2016年11月07日
FIA世界耐久選手権(WEC):LMP1クラス
ポルシェが919ハイブリッドで 2年連続のマニュファクチュアラーチャンピオンシップを獲得
ドイツ・ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)が、再び世界チャンピオンの座に輝きました。
シュトゥットガルト-ツッフェンハウゼンのスポーツカーブランドであるポルシェが、FIA世界耐久選手権のシーズン最終戦を待たず、革新的なル・マン・プロトタイプ、ポルシェ919ハイブリッドでマニュファクチュアラー部門のタイトルを獲得しました。
11月6日に上海で開催された6時間耐久レースにおいて、ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組、およびロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組が、それぞれ1位および4位でフィニッシュし、ポルシェが38ポイントを獲得しました。
これによりポルシェの合計ポイントは301となり、アウディ(222ポイント)およびトヨタ(207ポイント)が11月19日のバーレーンにおける最終戦でポルシェを上回ることが不可能となりました。
ポルシェAGの研究開発担当役員であるミヒャエル・シュタイナーは、現地でのタイトル獲得に際して、「ポルシェにとって2年連続となるマニュファクチュアラーチャンピオンシップのタイトル獲得は、919ハイブリッドの勇敢なコンセプトの正しさを改めて証明しました。
ヴァイザッハで開発されたこのプロトタイプは、718 RS、904、917や956など、常に時代を先行していた歴史に残るポルシェのレースカーの仲間入りを果たしました。これらすべてのモデルがモータースポーツの歴史を塗り替え、市販車両の開発に大きく貢献してきました。
これは、919ハイブリッドも同じです。私はチーム全員を誇りに思います」とコメントしました。
LMP1担当副社長であるフリッツ・エンツィンガーは、「この大きな成功が達成できたのは、チームの多大な努力があったからこそです。
メカニック、エンジニア、ドライバー、そして舞台裏の数多くの人々がタイトルに向けて懸命に戦ってきました。今日、昨シーズンに続きそれが報われました。
これは、919ハイブリッドだけでなく、チームがどれほど優秀なのかを証明するものです。心の底から皆に感謝しています」と続けました。
未来的なポルシェ919ハイブリッドにとって、これはサクセスストーリーの新たな章です。2014年、このル・マン・プロトタイプ(LMP1)が独自のパワートレーンコンセプトとともにデビューしました。
ポルシェはル・マン24時間レースで2015年、2016年に総合優勝を果たし、通算18勝を挙げています。2015年は、若きチームにとって2年目のシーズンでしたが、通算17回目のル・マン優勝に加えてポルシェはマニュファクチュアラーチャンピオンシップも手にしました。
昨年は、ベルンハルト/ハートレー/ウェバーが神経がすり減るようなバーレーンの最終戦でドライバー部門のタイトルを獲得しました。
現在、残り1戦の時点で、今年のル・マンで優勝したデュマ/ジャニ/リーブがドライバー部門をリードしています。これまでの24戦で、ポルシェ919ハイブリッドは13勝、15回のポールポジションを記録しています。
ポルシェ・チームがサーキットで栄冠を手にする一方、最も重要な成功はシュトゥットガルト近郊のヴァイザッハにあるポルシェ研究開発センターで達成されています。
システム出力900PS(662kW)を発生する919ハイブリッドは、ポルシェ・モータースポーツと市販車両の開発チームが密接な連携を取って生まれました。
内燃エンジンは、革新のダウンサイジングエンジンです。このコンパクトな2リッターV4ガソリンエンジンにターボチャージャーが搭載され、ほぼ500PS(368kW)でリアアクスルを駆動します。
フロントアクスルのブレーキエネルギーと排気エネルギーを利用する2系統のエネルギー回生システムにより生み出されたパワーは、リチウムイオンバッテリーに蓄えられます。
このバッテリーのエネルギーを使用して、電気モーターがオンデマンドでフロントアクスルに400 PS(294 kW)以上の出力を供給します。
919ハイブリッドシステムの設計において、ポルシェ・モータースポーツは先駆的な仕事をしました。
特に、高電圧技術の分野において、電気により未来の公道を走るスポーツカーの電圧レベルを調べるための実験室の役割を果たしています。
