2016年10月12日、『東映公認 鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー』からアルバムCD『ザ・ラジレンジャーズ』が発売された。声優の鈴村健一と神谷浩史がパーソナリティを務めるラジオ番組は5周年を迎え、満を持してのアルバムCDだ。
ゲストには関智一、稲田徹、杉田智和という豪華キャストも参加し、それぞれ渾身のカバー曲を披露。さらに鈴村と神谷によるデュエット「Shake Hands」も収録、渡辺宙明による新曲ということもあり、ファン必聴の楽曲になっている。
楽曲だけでなく声優陣による座談会も収録、特撮ファンにもたまらない一枚となった。
本稿では、前編に続き鈴村健一、神谷浩史のインタビューをお届けする。それぞれの楽曲のポイントや、カラオケの定番ソングを語ってもらった。
[取材・構成:キャプテン住谷]
『ザ・ラジレンジャーズ』
http://columbia.jp/radirangers/
■鈴村・神谷が注目するゲストカバー曲のポイント
―ゲストの関智一さん・稲田徹さん・杉田智和さんがカバーした曲について、おふたりが注目されたポイントを教えてください。
神谷
「バイオロボの歌」はやっぱりサビですよね。「バイオ バイオ バイオロボ」という繰り返しの部分で、一番強く発音しなきゃいけない「ロボ」っていう単語が実は発声しずらいところなんです。ここに力点を置いてちゃんと歌を成立させることができるのは、すごい歌唱力なんだなっていう風に改めて思いました。後はやっぱり落ちサビの力の入り方。あの熱量は「すげえな!」って思いましたね。
鈴村
すごい。まず選曲もすごいけどね。「バイオロボの歌」を持ってくるって(笑)。
―選曲のエピソードも「座・談会!」で熱く語られていましたよね。
鈴村
そうですね。そこから入って、それでいてあの歌い込みというか。しかも噂によると、ほぼ一発で録ったらしくて。「美空ひばりか!」って(笑)。関さんの想いがグッと凝縮された感じがありますよね。特撮をずっと愛してきたからこそ「バイオロボの歌」を選んだし、それをこうやって歌い上げることに何の澱みもないというか。一途な感じが歌にもすごく出てますよね。
神谷
稲田徹と僕は同期なんですけど、徹ちゃん自身も特撮が大好きで、しかも彼はこの「駆けろ!スパイダーマン」って曲がものすごい好きなんです。この曲を仕事で歌えるっていう嬉しさが全体的に詰まってるので「元気になるなぁ」と思いながら聴いていました。だからこそ徹ちゃんなりのこだわりとして「スパイダーマン」っていうささやくところだったりとか、オリジナルに忠実にやってみたりとか。色んなパターンにトライしつつ録ってみたらしいですね。
鈴村
「アーッ!」って叫びながら曲に入るんですけど、あそこが実は「さん、はい」って言われてもすぐには入れないところなんですよね。裏から入るので。それを(稲田徹は)一発で入ったって言ってたから、半端なく好きなんですよね(笑)。歌い方とかそういうことを超越して、「なんて活き活きと楽しそうに歌うんだろう」って思いましたね。
神谷
もうね、DNAに刻まれた何かだよね。
鈴村
ね。刻まれてるよね完全にね。それすっごく感じますね(笑)。
―杉田さんの「ジャッカーコバック」についてはいかがですか?
鈴村
「ジャッカーコバック」はこれもう、本当に名曲だったんだなって。杉田くんが歌ってくれたのももちろん嬉しいんですけど、その上でこの曲をアルバムに入れてくれたことがすごく大事だったって聴くと分かるんですよね。すごく音楽的にも美しいし、宙明さんがあの頃からちゃんと大人の音楽を特撮に提供してくれていたんだなってことがすごくよく分かる。それを杉田くんが掘り起こしてくれたことにすごく感謝しています。
神谷
なんだかんだ言って、この『ザ・ラジレンジャーズ』っていうミニアルバムの中で一番リピートしてるのは「ジャッカーコバック」です。ものすごく聴いてますね。クセになるんですよね。やっぱり杉田節というか、彼の声って猛烈に魅力的で、それがこの一曲に凝縮されています。
鈴村
コーラスワークも美しいので、音楽的にも完成度が高いですね。
―コーラスには関さんが参加されているんですよね。
鈴村
そうですね。関さんがどんな顔で歌っているかまで想像できるくらい、関さんの要素がすごく強いです(笑)。
■カラオケ定番の特撮ソングとは?
―「座・談会!」ではカラオケで特撮ソングを歌う時のお話もありました。おふたりはカラオケに行った際、必ず歌う定番の曲などはありますか?
鈴村
僕は今みたいにカラオケの曲数がバーンって増える前、20年前くらいにDAMという機種に入ってた特撮ソングを一晩で全部歌いましたね。で、その時に歌って一番気持ちよかったのが『バイオマン』(※)。
※『超電子バイオマン』。1984年から1985年までテレビ朝日系列にて放送された。シリーズで初めて女性戦士を2人登場させるなど、後の作品にも大きく影響を与えた。オープニングテーマ「超電子バイオマン」、エンディングテーマ「バイオミック・ソルジャー」ともに宮内タカユキが歌唱している。
神谷
ああー!
