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嵐メンバー“役作り”の違い 天性の二宮、内面の大野、こだわりの松本、なりきりの相葉、外見の櫻井

2016年10月28日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 『世界一難しい恋』(日本テレビ系)、『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)、『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(日本テレビ系)、『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS系)、映画『暗殺教室』、『母と暮せば』……。嵐が出演した作品の多くは好評で、新たな作品が発表されるたびに大きな話題となる。いずれのメンバーも個性や演技力を評価されているが、役作りに対する姿勢は一人ひとり全く違う。今回は嵐のメンバーが、どのように役と向き合っているのか、検証してみたい。


参考:“ポスト二宮和也”は関西ジャニーズJr.にいる!? 朝ドラ出演の注目株・西畑大吾の才能


 まず、嵐の中でも特に演技の仕事を積極的に行なっている二宮和也。しかしながら彼は、あえて意識的に役作りをしないことで有名である。もちろん、多少見た目を近づける役作りはするものの、中身の部分では登場人物に寄り添ったりはしないのだ。以前、『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』に出演した歳、二宮はこんな話をしていた。


「自分が演じる役に興味がないんですよ。このドラマの主人公がどういう人物で、野球部の監督がどういう存在であるとか、ほとんど考えない。おれ、前もってイメージとかしないんで」(出典:NEWSポストセブン/自己主張と演技のこだわりがない二宮和也に周囲が驚く)


 台本も、自分のセリフしか読まないという二宮。何も準備しないことで周りの俳優陣たちに自然なリアクションを返しつつも、作品を壊さない演技をするのが二宮の強みだ。しかしこれは誰にでも出来るものではない。天性の才能があってこそだろう。実際に、『母と暮せば』で共演した吉永小百合にも「和也さんは、天才です」と言われているほどだ。2017年には、映画『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』で主演を務める。豪華な俳優陣との共演となるが、二宮なら豊かなアンサンブルを奏でてくれるはずだ。


 一方でほかのメンバー、大野智・松本潤・相葉雅紀・櫻井翔は役作りをしっかり行なうタイプだ。しかし、その中でも温度差がある。大野は、気持ちの部分から役作りをしていくタイプ。連続ドラマ初出演となった『魔王』(TBS系)では、復讐に燃える孤独な男・成瀬領役を好演。孤独な役どころを演じるにあたり、撮影の合間も一人でいることにこだわり、「孤独」を極めるという役作りをしたと話していた。その成果は絶大で、徐々に役に入り込み、最終的には自然に涙が溢れたというほどだ。2017年に公開予定の主演映画『忍びの国』では怠け者の忍者役ということで、これまでの役よりも大野との共通点は多そうだ。その分、役の気持ちも理解しやすく、より良い作品になるのではないだろうか。


 松本は、徹底的に与えられた役を再現しようとするタイプだ。『99.9 -刑事専門弁護士-』でも、実際の刑事弁護専門の弁護士に会い、裁判の違いや仕組みなどを勉強。さらには、見た目も役に近づけようとかなり細かなアイデア出しをしている。『99.9 -刑事専門弁護士-』を担当した瀬戸口克陽プロデューサーも「“0.1%にこだわる男"ってだれだろうと考えた時に、「いた!」と(笑)。彼(松本)はすごく細かいところがあって、番宣一つとっても一個一個こだわって積み上げていく。そんなリアルな松本さんの姿が今回の主人公にドンピシャだったので、迷わずオファーしました」(出典:マイナビニュース/松本潤主演『99.9』のドラマP「30代になった彼と『花男』のような代表作を」- 5度目タッグ作への思い)と評価をしている。2017年秋には、松本の主演映画『ナラタージュ』が公開される。繊細で難しい作品だが、こだわりに抜かれた松本の演技がどう活かされるか期待が高まる。


 相葉は、普段から役になりきるという役作りをしているように思う。ガーデニングがキーポイントとなった主演舞台『グリーンフィンガーズ』では楽屋や自宅で植物を育てて話しかけ、天才バーテンダーを演じた『バーテンダー』(テレビ朝日系)では常にシェーカーを持ち歩いていたりしたそうだ。これは、相葉の素直な性格があるからこそ出来る役作りのアプローチではないだろうか。


 櫻井は、見た目を役に近づけるアプローチをするタイプだ。軟禁される役を演じた『ザ・クイズショウ』(日本テレビ系)ではダイエットをして身体をしぼり、戦時中の熱血教師を演じた『ブラックボード~時代と戦った教師たち~』(TBS系)では減量だけでなく髪を刈り上げ、太眉にするなどの役作りを行なっていた。真面目な性格の櫻井ゆえに、ストイックに役を再現することが出来るのかもしれない。2017年1月には、主演ドラマ『キミに捧げるエンブレム』(フジテレビ系)が放送される。車椅子のバスケットボール選手という難しい役どころに、どこまで近づけるのか注目したい。


 このように、5人とも役作りに対するアプローチはバラバラだ。しかし、自分たちの性格や才能を活かした役作りをし、作品を成功に導く様は見事である。今後も映画やドラマ出演が決まっている嵐。自分たちらしいアプローチで、作品のクオリティを高めてくれることに期待したい。(高橋梓)