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メルセデスF1のボス、「ロス・ブラウンとの関係は損なわれていない」と語る

2016年11月01日 11:41  AUTOSPORT web

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2013年 トト・ウォルフとロス・ブラウン
メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、最近の著書でメルセデスの首脳陣を批判した元チーム代表ロス・ブラウンとの関係について、その後も「少しも損なわれていない」と語った。 

 ブラウンは著書「Total Competition:Lessons in strategy from Formula 1」の中で、ウォルフとニキ・ラウダを含めたメルセデスの首脳陣を信用できないと感じ、それが彼のチーム離脱を早めたと述べている。だが、ウォルフによると、問題の部分の引用が伝えられたあと、ふたりで話し合って誤解は解かれたという。

「彼の著書は、多くの議論を呼び起こした。けれども、(チーム体制の)継承と移行は決して簡単なことではなく、いろいろと微妙な事柄が絡んでくる」

「私としては何の問題もない。実際、彼とはずっと連絡を取り合ってきたし、私たちに『ヘマをするなよ』と優しい言葉をかけてくれたりもしている。彼との関係は少しも損なわれていない」

 ブラウンについては、リバティ・メディアが来年第1四半期にF1の買収手続きを終えたあと、F1運営者の技術部門のリーダーに就任するとの噂があり、ウォルフもそれは良いアイデアだと考えているようだ。

「ロスには膨大な経験があり、人柄も優れている。将来のF1において、重要な役割を果たしうるだけの技術的知識があるのも間違いない」


「彼は本当に長い間F1の世界にいたが、ここ2、3年現場を離れていたことで、どのチームとも適切な距離を保てるようになっている。ロスがF1でリーダーシップをとるような仕事に復帰するとして、誰かの支持が必要だとしたら、私がそれを引き受けるよ」

 過去3度のワールドチャンピオン経験者、ルイス・ハミルトンは、2012年末にマクラーレンを離れ、当時ブラウンが率いていたメルセデスへ移籍するにあたっては、ブラウン本人が彼の判断に大きな影響を及ぼす役目を果たしたと明かしている。ただ、残念なことに、移籍後のハミルトンが、ブラウンと共に仕事をした時間はそれほど長くはなかった。

「僕はロスと仕事をするのが好きだった。フェラーリ時代の彼を、テレビで見て育ったからね。そのロスが母の家まで訪ねてきて、キッチンで一緒にお茶を飲みながら、ぜひメルセデスでドライブしてほしいとチームに誘ってくれたんだ」

「ロスに誘われたことを、僕はとても光栄に思ったし、彼と一緒に仕事をするのはすばらしい経験だった。とてもいい雰囲気を作る人で、誰に対しても偉ぶることがなく、親しみやすいんだ。一緒にいると、誰でも心からリラックスできる」

「彼がチームを去ることになったのは悲しかったよ。僕がメルセデスへ行こうと決めた理由の一部は、ロスの存在だったからね。だけど、いま僕らは、彼が何年もかけて築き上げたものを受け継ぎ、その上で成功を享受している。彼はこのプラットフォーム、あるいは基礎を築くのに貢献した。とても感謝しているよ」

「僕らが選手権を勝ち取った時には、それを何とかして彼とも分かち合いたかった。彼は何年もそのために働いてきたのに、最終的な成功を味わえなかったのだから」

「チームボスのおかげでドライバーが腕を上げることはない。だけど、彼らはドライバーに成長するチャンスを与えてくれる。ロスにもそういうところがあったのは確かだよ」