WEC世界耐久選手権からの撤退を表明したアウディだが、そのLMP1ワークス契約ドライバーで、日本でも活躍したオリバー・ジャービスが、来季2017年に向けWECでの活動を続ける可能性を模索するため、9年間に及ぶ契約ドライバーの期間を終了する考えであることが明らかになった。
現在、ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバルと組みポイントランキングで3位につけているジャービスだが、今月末のバーレーン戦が文字通りアウディでの“最終戦”となる。
イギリス出身で現在32歳の彼は、全日本F3選手権やスーパーGTに参戦するなど日本でキャリアを重ねたのち、2008年からはDTMドライバー契約を結んでアウディに加入。この2年はWECのLMP1レギュラーとしてアウディR18をドライブしてきた。
来季に向けてもオプションを有していたジャービスだが、本人はWEC残留の可能性を最優先に来季の活動を検討しているという。
「僕の(来季もアウディで走るという)オプションが持つ可能性はとても望みの薄いものになってしまった。現時点ではそれほど多くのオファーが届いているわけではない」と、ジャービス。
「どこかでGTカテゴリーの契約でも可能性を探ってみたいけれど、DTMは台数削減の余波もあって満席の状態だ。だから僕の契約は終わったも同然だ。ここで一度、自分に与えられた選択肢を落ち着いて考えてみて、何が自分にとって最適かを見極めなければならない。でも、本音を言えばWECに残りたいんだ」
「これまで長い時間をかけてWECの頂点を目指して戦ってきたし、マシンもドライバーも最高峰だ。僕はこのチャンピオンシップが気に入っている。それにル・マン24時間への参戦も続けたいからね」
ジャービスは今回のアウディの発表に対し「プレスリリースが発表される2時間前に正式に告知された」と言うものの、自身は「何かが正しくない方向に向かっていた」ことはわかっていたという。ただし、“2016年限り”で撤退という点には、もっとも衝撃を受けたと語った。
「最大のショックは今季限り、今すぐに撤退……ということだった。噂は数多くあったけれど、僕らは2017年に向け順調にマシン開発を進めていた」
「去年は不運もあったけれど、今年はスパで勝って僕らは強いパッケージを構築している最中だった。だからこそ来季は、ルーカスやロイックと上を狙える感触があったんだ」
「ル・マンで勝ち、チャンピオンを獲得できるという手応えを残したままアウディがシリーズを去るのは本当に残念だ。でも僕は彼らとともに素晴らしい9年間を過ごした。彼らのファミリーとして戦えたことは本当の誇りだ」
「けれど、ここからは他の場所を見つけて、自分のキャリアを前進させなければならないんだ」