19)
2016年11月8日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部
NASCARスプリント・カップ・シリーズ第34戦テキサス
カール・エドワーズが起死回生の勝利!
“チェイス”最終戦進出を決める
 テキサスで行われたNASCARスプリント・カップ・シリーズの第34戦は雨で6時間近くスタートが遅れ、最後も雨により短縮終了。このレースをカール・エドワーズが制し、4人で争われる“チェイス”最終戦への切符を手に入れた。

 エクスフィニティ・シリーズではエリック・ジョーンズとダニエル・サレスが4、5位フィニッシュを果たし、“チェイス”圏内を維持。

 キャンピング・ワールド・トラック・シリーズではマット・クラフトンが終盤首位を争うも惜しくも2位フィニッシュとなった。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第34戦 AAA Texas 500
開催日:11月6日
カール・エドワーズが起死回生の勝利!
“チェイス”最終戦進出を決める

 11月6日(日)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第34戦「AAA Texas 500」が開催された。

 全36戦で争われているシリーズも残り3戦。終盤の10戦で上位ドライバーがタイトルを争う“チェイス”も第3ラウンドの2戦目となった。今大会と次のレースで、8名から4名へと対象ドライバーが絞られ、最終戦でタイトルを争うこととなる。

 トヨタ勢ではデニー・ハムリン、マット・ケンゼス、カイル・ブッシュ、カール・エドワーズの4名が現在“チェイス”の8名に残っている。しかし、第3ラウンドの初戦、前戦マーティンズビルでジミー・ジョンソン(シボレー)が勝利を挙げ、最終戦の4つの椅子のひとつを確保したため、トヨタの4名のドライバーを含む、7名が残り3つの椅子を目指して争っている。

 ここテキサスでは、カイル・ブッシュ、ハムリンともに過去2勝。ケンゼスとエドワーズも、トヨタ移籍以前にそれぞれ2勝、3勝を挙げており、残る3つの椅子をトヨタ勢で占めるべく臨んだ。

 6日(日)、決勝レースは午後1時過ぎにスタートが予定されていたが、降雨のためにスタートは順延。約6時間にもわたる順延の末、午後6時55分にセーフティカー周回のまま、1.5マイルオーバルを334周(501マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタートした。

 当初は昼間のレースとして予定されていながら、完全なナイトレースとなったこともあり、各車レースを戦いながらセッティングの変更を強いられることに。

 トヨタ勢では、7番手スタートのケンゼス、9番手スタートのエドワーズが序盤からトップ10を走行。30周目のコンペティション・コーションの後は70周以上に渡ってイエローコーションが出ない展開となり、次々に周回遅れとなっていったが、トヨタ勢の4台は首位と同一周回でのレースを続けた。

 中盤には、カイル・ブッシュの車両に異物が当たって車両前部に穴が空くというアクシデント。

 この修復のためにタイムをロスしたカイル・ブッシュは首位と同一周回の最後尾へと後退を余儀なくされたが、その時点で首位と同一周回は19台。カイル・ブッシュはここから追い上げを開始した。

 ハムリン、ケンゼス、カイル・ブッシュの3台は前戦マーティンズビルでトップ10フィニッシュを果たし、ランキングでも2、3、4位と最終戦進出ライン内につけているが、エドワーズは前戦突然のタイヤバーストでクラッシュを喫し36位に終わり、ランキングでも8位に後退してしまったため、必勝態勢でプッシュ。

 レース後半、再び長いグリーンフラッグランの展開になると、“チェイス”からは惜しくも脱落したマーティン・トゥルーエクス・Jr.との首位争いを展開し、その長いグリーンフラッグランが終わって出されたイエローコーション時、素晴らしいピット作業に助けられて首位に浮上。

 再スタートも決めたエドワーズは、“チェイス”のライバルでもあるジョーイ・ロガーノ(フォード)の猛追を受けるも首位を堅守。

 290周目、再び雨が降り始め、イエローコーションに。雨は強さを増し、3周で赤旗が出され、車両はピットロードに停止した。

 この時点で現地時間は夜の10時を回っており、この後コースを乾燥させてレースを再開させるのには少なくとも2時間はかかるため、レースはこの時点で終了となることが決定。

