2017年シーズンより日本でのプレ開幕、2018年からの本格シーズンのスタートが予定されているワンメイクレース『MINI CHALLENGE』。MINI F56 JCWをベースとした専用車両の走行テストが10月21日、富士スピードウェイで実施された。
この車両は、すでにイギリスで開催されている『MINI CHALLENGE』2016年仕様のマシン。ワンメイクシャシーに2.0Lターボエンジンを搭載し、専用ECU制御により現状220psを発揮する。
エクステリアは前後のフェンダーがワイド化されているほか、ルーフ前方にエアインテーク、後方にリヤウイングを備える。
車両内部は更に手が加えられており、ロガー機能を持つコスワース製レーシングメーター、ナイトロン製3WAYダンパー、シーケンシャルミッション、スリックタイヤ、ロールケージ、アルコン製ブレーキキット、レース用フルバケットシート等が装着されている、まさに正真正銘のレース専用車両だ。。
一方、現状のセッティングでは路面状況やガソリンのオクタン価が異なるイギリス仕様となっているため、日本のサーキット環境にローカライズする必要があるという。
「今回のテストでは、イギリスのサーキットとの走行環境の違いや、想定されるコンペティションレベルを考えながら、ベンチマークとするタイヤやブレーキの選択などを行ないました」と、ジオミック・モータースポーツ代表の壷林貴也選手。
ジオミック・モータースポーツは、車両のローカライズを実施するとともに、MINI CHALLENGEのプロモーターや車両のインポーターを担当する。
テスト当日はパーツ開発も行なわれ、IDIがブレーキパッドの開発に着手している。
「IDIのブレーキパッドはこれまで多くのMINIオーナーの皆さんに装着いただいているので、このレースにはぜひ専用のブレーキパッドをご用意させていただきたいと思い、色々と磨剤をテストしました。若干リアが効きすぎる傾向があるようですので、そのあたりはパッドで調整できますね」とIDI広報担当の植松秀哲氏。
現状、MINI CHALLENGE用のマシンはとても乗りやすくセッティングされており、富士スピードウェイの100Rなら全開でクリアできるという。
そこで、よりコンペティティブでコントローラブルなマシンとするために、あえてタイヤのグリップレベルを低く設定する、またサスペンションのバネレートを高めに設定するなどの検討を行っているとのこと。
また、タイヤについては、610mmと620mmの外径の異なるタイヤがテストされたが、これは2種類のタイヤを選択できるようにするためのものだという。
テストドライブを担当した壷林選手は、この日はコンスタントに1分56秒台をマーク。参考までに富士スピードウェイの各カテゴリーのタイムをチェックしてみると……
・スーパーGT300クラス:1分35秒707 BMW M6 GT3(2016)
・ポルシェカレラカップ:1分42秒716 ポルシェGT3Cup/Type991(2014)
・スーパー耐久ST-4:1分55秒752 インテグラ/DC5(2012)
・86/BRZワンメイクレース(プロクラス予選):2分05秒097 佐々木雅弘(2016)
MINI CHALLENGE車両のポテンシャルの高さがこのタイムからも見てとることができる。
「タイム的には、サスペンションのセッティングをもう少し詰めればあと2秒は確実に縮めることができますね。
日本ではレース専用マシンを使ってのワンメイクレースは、今はポルシェカレラカップのみ。MINI CHALLENGEは、そんなポルシェカップにステップアップしたいと思っているようなドライバーや、スーパー耐久を目指しているドライバーにはぴったりのカテゴリーになると思います。
また、ポルシェカレラカップはちょっとレベルが高すぎると思っているようなドライバーにとってもチャレンジができるカテゴリーになれば良いのではないかと思いますね」と壷林代表。
2017年のレーススケジュールや開催サーキットは現在調整中とのことだが、将来的には中国やマレーシアを含むアジアシリーズの展開も視野に入れているという。
『MINI CHALLENGE』詳細は下記リンク(ホームページ)をチェック!
http://minichallenge.jp/