このようにサーキットから得たフィードバックによって、市販車の開発陣が800 Vテクノロジーを採用した4ドアのコンセプトスタディであるミッションEを提唱するに至りました。
ポルシェ初となるEVスポーツカーは、2020年までに生産開始予定です。
レース後のコメント:
チーム監督であるアンドレア・ザイドルのコメント:
「ポルシェのために、再びマニュファクチュアラーチャンピオンシップのタイトルを獲得できて爽快な気分です。
これは、地元ヴァイザッハと、各サーキットでレースに関わったチームのメンバーひとりひとりの功績です。
そして、私達のパートナーのおかげです。このタイトルは、速く、信頼性の高い車両と、強力なチームのパフォーマンスの結果です。
上海では、私達はポールポジションを獲得し、ファステストラップを打ち立て、常に最速で、最高のピットストップを行い、適切な作戦を用い、最高のドライバー達がステアリングを握りました。
私達には、このタイトルを手にする十分な資格があると思います。バーレーン最終戦ではドライバーチャンピオンシップタイトルの獲得を目指します」。
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーのコメント
ティモ・ベルンハルト(35歳、ドイツ):
「今日すばらしいレースができました。ブレンドンがいいスタートを切ってくれたので、リードをさらに広げることができました。
私は2番手のドライバーとしてダブルスティントを担当しました。小林可夢偉がドライブするカーナンバー6トヨタは、本当に手強かったです。
非常に多くのラップで、トラフィックが障害でした。
周回遅れのクルマをオーバーテークするとき、攻撃的になることと、守りに回ることを常にバランスさせる必要がありました。私達3人が、またレースで優勝できて、とても嬉しいです」。
ブレンドン・ハートレー(26歳、ニュージーランド):
「すばらしい日になりました。スタート後の最初のコーナーが興味深かったです。
トヨタは電気モーターで大量のエネルギーを使ったようで、第1コーナーへの飛び込みまでに私を簡単に抜き去りました。
しかしレギュレーションで使えるエネルギーの量が規定されているので、彼らがその代償を払うことになることがわかっていました。
セーフティカー導入直前には再びトップに立ちました。ファーストラップではちょっとしたバトルを楽しみましたが、その後はクリーンな走りに徹して18秒のリードを築きクルマを渡しました。
大きなラバーの塊によってライトを損傷したので、ノーズを交換しなければなりませんでしたが、ピットストップはすばらしく、最後のダブルスティントではすべてがスムーズに運びました。私は、この上なく幸せです」。
マーク・ウェバー(40歳、オーストラリア):
「今日のブレンドンはすごく速かったですし、ティモのダブルスティントも素晴らしいものでした。
私はシングルスティントを担当して使用済みのタイヤを片付け、ブレンドンがフィニッシュしました。ポルシェにとってすばらしい日となり、私達がそれに貢献できてとても嬉しいです」。
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー2)のドライバーのコメント
ロマン・デュマ(38歳、フランス):
「非常に厳しいレースでした。私は3番目のドライバーとしてシングルスティントを担当しました。
何度かひどいトラフィックに阻まれ、タイムロスしました。また、タイヤのピックアップ現象にも最後まで悩まされました」。
ニール・ジャニ(32歳、スイス):
「6番手グリッドからスタートして、トラフィックの中でのポジション取りを意識して戦術的にドライビングし、ブーストはアタックが必要なときに備えて取っておきました。これが上手く行きました。
クルマは絶好調で前を行くライバル達を次々に捕らえることができました。3位のポジションにいるとき、ちょっと苦労しました。
トラフィックで接触があり何秒かロスしてしまいました。それでも、私はダブルスティント後に2位でクルマを渡すことができました。
残念ながら、レース中盤ではタイムをロスしました。私は最後にもダブルスティントを担当しましたが、そのときはクルマの調子が前ほどよいと感じませんでした。
次は、2週間後のバーレーン最終戦でドライバーチャンピオンシップに挑む番です」。
マルク・リーブ(36歳、ドイツ/ルートウィヒスブルク):
「ニールの次に2番手としてドライブしましたが、私のスティントはあまりよくありませんでした。
最初、ひどいトラフィックに巻き込まれ、その後も常に周回遅れの車両を抜かなければならず、フロントタイヤをダメにしてしまいました。
フロント両側のグリップがなくなり、常にアンダーステアが出ていました」