 エドワーズが今季3勝目を挙げるとともに、トヨタ勢では最初の“チェイス”最終戦進出を決めた。昨年はフェニックスで雨にたたられ、“チェイス”最終戦進出権を失ったエドワーズにとって、今年は恵みの雨となった。

 カイル・ブッシュが5位、ケンゼスが7位、ハムリンが9位と他の3名も着実にトップ10フィニッシュ。

 しかし、残る椅子は2つ。ポイントではトヨタの3名にロガーノを含めた4名がわずか2ポイントの間に入っており、次戦はこの2つの椅子を巡って更に厳しいレースが展開されることが予想される。

 “チェイス”第3ラウンド最終戦となる次戦第35戦は11月13日(日)、米国南西部アリゾナ州エイボンデールのフェニックス・インターナショナル・レースウェイで行われる。

ドライバー カール・エドワーズ:
「楽しいレースだった。プレッシャーは相当なものだったが、やるべきことを成し遂げられた。クルーチーフとピットクルーが素晴らしい仕事をしてくれて、トップでピットアウトさせてくれた。そのおかげで勝てた。これで最後のタイトル争いに加われる。それこそが今年ずっと目指していたことだ。(最終戦の)ホームステッドが待ちきれない。きっと強さを見せられるはずだ」

<チェイス・フォー・ザ・NASCARスプリント・カップ>
“チェイス”と略して称されることが多い。NASCARスプリント・カップ・シリーズの全36戦のうち、終盤の10戦でタイトルを競うプレーオフシステム。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバー(全レース出場、ランキング30位以内が条件)と、未勝利でランキング上位の計16名が“チェイス”に進出。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの3ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落しポイントはリセット。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。

NASCAR XFINITY SERIES
第31戦 O'Reilly Auto Parts Challenge
開催日:11月5日
エリック・ジョーンズがレギュラー最上位
ダニエル・サレスも4位で“チェイス”争い首位浮上

 11月5日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第31戦「O'Reilly Auto Parts Challenge」がテキサス・モーター・スピードウェイで開催された。

 エクスフィニティ・シリーズは前戦から3週間ぶりとなる開催。今大会から最終戦までは他のシリーズとともに3連戦となる。

 昨年キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでルーキーながらチャンピオンを獲得し、今季よりエクスフィニティ・シリーズにフル参戦、現在も“チェイス”に残っている20歳のエリック・ジョーンズにとっては、ここテキサスは昨年春に自身シリーズ初の勝利を飾った記念すべきコースでもある。

 シリーズフル参戦2年目にして初勝利を挙げ、“チェイス”争いに残るもう一人のトヨタドライバーは24歳のメキシコ人、ダニエル・サレス。

 今季は安定した成績を続けており、特にこの終盤に入って1勝を含む5戦連続トップ5フィニッシュと、初タイトル獲得へ向け好調な戦いを続けている。

 5日(土)午後2時36分に1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。

 予選でポールと全くの同タイムをマークするも規則(同タイムの場合はオーナーポイント順となる)により最前列2番手グリッドからスタートを切ったエリック・ジョーンズが好ダッシュを決めて1周目から首位に。これに4番手スタートのサレスが続き、1-2状態に。

 その後、スプリント・カップ・シリーズのトップドライバーが上位争いに加わり、エリック・ジョーンズは激しい首位争いを繰り広げた。

 一方、サレスは電装系の不調に見舞われ、苦戦を強いられることに。それでもサレスは冷静にレースを続け、トップ10圏内をキープした。

 終盤に入ると、トップ3をカップ・ドライバーが占める一方で、4位以下で“チェイス”を争うシリーズレギュラー同士のバトルが激化。

 エリック・ジョーンズはこのバトルから抜け出し、シリーズレギュラー最上位となる4位でフィニッシュ。苦しみながらもサレスは最後にエリック・ジョーンズに続く5位へとポジションを上げてフィニッシュした。

 この結果、このラウンドでも連続トップ5フィニッシュを果たしたサレスは“チェイス”ランキング争いで1ポイント差ながら単独首位に浮上。前戦15位と振るわなかったエリック・ジョーンズも最終戦への進出圏内であるランキング3位へと浮上した。

 次戦第32戦は11月12日(土)、フェニックス・インターナショナル・レースウェイで行われる。

ドライバー エリック・ジョーンズ:
「“チェイス”でようやくポイントを稼ぐことが出来た。着実な、望んでいた結果を得られたという意味で良かった。もちろんいつも勝ちを狙ってはいるが、今日は勝てる車両ではなかった」

