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TOYOTA GAZOO Racing NASCARマーティンズビル レースレポート

2016年11月01日 18:51  AUTOSPORT web

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NASCARスプリント・カップ・シリーズ第33戦マーティンズビル
2016年11月1日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部

NASCARスプリント・カップ・シリーズ第33戦マーティンズビル
“チェイス”組3名が着実にトップ5フィニッシュ

 いよいよシリーズは残り4戦。“ペーパークリップ”マーティンズビルで行われた“チェイス”第3ラウンド初戦は、中盤までトヨタ勢が上位を支配。惜しくも優勝は逃したが、“チェイス”を争うデニー・ハムリン、マット・ケンゼス、カイル・ブッシュの3人が3-4-5位フィニッシュでランキングトップ4を維持した。

 トラック・シリーズも“チェイス”勢が上位をフィニッシュを果たし、ランキングトップ4のうち3台を占める結果となった。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第33戦 Goody's Fast Relief 500
開催日:10月30日
“チェイス”組3名が着実にトップ5フィニッシュ

 10月30日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第33戦「Goody's Fast Relief 500」が開催された。

 シーズン終盤の10戦で上位ドライバーがタイトルを争うプレーオフ“チェイス”もいよいよ8名が最終戦へ向けての4枚の切符を争う第3ラウンドに入った。

 今大会からの3戦で、最終戦でタイトルを争う権利は8名から4名へと絞られる。この第3ラウンドに臨む8名の中には、トヨタドライバー4名が含まれており、最後のサバイバルに挑むこととなった。

 第3ラウンド“ラウンド・オブ・8”の最初の舞台はマーティンズビル。1周0.526マイル(約850m)とカップ・シリーズ戦が行われる中では最短で、2本のストレートをタイトなコーナーで結んだその形状から“ペーパークリップ”の愛称で知られ、70年近い歴史を持つ。ロードサーキットの短いストレートを2つのヘアピンで挟んだような、短い時間にフル加速とフルブレーキングを繰り返すタフなコースである。

 地元バージニア州出身、そしてショートオーバルが得意という事もあり、デニー・ハムリンがここマーティンズビルでは過去5勝。今年の春の大会ではカイル・ブッシュが勝利を挙げている。

 30日(日)午後1時18分に500周(263マイル:約420km)して競われる決勝レースがスタート。“チェイス”序盤に2勝を挙げながらも、第2ラウンドで惜しくも敗退となってしまったマーティン・トゥルーエクス・Jr.が2戦連続、今季5度目となるポールポジションから序盤を支配した。

 一方、7番手、8番手からスタートを切ったカール・エドワーズとデニー・ハムリンは序盤のピット時にスピード違反のペナルティを取られ後退。

 しかし、その後はじりじりと追い上げていき、中盤には上位争いに復帰。17番手スタートのケンゼス、9番手スタートのカイル・ブッシュが首位を争い、ここにハムリンが加わってトヨタ勢3台がトップ3を占める中盤戦となった。

 一方、トップ10圏内から更に上位を伺っていたエドワーズは357周目、突然のタイヤバーストに見舞われ壁に激しくクラッシュ。ダメージはサスペンションにまで及んでおり、ガレージでの長い修復を余儀なくされ、上位争いから脱落してしまった。

 このエドワーズのクラッシュ発生直前には、150周近くの長いグリーンランが続いており、列を組んでトップ3を独走するトヨタ勢は、3位以下を3秒以上引き離していた。しかし、最後となるグリーンフラッグ下でのピットインが始まった直後だったこともあり、順位は大混乱。

 順位を整理するための29周という長いコーションラップの末に、残り114周で、ハムリンが首位、カイル・ブッシュ2位、ケンゼス5位で再スタート。エドワーズも長いコーションに助けられてコーション中にコースへは復帰したが、23周遅れとなってしまった。

 再スタートでハムリンは首位をキープしたが、カイル・ブッシュはハンドリングの不調に見舞われ後退。ハムリンは“チェイス”を争うジミー・ジョンソン(シボレー)とのサイド・バイ・サイドでの首位争いを繰り広げるも、惜しくもライバルの先行を許し2位へ後退。

 その後、2-3-4位を走行していたハムリン、ケンゼス、カイル・ブッシュの3台は、“チェイス”からは脱落したもう一台にかわされるも、3-4-5位でフィニッシュ。3台ともに首位走行ボーナス、そしてケンゼスは最多リードラップボーナスも獲得し、“チェイス”争いでは、最終戦進出の条件となるトップ4につけて第3ラウンド初戦を終えることとなった。

 このレースでは“チェイス”ドライバーのジョンソンが勝利したため、最終戦への最初の席を確保。トヨタ勢4名による最終戦“チェイス”独占は叶わなくなったが、続く2戦で1台でも多くのトヨタ勢が最終戦へ残るべく戦いを続ける。

