2016年10月30日 08:52 弁護士ドットコム
週に2日間休めると思って就職したのに、毎週土日に休めるわけではなかったーー。そんな体験をした人が、「無知ぼく、週休二日制を週に2日休みがあると勘違いする」と掲示板サイトに投稿し、話題となった。
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投稿者は、「やっとニートから脱出できると思って受けたところがこれだった」と肩を落とす。週休二日制について「月に1回以上、週2日のお休みがあることです」と解説する解説画像とともに「はぁ・・・こういうことだったのか・・・ ブラック企業やんけ」と書いた。
一体、「週休二日制」とは、どのようなものだろうか。「完全週休二日制」はどう違うのか。労働基準法が保障する休日のルールについて、佐藤正知弁護士に聞いた。
求人情報では、2日間の休日のある週が月に1回以上ある制度を「週休2日制」とし、毎週2日間の休日がある制度を「完全週休2日制」としているようです。しかし、これらは、法律用語ではありません。
労働基準法が保障するのは、「毎週少くとも1回の休日」です。その休日は、日曜日に限定せず、平日とすることも認められており、何曜日を休日にするかは、労働契約や就業規則によって定まります。
では、なぜ「完全週休二日制」を導入している企業が多いのでしょうか。
原則として労働基準法は、使用者は労働者に「1週40時間、1日8時間を超えて働かせてはならない」としています。法律が保障する休日は「週1日」であっても、1日8時間労働を前提とすると、週5日を超えて働かせることはできません。
1日8時間労働の企業が多い日本では、結果として、週休が2日となるケースが多いのです。
ただ、1日あたりの労働時間が短ければ、週休1日とすることもできます。たとえば、「平日は1日7時間労働、土曜日は5時間労働、日曜日は休日」という例では、労働時間が週40時間を超えず、週休1日も保障されているため、労働基準法に違反しません。
なお、労働基準法による週1回の休日の保障にも例外があり、4週を通じて4日以上の休日が与えられていればよいとされています。たとえば、「月末4日間を休日とし、それ以外は休日なし」としても労働基準法に違反しません。ただし、労働時間が週40時間を超えてはいけないことに変わりありません。
このように、労働基準法により最低限保障される休日の日数は、週の労働時間により変わります。
最近、「完全週休三日制」を導入した企業が話題となりました。この制度に加え、労働時間が平均して週40時間以下であればよい「変形労働時間制」と併せて導入されると、勤務日である週4日は毎日10時間働いても、残業代が発生しないので、注意を要します。
いずれにせよ、使用者は、所定労働時間や休日等の労働条件を、労働基準法により、書面で明示して労働者に交付しなければなりません。採用の際には、これをよく確認しましょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
佐藤 正知(さとう・まさとも)弁護士
神奈川県弁護士会所属。労働者側の労働事件を中心に取り扱う。日本労働弁護団常任幹事。神奈川過労死対策弁護団事務局長。過労死等防止対策推進全国センター幹事。著書「会社で起きている事の7割は法律違反」(共著・朝日新聞出版)等。
事務所名:横浜法律事務所
事務所URL:http://yokohama.bengo-shi.com/