<エクスフイニティ・シリーズの“チェイス”>
今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。エクスフィニティ・シリーズでは、全33戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバーと、未勝利でランキング上位の12名が“チェイス”に進出。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。


NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第21戦 Striping Technology 350
開催日:11月4日
マット・クラフトンが惜しくも2位
“チェイス”争いは更なる混戦に

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第21戦「Striping Technology 350」が11月4日(金)にテキサス・モーター・スピードウェイで開催された。

 全23戦で競われている2016年シーズンも残り3戦。今季よりトラック・シリーズでも採用されたプレーオフ“チェイス”システムでは、現在6名が残り、最終戦を争う4名を選抜する3戦“ラウンド・オブ・6”の2戦目となる。

 トヨタ勢はこの6名のうち4名を占め、タイトル獲得へ向けての戦いを続けている。ここテキサスでトヨタは過去16勝と強さを見せており、うちマット・クラフトンが2勝、今年春の大会ではウィリアム・バイロンが勝利を飾っている。

 4日(金)午後7時50分に1.5マイルオーバルを147周(220.5マイル:約350km)して競われる決勝レースがスタート。

 今大会は、クラッシュやスピンによるイエローコーションが一切発生せず、トラック・シリーズにのみ今季から採用されたグリーンフラッグランの時間制限(グリーンフラッグランが20分間続くと強制的にイエローコーション)によるコーションが3回のみという珍しい展開となった。

 序盤トヨタ勢は苦戦。今季最多の6勝を挙げている18歳のルーキー、バイロンは3番手スタートながらハンドリングに苦しみじりじりと後退。6番手スタートのベテラン、ティモシー・ピーターズは最初のイエローコーション時にピットロードのスピード違反。7番手スタートのクラフトンは序盤バッテリートラブルに見舞われポジションを落とすこととなった。

 そんな中、トヨタの“チェイス”組では上位に立ったのが9番手スタートの21歳、クリストファー・ベル。15周目には3位へ浮上し、トップ5圏内での走行を続けた。

 今季“チェイス”を争うドライバーの中では唯一のチャンピオン経験者であるクラフトンは、序盤ポジションを落としたものの、ベテランらしく3度のピットで着実にハンドリングを修正しながら上位へと復帰。最後のピットでは素早い作業で2位へと3つポジションを上げると、再スタートでのサイド・バイ・サイドのバトルを制し、ついに首位に立った。

 前戦マーティンズビルでトラブルにより17位フィニッシュと、“チェイス”争いでやや後れを取ったクラフトンは、ここで勝利を挙げて一気に最終戦への切符を手にしたいところだったが、再スタート時の接触でハンドリングに不調をきたしており、残り3周というところでライバルの先行を許すこととなり、惜しくも2位でフィニッシュ。

 バイロンは何とかトップ10をキープし6位。トップ10圏内を走行するも終盤のエンジントラブルと接触でポジションを落としたベルが11位。ピーターズは14位に終わった。

 今大会、勝利を挙げたのは前戦に続いて“チェイス”ドライバーのジョニー・ソーター(シボレー)。このため、新たな“チェイス”最終戦進出ドライバーは発生せず。トヨタ勢はバイロン、ベル、クラフトン、ピーターズが5ポイント差で競っており、次戦フェニックスで残る3つの椅子を争うこととなる。

 次戦第22戦は11月11日(金)にフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催される。

ドライバー マット・クラフトン:
「終盤は僅かにターン2で壁にヒットし、ハンドリングが狂ってしまった。何とか車を制御し、後続を抑えたかったが叶わなかった。先頭を走り、気流の乱れがない状況では速かったが、周回遅れが出てくる中では苦しかった。トラブルにも見舞われたが、ピットでのクルーの働きは本当に素晴らしかった。勝てなかったものの、レースを通して戦い続けた結果で、満足している」

<キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの“チェイス”>
今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、全23戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。開幕からの16戦全ての決勝に出場し、ランキング30位以内に入った上で、シリーズ戦勝利を挙げたドライバーと、ランキング上位のドライバーから8人が選抜。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位2名が脱落しポイントをリセットして次ラウンドに進む。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。