ロシアのマニュファクチャラーであるアウトヴァズのブランドで、WTCC世界ツーリングカー選手権にフルワークス体制で参戦してきたラーダが、2016年いっぱいで選手権への関与を終了する決定を下したことが判明。今季限りでWTCCから撤退することが明らかになった。
かつてはプリオラやグランタといったマシンで、2008年から世界選手権に挑戦してきたラーダだが、2012年からはワークス体制でのフル参戦を開始。以降は毎年シリーズの一員として戦ってきた。しかし、同社はこの11月10日にも正式にWTCCからの撤退を発表する予定とみられている。
今季のラーダはこれまでで最も競争力の高いシーズンを過ごしており、エースのガブリエル・タルキーニが彼らの母国となるロシア戦で、2015年に投入されたTC1規定のベスタに初勝利をプレゼントすると、続くレースでも僚友のニッキー・キャツバーグが初優勝。モスクワレースウェイで歓喜の瞬間を味わった。
現在ポイントランキングで7位につけ、2015年シーズンの中盤にチームへ加入したキャツバーグは、2017年に向けても契約が残る状態であったことと合わせて、このラーダの決定に「失望した」とコメントした。
「僕は来季に向けてラーダと引き続き関係性を維持し、ともに戦うプランと契約を持っていた。だからそれ以外のオファーはまったく考慮しなかったんだ」と、キャツバーグ。
「僕らはベスタの開発に全力を挙げ、ここまで多くのことを成し遂げ、勝負できるポイントまでやってきたところだ。そんな関係性すらもここでバッサリと切り捨てられてしまうことに心から失望している」
「いきなり自由契約の身になったも同然なので、WTCCの中で他の機会を見出すか、その他のカテゴリーの可能性も考慮の上、探しに行かなくてはならないだろう」
昨年、同選手権からはシトロエンが2016年限りでの撤退を表明。今回、ラーダの撤退がアナウンスされたことで、来季のグリッドにはホンダとボルボ、わずか2社のワークスチームしか並ばない事態となる。
この撤退発表の背景に、ラーダは母国内のツーリングカーシリーズであるRSKG(ロシア・サーキットレーシング・シリーズ)に向けて、ベスタの“TCR規定”マシンを製作することが噂されており、来季からマシンを投入すると予想されている。