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嵐『Are You Happy?』堂々の首位獲得 “嵐の5人=なんだかハッピー”のイメージより強く

2016年11月03日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

■石井恵梨子のチャート一刀両断!


【参考:2016年10月24日~2016年10月30日週間CDアルバムランキング(2016年11月7日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2016-11-07/)


 4週連続で首位だった宇多田ヒカルが遂に6位にダウン! そこから上位ランクを見上げてみれば、JUJUの昭和歌謡カバーアルバム(約3.4万枚)、スターダストプロモーションが「ももクロの弟分」として売り出す男性アイドルグループ超特急(約4.1万枚)、NMB48からついに山本彩が発表したソロデビュー作(約5.0万枚)、ケツメイシがベテランの風格を見せつける通算10作目(約5.5万枚)と、新旧バランスよく入り乱れて接戦を繰り広げているのがわかります。


(関連:嵐はなぜ“身近な存在”と感じられるのか 新曲のダンス&歌詞から考えてみた


 特に、JUJUが今回カバーしているのは筋金入りのアダルト歌謡(全日本スナック連名を通じて、全国のママさんに「もしも自分のお店にJUJUが来たら歌わせたい曲」をリクエスト調査したという気合いの入れ方!)。結果選ばれたのは「六本木心中」「ロンリー・チャップリン」「恋におちて」「ラヴ・イズ・オーヴァー」など80年代の曲が中心でした。若い世代……たとえば全員が94~96年生まれの超特急メンバーに「知ってる?」なんて聞いてみたいところですが、そういうアルバムをさらっと5位にしてしまえるJUJUのブランド力、なかなか侮れません。


 そして6位にダウンとはいえ、宇多田ヒカル『Fantôme』は発売5週目でも約3.1万枚と安定したセールスを保っています。先週までの累計が約46,5枚なので、今週でほぼ50万枚。年末までに記録はどこまで伸びるでしょうか。なお、今年上半期のセールストップだったのは三代目JSBの『THE JSB LEGACY』(6月末の時点で619,158枚)。宇多田ヒカル本人が意識しているかどうかはまったく別ですが、ヒッキー対EXILE TRIBEの頂上決戦を楽しむ時間はまだまだ続きそうです。


 さて、ここまで引っ張ってきましたが、いよいよ今週の本題。2位のケツメイシに大差をつけて首位を奪った嵐の新作『Are You Happy?』です。堂々の636,619枚。大ヒットシングル「愛を叫べ」が入っているので、あれ、ずいぶん久しぶりだっけ? と一瞬首をひねりましたが、前作『Japonism』はちょうど1年前の10月21日にリリースされています。ちなみに「愛を叫べ」は少し前の9月2日発売。日本というテーマを背負った前作に、「♪このア~イアイアイアイ♪」というキュートなロックンロール・チューンはそぐわなかったのか、意図的に外された感がありますね。


 その後、誰もが知るように「♪このア~イアイアイアイ♪」は日本全国を席巻する必殺フレーズとなりました。結婚式で流れるウェディング・ソングとなったのは当然として、テレビでも「何か幸せな瞬間を象徴する曲」として使われまくり。愛らしいダンスも子供にウケるため、幼稚園の運動会などでも普通に定着しているようです。もうこうなると誰も「2015年の新曲」だとは思いません。オールディーズ~初期ロックンロールっぽい曲調もあいまって、ずーっと昔から知っていたハッピーなナンバーであるかのように刷り込まれてしまったんですね。


 そのあとは、毎度カラーの違うシングルを出してきた嵐。今年に入ってからはSMAPの騒動もあったため、みんなを明るくしていかなきゃ、という使命感が今まで以上に強いのかもしれません。それぞれのソロ曲はEDM、ラップ、昭和歌謡など振り切れ方がすごいのだけど、一貫した印象は「ハッピー」である最新作。ジャニーズの中でも嵐は特に「仲が良さそうなイメージ」が強いグループですし、5人が顔を突き合わせて笑っているジャケを見るだけで、ほっこりした気分になっている自分に驚きました。べつにファンじゃないのに。嵐の5人を見る=なんだかハッピーな気分になる、という刷り込みは、ここまで強固なものになっているのだなと思い知った次第です。(石井恵梨子)