スーパーGTの2017年仕様GT500車両の開発テストが7日に富士スピードウェイで行われ、レクサスLC500、ニッサンGT-Rの2メーカーが参加。これまでの富士仕様と呼ばれていたロードラッグ仕様のエアロパッケージが来年からは使用できなくなるため、2メーカーは空力バランスのセットを中心に、開発メニューを進めた。
2017年GT500車両のシーズン中の合同テストはこれまで鈴鹿、オートポリス、岡山で開催され、この富士で4回目。今回はレクサスLC500、ニッサンGT-Rの2メーカーがそれぞれ1台ずつの車両を用い、テストに参加した。ドライバーはニッサン陣営は松田次生、ロニー・クインタレッリ、レクサス陣営では立川祐路、石浦宏明、大嶋和也の姿が見られた。
2017年からのエアロパッケージはDTMとのクラス1規定に合わせて、これまでのような富士用のロードラッグ仕様エアロの装着が認められなくなる。そのため、2017年仕様のGT500マシンは極端に言えば、ひとつの空力パッケージで鈴鹿やオートポリスといったハイダウンフォースサーキットと、富士のようなローダウンフォース・サーキットに合わせなければならない。
これまでは前後のフェンダーを中心に大きくエアロが様変わりしていたが、来季に向けて、セットアップでどこまで富士仕様に合わせられるかが、この富士テストの大きなテーマとなる。
ニッサンGT-R、レクサスLC500ともオートポリスの仕様から外観はほぼ同じ。オートポリスと同じパッケージで、富士でどのような挙動を見せるのかを試している様子だ。実際、午前9時からの走行では最初のストレート上でGT-Rがフロアを大きく擦りながら走行し、すぐにガレージへ。車高を上げたか、スプリングを硬くしたか、その後の走行ではストレートでフロアを擦るシーンは見られなかった。
LC500は午前中は3周程度の走行を繰り返し、3周目にはストレート上でフィニッシュラインを過ぎてからアクセルを抜き、惰性で走行するコーストダウンを繰り返した。加速していない状態で空力の前後バランスやドラッグ、ダウンフォース量などを何度も計測するシーンが印象的だった。
また、LC500はピットロードでもアクセルを離し、クルマが完全に止まるまで惰性で走行。午前中だけでも2度、行っており、クルマの各部のフリクション、転がり抵抗を測定していたようだ。
午前中のタイムはレクサスLC500は1分30秒248で、ニッサンGT-Rは1分31秒142。今年8月のGT富士でのポールタイムが1分28秒458なので、ダウンフォースを25パーセント減を目指した2017年の空力でも、マシンのセットアップの熟成が進めば、同等程度のタイムまでアップすることは間違いなさそうだ。
午前の2時間の走行後、レクサスLC500はRC F GT3と同じ走行枠で1時間走行し、1分30秒071をマーク。午後2時からはニッサンGT-Rが2時間走行して1分30秒321のベストタイム。レクサスLC500は午後の2時間枠を走行せず、翌8日の走行準備を進めていた。
この日の最高速は富士スピードウェイのモニター上ではレクサスLC500が291.813km/h、ニッサンGT-Rが289.234km/h。お互い、どのくらいのウエイトハンデを搭載しての走行かはわからないが、気温10℃、路面温度が16℃という寒い時期でエンジンパワーが出やすいことを考えると、2016年車両と比べて2017年車両の最高速は10km/h減といったところか。
富士でのテストは明日の8日まで行われ、シーズン中の開発テストはこの富士で終了。シーズンオフにはそれぞれ、メーカーごとに開発テストが行われることになる。