トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストは、F1は「馬鹿げた」ペナルティを廃止し、ドライバーにはレースをさせて事故を起こさせればいいとの考えを述べた。
これまでにも、接触やコースアウト後に順位を上げるといった違反行為で幾度となくペナルティが科せられてきたが、最近になってFIAはディフェンスの際の動きも取り締まっている。しかし、トストはF1はエンターテインメントであり、現在は間違った事柄が優先されているとの意見を、グランプリ開催中のメキシコで話している。
「ドライバーが他のドライバーに接触したというだけでペナルティを与えるなどという、馬鹿げた行為は廃止すべきだ。そんなことでスチュワードのところへ行って、ペナルティをもらうべきではない」
「我々には面白いレースが必要であり、クラッシュは起きるときには起きるものだ。そして、人々が見たがっているのはそういうものだ。F1はエンターテインメントでもあるのに、いまの我々は安全面に関する部分を気にかけすぎている。F1が危険なことは承知しているが、もうコース上では何も起きていないじゃないか」
トストはライバル同士の差を縮め、タイトル獲得のバトルをより面白いものにし、劇的な展開を作り出すことに集中するべきだと主張する。
「私の友人は『メルセデスの2台がトップにいて、彼らが1周目でクラッシュしないかぎりレースは終わったようなものだから、F1はもう見ない』と言っていた。これは絶対におかしい。それぞれのチームを平等にしてやる必要がある。理想を言えば、ドライバーズ、コンストラクターズの両選手権タイトルをかけて、最後のレースまで2、3チームが争っているといい」
マノー・レーシングのレーシングディレクターであるデイブ・ライアンも、ペナルティについてはトストの考えを支持している。
「ドライバーはコース上で、規制されすぎている。これまでに行われた決定や議論、処分は行き過ぎている。ドライバーは、積極的なレースをしないことを求められている。それはもはや、許されないことなのだ。どのような規則のもとでF1がレースをしているのかを、よく考える必要がある」
ライアンは、ドライバーは「自分自身であることを許されるべきだ」と付け加えており、判定を恐れることなく個性を発揮することで、レースの質はより向上するとも語っている。
「企業のお飾りなだけではないドライバーは、それほど多くない。彼らは意見を表明することを許されていないか、そうしないことを推奨されている。それも理解はできるが、もう少し個性が見られてもいいのではないかな……。ルイス(ハミルトン)は行動を批判された。なぜだ? 彼はただ、やりたいことをやっていただけだ。もう何人か、似たようなことをするドライバーがいれば、F1は面白くなるだろう」