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86/BRZ最終戦:激しいトップ争いを制し井口が今季2勝目を挙げる

2016年10月31日 17:51  AUTOSPORT web

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86/BRZ最終戦:蒲生尚弥とのバトルを制し今季2勝目を飾った井口卓人
GAZOO Racing 86/BRZレースの最終戦が鈴鹿サーキットで行われ、プロフェッショナルクラスでは井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)が、そしてクラブマンクラスでは松原怜史(asset・テクノ・BS86)が優勝を飾った。

 前戦の十勝スピードウェイで、プロフェッショナルシリーズは佐々木雅弘(asset・テクノ・BS86)に、そしてクラブマンシリーズも松原怜史(asset・テクノ・BS86)の師弟コンビにチャンピオンが決定している今シーズンの86/BRZレース。

 新チャンピオンふたりはともに有終の美を飾ることを目指して最終戦の舞台、鈴鹿サーキットに乗り込むことに。また、ランキング2位争奪戦もそれぞれ熾烈で、見どころも多いレースとなった。

 金曜日の午後に行われた専有走行こそ雨に見舞われたものの、翌日未明には止み、予選までにはすっかりドライコンディションとなっていた。

 40台が挑んだプロフェッショナルシリーズの予選では、井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)が3戦連続でポールポジションを獲得。

「正直、まさかって感じです。昨日から調子は良かったんですが、今日になったらスーパーフォーミュラが走った後なので、コンディションが全然違っていて、『こりゃ埋もれちゃったな』と思っていたのにポールでした。まぁ、条件はみんな一緒ですからね。今回のポールはペナルティとか関係なく、実力で獲れたので前の2戦以上にガチンコの勝負ができそうです。BRZで最終戦も制して、ランキングの2位も奪います」と井口。

 2番手には服部尚貴(OTG DL 86)が、3番手は平中克幸(GY RACING 86)がつけた一方で、ランキング2位の死守を目指す阪口良平(AREA86倉敷)は6番手。そしてすでにチャンピオンを決めている佐々木雅弘(asset・テクノ・BS86)は足まわりのセンサーにトラブルがあり、「サイドブレーキを引いたような状態」とあって、17番手に沈んでしまっていた。

 決勝レースでは井口が好スタートを切ってトップで1コーナーに飛び込み、これに続いたのは2ポジションアップとなった蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)。逆に服部はひとつポジションを落とし、平中と阪口を従えることとなった。

 上位陣が一列で連なったのは1周目だけで、2周目は井口が逃げ出し始めたが、3周目から再び蒲生が背後に食らいつく。そして、同じ頃から服部と平中の3番手争いが激しくなったのとは対照的に、「スピードが乗らなくなった」阪口は徐々に順位を落とすこととなる。

 6周目のシケインで、平中が服部をかわして3番手に浮上。バトルが激しくなったあまりに近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC 86R)と吉田広樹(OTG DL 86)が、このふたりに急接近。終盤には4台でのバトルとなるが、最終ラップに吉田が近藤の前に出て5位を獲得した。

 トップ争いも最後まで激しく競われ、最終ラップの1コーナーで蒲生がインを刺すも、ここでの逆転はならず。最後のチャンスであるシケインで抜けなかった蒲生だが、立ち上がりでピタリと合わせ、ストレートでは並びかける。しかし、0.14秒だけ届かず。その結果、井口が十勝での第5戦代替レースに次ぐ2勝目をマークし、10位でゴールした阪口を抜いてランキング2位も獲得した。

 シリーズ2位を獲得した井口だったが、レース後にいつものようなスマイルがなかった。

「蒲生選手とは同じタイヤなので、どんな展開になるか予想できていたんですが、それでも最後は僕の方が圧倒的に厳しかったですね。最後のシケインでは覚悟もしていたんですけど、蒲生選手の優しさで……(苦笑)。ランキング2位が獲れたのは大きいですし、BRZをここまで仕上げられたことを誇らしく思います」と語った。

 2位は蒲生、3位は平中が獲得し、今季最後の表彰台に上がることとなった。一方、佐々木は11位でゴール。「勝つ気満々で、クルマのバランスはすごく良かったんですけど、せめて5番目ぐらいからスタートしないと。チャンピオンを決めた後だから良かったけれど、まぁレース、こんなこともありますよ」と有終の美は飾れずに終わった。

 クラブマンシリーズでは、すでにチャンピオンを決めている松原怜史(asset・テクノ・BS86)が今季4回目のポールポジションを獲得。当初は、この最終戦にプロフェッショナルシリーズで出るはずだったが、より勝ち星を増やすために予定を変更した。

「練習では今イチだったんですが、予選では温度も少し上がってタイヤにもマッチしたようです。一発で決められましたし、有終の美を飾れそうです」と松原。

 Bグループのトップとなった、山下昌樹(NUTECアライズ86加藤一門)は「それほどビシッと決まった感じではなかったんですが、何事も一番は嬉しいです」と初のフロントロー獲得に大喜びの様子だった。

 決勝では松原が好スタートを切り、これに続いたのは2列目に並んでいた小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED 86)。山下はひとつ順位を落としたものの、後続に接触があったため、4番手とは2秒6の貯金を築くことになった。

 松原と小野田は終始激しくバトルを繰り広げ、4周目のシケインでは軽い接触も。幸い大事には至らず、松原にショートカットがあったが、これはペナルティの対象とはならず、危険回避とみなされた。

 なおも激しくトップ争いが続く間に、終盤には山下にいったんは引き離された庄司雄磨が近づくも、鉄壁のガードで逆転を許さず。

「奇跡です! でも、意外に落ち着いてレースできたし、後ろも強引には来ないだろうと思っていました」と、山下は初めて上がる表彰台に喜びを隠せない様子だった。

 トップ争いを制したのは松原。コンマ4秒差ながらも逃げ切りを果たし今季5勝目をマークして、まさに有終の美を飾ることに成功。

「素直には喜べませんね、あまりにつらいレースだったので。明らかにペースは自分の方が遅かったので、抑えるところはしっかり抑えさせてもらいました。シケインで一回当たりましたけど、僕は(ラインを)開けたし、まぁコツンというレベル」と松原。

 気になる来シーズンだが「チームからは2年連続で獲れと言われていますので、多分またクラブマン。僕はレースできるなら、どのカテゴリーでもいいので」と松原は語っていた。