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ジャニーズWEST 藤井流星『レンタル救世主』で見せた“アイドル魂” 全力投球の演技を読む

2016年11月06日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 現在放送中の日曜ドラマ『レンタル救世主』(日本テレビ系)に出演している、ジャニーズWEST藤井流星の成長ぶりがめざましい。


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 藤井が演じているのは、葵伝次郎という若者。メキシカンプロレス「ルチャリブレ」の使い手という特技を活かして、レンタル救世主として働いている。とにかく目立ちたがり屋で、自分の活躍をビデオカメラにおさめて、動画サイトに投稿。いつか世界的スーパースターになりたいと願っているキャラクターだ。


 その強烈に個性的な役柄を演じるために、藤井は髪の毛を金色に染め、プロレス技の特訓も行なったのだそう。悪者のアジトに窓ガラスを割りながら飛び込んだり、壁を爆破しながら突入したりと、体当たりの演技が炸裂。ジャニーズメンバーならお手の物と言わんばかりに、ビルの間をワイヤーアクションで飛び回るシーンも華麗にこなす。さらに、戦闘シーンでは相手に飛び蹴りをするのは、もはや挨拶代わり。敵の首に飛びついて長い両足ではさむと、グルグルに回転して締め上げるという、大技も次々と飛び出した。


 また、注目を集めたがりな葵は、常に片手にビデオカメラをスタンバイ。ハードなアクションをこなしつつも、キメキメの顔で自撮りする器用さも兼ね備えているのだ。これこそ、藤井のアイドル魂。どんなに息を切らしていても、カメラの前では100点の表情ができるのは、プロ根性の表れだ。


 藤井は、これまでも着実に俳優としてのキャリアを積み上げてきたが、間違いなく本作で一皮むけたという印象がある。本来、藤井のキャラは、天然でのんびりしたタイプ。だが、葵の役柄は、声も大きく、言葉数も多い正反対の性格だ。公式ファンサイト『ジャニーズWeb』内のブログでも「普段あんなに声張らないから喉が痛いです」と綴っていたほど、今回の演技は、まさに全力投球していることが伺える。


 だが一方で、藤井の本来の性分があってこそ、この葵が光っているとも言えそうだ。沢村一樹が演じる主人公・明辺悠五は、超がつくほどお人好しの中年男性。そんな明辺に向かって、ズバズバと言葉を投げかけていく姿は、一見怖いもの無しの傲慢な人間にも見える。だが、その内容は「やり過ぎの善意は悪意」といった本質めいたものも多い。チャラチャラしているように見えて実は軸がしっかりとしている葵と、天然発言でフワフワしているように見えて実はプロ意識の塊である藤井とシンクロするものがありそうだ。


 志田未来の繰り出す「地蔵ラップ」も「面白いのに泣ける」と話題になっている本作。少しずつ登場人物の秘密が暴かれていく展開に、目が離せない。人に迎合することなく、我道突き進む真の愛されキャラ。そんな藤井の人間性がにじみ出てくる葵が、今後どのような活躍を見せるのか。藤井の進化と共に期待したい。(佐藤結衣)