ニッサンが来季のIMSAユナイテッド・スポーツカー選手権(USCCウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ)に向け、現在パトロンテキーラのカラーリングで戦うエクストリーム・スピード・モータースポーツ(ESM)と契約を結び、新しい“デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル”シャシー向けにエンジン供給を行うことを決めた。
WEC世界耐久選手権のLMP2クラスで、長らくVK45DEを供給しクラスを支える活動を続けてきたニッサンだが、来季LMP2クラスは既報のとおりギブソンの製作するワンメイクエンジンが採択されたことにより、活動の場を失う形となっていた。
そこで2017年シーズンに向け北米に目を転じたニッサンは、オンロークの製作する次期型リジェJSP2 17のシャシーをベースにしたトップカテゴリーマシンとなるデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)向けに、複数年のエンジン供給契約を結んだ。
その要となるエンジンは、これまでのVK45ではなくニッサンGT-RニスモGT3にも搭載される、プロダクションモデル同様の3.8リッターV6ツインターボである『VR38DETT』となる。ESMでは、2016年のWEC LMP2クラス同様OAKレーシングとのパッケージングで、ニッサンエンジンを搭載したDPiマシンを走らせることとなっている。
今回の契約に際して、ニッサン・グローバルモータースポーツ代表であるマイク・カルカモは「2017年のIMSAに向け、パトロンとOAKレーシングとジョイントできることを光栄に思っている」とコメントした。
「我々がニッサン/ニスモの競争力あるパワートレインを提供することで、この実績ある成功したチームのプログラムを後押しできると信じている」
ESMチームの代表で元インディカードライバーでもあるスコット・シャープは、2014年以来のフルタイムでの北米トップカテゴリー復帰となる決断にはふたつの要因が絡んでいると説明する。
「(2016年も参戦した)WECは信じられないほど素晴らしいクオリティの選手権だが、同時にバジェットが非常に高価になることも事実だ。それに我々にとって重要なパトロンのカラーリングを、世界最大のレースであるル・マンを含めて3戦ほど採用できないという環境も問題となる」
「今回のニッサンとの契約は我々にとって実に魅力的であり、北米最高峰のデイトナ・プロトタイプでオーバーオール・ウインを狙える機会を与えてくれるはずだ」
この新しい"IMSA DPi"のレギュレーションでは、2017年に向け製造を許された4つのコンストラクターの新規定LMP2シャシーのひとつを用いて、マニュファクチャラーが自社製エンジンを搭載し、独自のボディワークを架装することが可能となる。
ニッサンエンジンを搭載するESMの他に、このトップカテゴリーにはキャデラックとマツダのエンジンが参戦する見込みだと噂されている。ESMのVR38DETTを搭載した新型DPiマシンは、今年最後のIMSA公式テストを欠席する代わりに、クリスマス前のシェイクダウンが予定されている。