 次戦第34戦は11月6日(日)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー デニー・ハムリン:
「48号車(ジミー・ジョンソン:シボレー)とのバトルはとてもハードで、本当にタフなレースだった。我々は今日1-2-3位を占められる速さの“トヨタ・カムリ”を持っていた。それだけに勝てなかったのは残念だが、次の2戦も我々が得意とするコースで、春の大会でも強さを見せられているので、楽しみにしている。着実にトップ5フィニッシュを続けて行けば最終戦に繋げられるはずだ」

<チェイス・フォー・ザ・NASCARスプリント・カップ>
“チェイス”と略して称されることが多い。NASCARスプリント・カップ・シリーズの全36戦のうち、終盤の10戦でタイトルを競うプレーオフシステム。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバー(全レース出場、ランキング30位以内が条件)と、未勝利でランキング上位の計16名が“チェイス”に進出。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの3ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落しポイントはリセット。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。



NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第20戦 Texas Roadhouse 200
開催日:10月29日
クリストファー・ベル4位、ティモシー・ピーターズ5位。
“チェイス”第2ラウンド初戦でトヨタ勢3名がトップ4キープ

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第20戦「Texas Roadhouse 200」が10月29日(土)にマーティンズビル・スピードウェイで開催された。

 トラック・シリーズの“チェイス”も、第2ラウンド“ラウンド・オブ・6”を迎えた。今大会からの3戦で、“チェイス”に残っている6名から下位2名が脱落。上位4名が最終戦でタイトルを争う。

 トヨタ勢は18歳のルーキー、ウィリアム・バイロン、21歳のルーキー、クリストファー・ベル、そしてベテランのマット・クラフトンとティモシー・ピーターズの4名が“チェイス”に残っている。クラフトンはここマーティンズビルで過去2勝。昨年秋の大会を制している。

 また、コースのすぐ近くの出身で、ホームコースとも言えるピーターズは2009年に勝利、トップ5フィニッシュ7回と得意にしている。

 今大会、今週末はレースのないエクスフィニティ・シリーズにレギュラー出場しているダニエル・サレスがスポット参戦。また、往年の名カップ・ドライバー、ジェフ・バートンの息子である16歳のハリソン・バートンがトラック・シリーズのデビューを果たすこととなった。

 午後1時43分、雲ひとつ無い好天の下で0.526マイルショートオーバルを200周(105.2マイル:約170km)して競われる決勝レースがスタート。トップ10スタートのサレス、ベル、バイロンが上位を争う中、11番手スタートのクラフトンもこれに加わった。

 バイロンはハンドリングと駆動系の一時的な不調で順位を落とすも終盤には上位に復帰。19番手スタートのピーターズも徐々にポジションを上げ、トップ10圏内へ。一方で、トップ5に入っていたクラフトンはブレーキ系のトラブルに見舞われ大きく後退してしまった。

 デビュー戦で、16番手スタートから後半にはトップ10までポジションを上げた16歳のバートンは、残り40周を切ったところで痛恨のスピン。周回遅れとなってしまった。

 “チェイス”を争う中で着実に上位を走り続けたベルがトヨタ勢最上位の4位、ピーターズが5位でフィニッシュ。レースの大半でトップ5圏内を走行したサレスが6位。トラブルで苦しみながらも挽回したバイロンが8位と、トヨタ勢は4台がトップ10フィニッシュを果たした。

 “チェイス”争いでは、ジョニー・ソーター(シボレー)が勝利を挙げたため最終戦進出が確定。トヨタ勢は残る3つの席を目指して第2ラウンドの残り2戦を争うこととなる。今大会終了時点では、ベルが2位、ピーターズが3位、バイロンが4位。

レースを17位で終えたクラフトンは進出圏内とは11ポイント差の5位で逆転を狙うこととなる。

 次戦第21戦は11月4日(金)にテキサス・モーター・スピードウェイで開催される。

ドライバー クリストファー・ベル:
「4月のマーティンズビル戦に比べるととても良いレースだった。素晴らしい“トヨタ・タンドラ”を用意してくれたチームを誇りに思う。トップ5フィニッシュは嬉しいし、ポイント面でもとても大きい。最後ジョン・ハンター(ネメチェク:シボレー)を捕まえられなかったのは残念だが、個人的にあまり得意とは言えなかったマーティンズビルでトップ5フィニッシュ出来たことは、“チェイス”を考えても素晴らしい結果だ」

<キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの“チェイス”>
 今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、全23戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。開幕からの16戦全ての決勝に出場し、ランキング30位以内に入った上で、シリーズ戦勝利を挙げたドライバーと、ランキング上位のドライバーから8人が選抜。

“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位2名が脱落しポイントをリセットして次ラウンドに進む。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。