女性の社会進出が進んだと言われるようになって久しいが、実はまだ全然ダメだったようだ。世界経済フォーラム(WEF)が10月26日に発表した各国の男女格差(ジェンダーギャップ)報告書で、調査対象国144か国中、日本は111位という結果が明らかになり、ネット上で議論を呼んでいる。
ジェンダーギャップ指数とは、各国の社会進出における男女格差を示す指標のこと。「経済活動への参加と機会」「政治への参加」「教育」「健康と生存率」の4分野の計14の項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。
平均給与額男性514万円に対し女性272万円
日本は「教育」や「健康と生存率」のカテゴリでは比較的評価されたものの、その他のカテゴリの評価が低い。
今回の111位はG7先進諸国の中ではもちろん最低レベル。日本と近い順位の国を見ると、エチオピア(109位)、ネパール(110位)といった発展途上国が並ぶ。同じ東アジア諸国と比較すると、韓国(116位)よりは上ではあるが、中国(99位)よりは下。日本の男女格差は思ったよりも深刻なことがわかる。
この結果を受けてネットでは、「日本は今や人権においては後進国」「日本の遅れが、グラフで一目瞭然」といった声が相次いだ。
今回の調査では、日本は「経済活動への参加と機会」が特に低く、118位とまさに最低ランクだったが、それは給与面を見ると明らかだ。国税庁が発表する「民間給与実態調査」で性別の平均給与額(2014年)によると、男性は約514万円に対し、女性は約272万円と大きな差がある。
上位校のエリート女子学生も一般職を希望するという現実
背景には、女性のキャリア選択の幅が依然として低い、ということがあるだろう。セレブレイン社長の高城幸司氏が東洋経済オンラインに寄せた記事によると、近年、女子学生の一般事務職への就職熱が高まり、椅子の取り合いが起こっているという。
将来、結婚や育児をしながら働くことを考え、責任も比較的重くなく、定時に帰りやすい事務職を希望するのだそうで、こうした傾向は上位校の女子学生にもあるのだという。一般職は総合職と比較すると給与は低く、転職の際のつぶしも効かないが、それでも選ばざるを得ない、というのが今の状況だともいえる。
WEFの報告書では、各国の男女が家事や育児などに費やす時間も紹介されている。日本人女性は家事や育児などに一日当たり326分費やすのに対して、男性はわずか69分であり、女性任せの現状が浮き彫りになっている。働き方を根本から見直さなければ、男女格差を埋めるなど絵に描いた餅だろう。
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