2016 SUPER FORMULA
P.MU/CERUMO・INGING
第7戦 鈴鹿サーキット レースレポート
■ 10月30日(日) 決勝
第1レース:#1 石浦宏明 3位/#2 国本雄資 1位
第2レース:#1 石浦宏明 1位/#2 国本雄資 3位
<決勝>天候:晴れ|コース状況:ドライ
2016年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終戦が30日に行われ、決勝レース1で今季2勝目を飾った国本がランキングを逆転しドライバーズタイトルを獲得。石浦も2戦ともに表彰台を獲得したことで、P.MU/CERUMO・INGINGは初のチームタイトルも手にし、国内最高峰フォーミュラシリーズで2冠を達成した。
午前9時45分にスタートが切られたレース1。前日同様の秋晴れのもと、ホールショットを決めたのは予選2位の国本だった。
ポールシッターの石浦も好スタートを切ったかに見えたが、本人いわく「80点」という動きで国本、さらにアンドレ・ロッテラーの先行を許し、オープニングラップで3番手となった。
前日の予選では圧倒的な速さを見せた石浦だが、決勝レースではラップタイムがトップ2台にわずかに届かず、じわじわと引き離されていく展開に。
序盤は4番手を走る野尻智紀に迫られるシーンもあったが、数周でセーフティマージンを築いたあとはポジションを守りきり3位表彰台を獲得。シリーズランキングでも3ポイントを加え、4位を維持。ドライバーズチャンピオンの可能性を残す4名に入った。
抜群のスタートダッシュでトップに立った国本は、終始レースをリード。背後のロッテラーが0.2秒差を縮めると、翌周には0.2秒引き離すといった展開が続き、最後まで両者の差が1秒を切ることはないほど熾烈なバトルを制した。
今シーズン2勝目をマークした国本は8ポイントを獲得しランキングも逆転。ポイントリーダーとして午後のレース2にに挑むこととなった。
レース2がスタートしたのは午後2時45分。レース1のリベンジとばかりにスタートに狙いを定めていた石浦だが、イン側スタートのストフェル・バンドーンが抜群のスタートを切り、石浦は2番手に後退。
さらに、予選3位の国本は出遅れてしまい、6番手に後退。2台は揃って上位マシンを追いかける展開となった。
逆転を狙うドライバーたちが義務付けされたピット作業をレース序盤に済ませていく中、石浦と国本は揃ってコースに留まるステイアウトの作戦をとった。
石浦はトップを走るバンドーンと同じ16周目にピット作業を済ませ、暫定4番手でコースに復帰。前のマシンが全てピット作業に入ったことで、暫定首位に立った国本は自己ベストタイムを更新しながら後続との差を広げにかかり、チームは23周目に入ったところでピット作業の準備を進めていく。
ところが、ちょうどピットインを予定していた24周目。スプーンカーブでクラッシュが発生し、レースはセーフティカーが導入された。このタイミングでピットに入った国本は7番手でコースに復帰。
リスタートでのポジションアップに狙いを定めた。27周目にレースは再開。ベルトラン・バゲット、ジェームズ・ロシターという2台に挟まれた形の国本は、ここではポジションアップがかなわず、3台での接近戦が続くことになった。
一方の石浦は背後に迫るアンドレ・ロッテラーからの猛追をしのぎ2番手を死守していた。そこへ、28周目に最終コーナーでスピンしたマシンがタイヤバリヤにヒット。マシンを止めてしまったことで2度目のセーフティカー導入となる。
残り4周でのリスタートでは、シケインの立ち上がりでわずかにミス。ロッテラーにオーバーテイクのチャンスを与えてしまい3位に後退することに。終盤に一つポジションを下げることにはなったものの、表彰台圏内を守り抜いてチェッカーを受けた石浦は、シリーズポイントを加算しランキング5位となった。
一度目のリスタートではポジションキープとなった国本だが、2度目のリスタートでは前方のマシンがバトルの末にコースオフ。目の前でのアクシデントにも冷静に対処し6番手にポジションを上げてチェッカーを受けた。
これによりレース2でも1.5ポイントを獲得した国本は、2位のロッテラーに3ポイントの差をつけトータル33ポイントで悲願のシリーズタイトルを獲得。石浦も揃ってポイント獲得を果たしたことで、P.MU/CERUMO・INGINGはシーズン前から目標に掲げていた初のチームタイトル獲得も達成した。
ドライバー/#1 石浦宏明
「シリーズランキングでは自力タイトル獲得の可能性があると言いながらも、かなり厳しい状況で最終戦に臨むことになりました。
そんな中、予選でポールポジションを獲得し、2レースともに表彰台に上がれたことでチームタイトル獲得に貢献できたのは良かったです。昨年、ドライバーズタイトルは獲れましたがチームタイトルは逃していたので、『今度はチームタイトルも獲る』ということを目指してきました。
ドライバーズタイトルを守れなかったことは悔しいですが、チームタイトル獲得を達成できたことを本当に嬉しく思います」
ドライバー/#2 国本雄資
「去年石浦選手がタイトルを獲った一方で自分はふがいないシーズンになりました。だからこそ、『今年こそは!』という気持ちは非常に強かったですし、それに向かってすべてのことを磨いてきました。
開幕戦で2位表彰台に上がり、岡山大会で勝てて、自分が今年やってきたことが結果につながっている実感と自信もついてきていて、今日のレース1では絶対にここでトップに立つんだという強い気持ちで臨み、実現できたことが良かったと思います。
自分自身の強い気持ちと、周りのサポートがあったからこそ獲れたタイトルなので、その重みを感じています。長くてつらいシーズンでしたが、勝てて今はほっとしています」
監督/立川祐路
「去年逃したチームタイトルも合わせて、今年は2冠を目標にやってきました。2人ともレースで優勝してくれましたし、最後まで揃ってタイトル争いに残ってくれて、チームとして強さを見せられたシーズンだと思っています。
去年、たぶん一番悔しい思いをしたであろう国本の、今年にかける強い気持ちはすごく伝わってきて、それがチームを引っ張ってくれていい相乗効果を生んでくれました。
もちろん、スタッフ一人一人が頑張った結果でもあります。目標を達成でき、非常に嬉しく思います。たくさんの応援ありがとうございました」
総監督/浜島裕英
「レース2は、非常に寿命の縮む思いでした。2度目のリスタートの後は、国本は一瞬チャンピオンを失いかけたと思いましたからね。
そこからしっかりと這い上がってきた。そういう展開を引き寄せられたのも、国本の実力です。ダブルタイトルを獲得できて最高の結果です。
もちろん、ドライバー2人がランキング1-2になれればもっと良かったですが、欲張りかもしれませんね。それを来シーズンの目標にしたいと思います。最終戦まで温かい応援をありがとうございました」