仕事の連絡にはメールが一般的となったが、営業の売り込みにはいまだに電話が使われることが多い。見逃されがちなメールとは違い、相手を捕まえれば自分の言いたいことを確実に伝えられるし、その場で反応も確認できる。
しかし受ける方は、仕事中に勝手に割り込んでくる電話が迷惑なこともある。札幌でマーケティストとして働く赤沼俊幸氏が、そんな自分の体験をツイッターに投稿したところ、160件を超えるリツイートをされてネットの話題となっている。
「『何度か電話しましたが、繋がらなかったため、メールで失礼します』じゃないんだよ…先にメールして、返事がなかったら、電話するんだよ…逆にしてくれ…。もう…」
「面識あったり、親しいのだったら、いきなり電話でも全然大丈夫だけど、会ったことない人にはまずメールを優先するように社会人研修でやってくれ…」
「電話が丁寧みたいな風潮、なんなんだよ」
赤沼氏は今月4日、ブログにこのツイートの背景をまとめている。
着信は知らない相手からの営業電話。男性は普段から通知音が鳴らない設定にしており、仕事に集中することが多いという。強い違和感を抱いたのは「メールで失礼します」という一節だ。
「『メールが失礼で、電話が丁寧』みたいな一部感覚、文化、風潮なんなんだよ…。電話は相手の時間を奪うから、電話のほうが失礼だろ…。メールで相手の都合の良い時間に内容を読んでもらったほうが丁寧だろ…」
さらに電話の弊害として「電話を受けるほうがメモを取ったり、ちゃんと聴く集中力が必要」としたうえで、「滑舌悪い人や電波が悪ければ、聞き取りづらくて、すごくイライラして悪い気分になる」と苦言を呈している。
営業マンが自分の都合で電話をかけているのに、その電話が相手に聞き取りなどの負担をかけているとすれば、それは二重の迷惑となる。ただし赤沼氏は電話という手段を全否定しているのではなく、「まずメールしてほしい」と注文をつけている。
年収で変わる時間の値段「1秒は、同じ価値ではない!」
このブログを他のユーザーが「隅から隅まで同意です」とコメントしてツイッターに流したところ、さらに話題が拡散。1400件を超えるリツイートがされた。これを受けてLINE上級執行役員の田端信太郎氏は、ツイッターでこんな指摘をしている。
「年収400万の人と年収3000万円の人の1秒は、同じ価値ではない!」
確かに電話のようなリアルタイムのコミュニケーションの場合、時給の違う人同士が同じ時間を共有しなければならない。それは時給の高い人にとって、無駄な時間になりうることを意味する。営業の電話は受けた側のメリットとなる場合もあるが、それは稀だ。
また田端氏は「メールやLINEなら、相手が1時間かけた投稿に3秒で答えても、内容が適切ならばそれでOK」として、時間を無駄に共有しなくてもすむメールのメリットについても添えている。はてなブックマークにも、こんなコメントがあった。
「『電話は相手のオンタイムの時間を奪う』という概念が無い人は困る。メールなら、オフタイムでも読んだり返信を送ったりできる」
「どこかで無意識に失礼はたらいてるかも」と反省する人も
一連の反応を目にしたある女性フリーライターは、「雑誌始めたばかりの10年前は、電話を先にするっていうのを礼儀として教わってた」と明かし、
「今も会社の人やクライアントには電話しまくってた。どこかで無意識に失礼はたらいてるかもしれないのこわい」
と自らの習慣を省みるツイートをしている。会社の同僚やクライアントは、赤沼氏のいう「面識あったり、親しい」人なので「いきなり電話でも全然大丈夫」なはずだが、ネットに溢れる電話に対する拒否反応を見て、考えを変えた人もいるのではないか。
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