鈴村
『バイオマン』のオープニングもエンディングも、どっちも好きですね。なんかこう、展開がドラマティックで。入りからの感じとか、最後の「バイオマーン!」とか。歌ってて気持ちいいし、すごく燃えるんです。
神谷
あとは、初めて聴く人がだいたい「この曲何?」ってなっちゃうのが『ダイレンジャー』(※)ですよね。
※『五星戦隊ダイレンジャー』。1993年から1994年にかけてテレビ朝日系列にて放送された。5人それぞれが実在する中国拳法の要素を盛り込んだアクションを披露する名乗りや、「転身だァァッ!」という印象的なフレーズのオープニングテーマ「五星戦隊ダイレンジャー」などが人気となった。
鈴村
『ダイレンジャー』ね!
神谷
「えっサビ終わったの?」って(笑)。
鈴村
「Aメロどれだっけ?」って(笑)。
神谷
(うなずきながら)ってなる曲なので、カラオケに行くとだいたい歌います。
鈴村
今後もし、浩史とカラオケに行った時に一緒に歌いたいのは『コンドールマン』(※1)の歌ですね。オープニングもエンディングも歌いたいです。特にエンディングは一緒に歌いたい。「ゼニクレージーどっちがやろうかなー」(※2)なんて話がしたいです。はい、分かんない人は調べてくれ!(笑)
※1 『正義のシンボル コンドールマン』。1975年に全24話を放送。人間の悪の心から発生したモンスター一族と、合成鳥人であるコンドールマンとの戦いを描いた。
※2 エンディングテーマ「ザ・モンスター」(作詞:川内康範、作曲:鈴木邦彦、編曲:小谷充、歌:ベンさいとうとザ・モンスターズ)は、1番が作中に登場するモンスター一族のゼニクレージー、2番がヘドロンガー、3番はゴミゴンのことを歌った歌詞になっている。
■今後は「ライダー編」も?
―今回、「仮面ライダー」シリーズの曲が収録されなかったことを受けて「座・談会!」中に“ライダー編”を出そうという話が持ち上がりました。もし実現した場合、チャレンジしてみたい曲などありますでしょうか。
鈴村
僕はこれかなっていうのが一個ありますね。あまのじゃくだから、言っちゃうと違うの歌いたくなっちゃうので言いたくありません!(笑)
神谷
今後のお楽しみですね。もしそういう企画が動いてくれるのだとしたらね。
鈴村
そうだね。でも、本当にそれはやりたいなって思いますよね。戦隊はずっと続いてるってところが良さで、時代の移り変わりが見えるんですけど、ライダーはライダーである意味バツッと昭和と平成でサウンド自体が全く違うので、そこの面白さってきっとあるから。
神谷
そうね。
鈴村
昭和編とか平成編みたいな分け方にしても面白いかもしれないですね。
神谷
コンセプトを作って、それに沿った内容にしていくみたいな。今回あまりにも幅が広過ぎたので、コンセプトを決めたアルバムを定期的に出していけたらいいなって野望はあります。
鈴村
楽曲は無限にあるからな……。皆さんが注目して頂ければ続いていきますので、まずはこのアルバムを聴いて頂ければなと(笑)。
―最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
神谷
5年目に入るラジオ番組がお送りする、本当に特撮が好きな人たちが作った初のカバーアルバムなので、ぜひ特撮好きな人は聴いて頂きたいです。宙明先生の新曲が聴けるというのは、特撮好きな人からしたらかなりデカいですよね。声優界広しと言えども、宙明先生に2曲も新曲を書き下ろして頂いた声優は我々くらいのものなので、その1曲が収録されているというだけで僕らにとってはすごい特別な1枚です。これをきっかけとして色んな世代の歌に興味を持って頂けると嬉しいです。
鈴村
本当に好きな曲を集めてカバーしたんですけど、聴いていくと音楽的に良くできたアルバムにもなったかなと思いますね。「Shake Hands」から始まって「ゴーゴーファイブ」で盛り上げて、「気のせいかな」でちょっとミディアムに落として「バイオロボ」でつないで、「スパイダーマン」で上げて「ジャッカーコバック」のフェードアウトで終わっていく……実はしっかりした音楽アルバムとして出来上がっています。特撮が好きな方はもちろん、あまり特撮に詳しくなくても、僕らやゲストが歌っているということで興味を持ち、手に取ってくれた方もきっと満足して頂けるかな、と。
これをきっかけに『仮面ラジレンジャー』という番組に気がついた方は、ぜひラジオも聞いて頂きたいですし、僕らもまだまだ野望がいっぱいあります。このCDを始め、これからもラジオを盛り上げていきたいと思っているので、応援しがいのあるこの番組を今後ともよろしくお願いします!
―本日はありがとうございました!